「食」を通して地域の手助けを!店舗を持たないお惣菜屋さんが語る地域への思い

栃木県栃木市寺尾地区で、店舗を持たないお惣菜屋さんを営む「sottodeli」。オシャレかつ地元食材を使ったおいしいお弁当やお惣菜は、幅広い年代から支持されている。お弁当やお惣菜は完全予約制になっていて、instagramで限定商品の案内をすれば、即予約で埋まってしまうほどの人気店だ。

sottodeliを経営するのは栗原碧さん(28歳)だ。栃木市寺尾地区で生まれ、現在も同地区に住む。栗原さんは大学進学を機に上京をしたが、「寺尾で暮らしたい」という理由から、大学卒業後にUターン。民間企業に3年勤めた後、2019年に「sottodeli」を開業。

栃木市寺尾地区は栃木市北西部に位置し、市街地から車で20分ほどの田園風景が広がる田舎町だ。人口減少や高齢化などの問題を抱えるこの地区で「なぜお弁当屋を開業したのか」。インタビューを通してその理由に迫った。


■寺尾に戻ると決めていた 

「なぜ寺尾地区に戻ってきたのか」と尋ねると「自分の家族が好きで寺尾地区が好きだったからです」と栗原さんの答えはシンプルだった。自分が大切だと思う人の側で、自分の好きな環境で暮らすことが、彼女の最優先事項だった。一度は上京したものの「寺尾に戻りたい」という思いは常に持っていたそうだ。「全く迷いはなかった」という言葉から寺尾への思いの強さを感じた。


■私が寺尾を好きな理由

「雨が降って来たら、洗濯物を取り込んでくれていたり、多く作りすぎたからと言って惣菜をお裾分けしてくれたり、ほんとに人が温かいんです」

寺尾の好きなところを聞くと、一番に挙げたのは、寺尾の人の温かさだった。寺尾地区は人のつながりが強く、地縁やお裾分けの文化が今でも残っている。大学時代に東京で暮らした栗原さんにとっては、その“人のつながりの中で生きる”暮らしが魅力だった。

■“食”を通して地域の手助けをしたい

小さいころから食への興味があり、将来は飲食関係の道に進みたいと思っていた栗原さん。しかし、周りの反対があり、一度は飲食とは別の道を進んだ。栃木市内の民間企業に勤めるも、3年目で感じたのは「いつか飲食をやりたかったなあと後悔したくない」という気持ちだった。その思いが大きくなり、民間企業を退職し、飲食の道を志すことになった。 

 

 飲食への思いが強かった彼女は、2019年に地元寺尾地区で、店舗を持たない総菜屋さん「sottodeli」を開業した。なぜ寺尾での開業を選んだのかを尋ねると「寺尾は近くにスーパーや飲食店がなく、気軽にお買い物にいけないおじいちゃん・おばあちゃんが多い。そういった人たちの手助けになりたいという思いがあったんです」と理由を語った。“食”を通して、地域の人たちの手助けをしたいという思いが、「sottodeli」の開業のルーツだった。 


■“お客さん思い”が生み出す「sottodeli」のお惣菜

「sottodeli」のお総菜やお弁当の特徴は、地元食材を使った色とりどりでオシャレなところである。いわゆる「インスタ映え」しそうなものばかりだ。メニューは、日替わりでおまかせのみになるが、お客さんの好みに合わせて、献立を考えている。提供する側からすると、使う食材数や品数が少ないほど、コストを抑えて提供をできるが、「sottodeli」はお客さんに寄り添うことを最優先している。その理由は「sottodeli」の名前の由来にあった。


■お客様に“そっと”寄り添う

「sottodeli」の意味を尋ねると、その由来は、栗原さんが大学時代にアルバイトをしていたデパ地下のお店の店長の言葉だった。「自分のことは二の次で、周りに気を配るあなたの姿勢や行動は、決して目立つことはなくても、なくてはならない大切な存在でした」。この言葉が、栗原さんにとって忘れられない言葉になったそうだ。

その言葉から、「自分のお店も目立たなくていいから誰かにとって大切な存在でありたい」と思い、お客様に“そっと”寄り添うという意味を込めて「sottodeli」という店名にしたそうだ。

■寺尾のために何か動ける人になりたい

今後の目標を聞くと、「寺尾のために何か動ける人になること」と答えてくれた。外からみると、現在の彼女は、その目標をすでに達成をしているようにみえるが、現状に満足をしているわけではなかった。「まず店舗をもって、地元の人たちを中心に、もっと気軽に寄れるような場所にしたい」と前をみていた。

「sottodeli」の人気の秘密にせまると、そこには店主栗原さんの「“食”を通して地域のために」という思いと「お客様に寄り添う」というコンセプトがみえてきた。栗原さんのますますの活躍と、、寺尾の明るい未来が期待できるだろう。

國府谷純輝

栃木県栃木市

栃木県茂木町出身。2021年6月より栃木市地域おこし協力隊として栃木市の寺尾地区をメインフィールドに活動している。情報サイト「テラオノサイト」の立ち上げ・運営やYoutubeにてローカルラジオ「ラジロー」を配信するなど情報や魅力発信を行っている。趣味はキャンプとサウナ。