和歌山城公園の堀端にある松の木々に、毎年冬になる前には「こも」が巻かれます。
これは、松の害虫であるマツカレハの幼虫対策として行われる、古くから伝わる知恵の一つです。薬剤に頼らず、自然の仕組みを利用したこの方法には、伝統的な日本の知恵が詰まっています。
マツカレハの幼虫は、冬になると幹や枝から地面に下り、落ち葉などの下で越冬する習性があります。
そこで、和歌山市では松の幹にこもを巻きつけ、幼虫がこもの中で冬を越えるように誘導し、春先にこもごと焼却するという方法で害虫駆除を行っています。
11月に入り今年も約250本の松の幹に、根元から1メートルほどの高さにこもが巻かれ、しっかりと縄で固定されました。
こもは、来年3月5日の「啓蟄(けいちつ)」、つまり冬眠していた生き物たちが地上に出てくる時期に取り外され、害虫が潜んでいる可能性のあるこもは焼却されます。
このように、自然のリズムに合わせて害虫を抑制する方法は、環境にやさしく、持続可能な取り組みの一つです。
和歌山城公園を訪れる人々も、こうした季節の風物詩を目にすることで、松の木を守る和歌山市役所の人々の努力と、四季折々の自然の営みを感じとることができます。