「寒晒し(かんざらし)そば」
それは、厳冬期にある手法によって仕込む特別なそばである。
通常そばはそばの実を収穫したら乾燥させ、そのまま製粉をする。
「寒晒しそば」はそこにひと手間加える。
厳冬期(1月-2月の極めて寒い時期)の冷たい水に浸すという作業だ。
水に浸したそばの実を厳冬期の寒い風にさらして製粉する。
その手法によって打たれたそばは雑味がなく、甘みのあるそばに仕上がるという。
出流(いづる)そばで有名な栃木市の北西部に位置する出流町でも、寒晒しそばの提供が大寒の日である1月20日より始まった。出流そばは出流山満願寺の参拝者にそばをふるまったことが起源とされている。出流の水は石灰質の山を通った水であるので名水と呼ばれている。
出流の「寒晒しそば」はルーツである満願寺の傍らを流れる川の水に浸す。普段は水が流れている川を厳冬期はせきとめ、そばの実を浸せるようにしている。そばの実がこのように浸されている光景はなかなか見ることができない。
出流の「寒晒しそば」は出流観光会に所属する6つの店舗で提供している。水に浸す、寒風に晒すという工程は同じだが、使っている粉や製粉方法、打ち方はそれぞれの店舗で異なり様々だ。個性豊かなそれぞれの味わいを楽しむことができる。
「寒晒しそば」の特徴は、雑味が少なく甘みのあることである。実際に食べてみるとそばの豊かな風味が口に広がりほんのりと甘みがあるように感じる。その違いを感じるために、つゆではなく水につけ食べる「水そば」といわれる食べ方を楽しめるお店もある。
ぜひ、この機会に季節限定の「寒晒しそば」を楽しむのはいかがだろうか。