創業 江戸期の老舗お米屋さん「やすい」が受け継ぐ、歴史とお米の美味しさへのこだわり

和歌山市の和歌浦地区に「お米が美味しい」と評判の老舗がある。「おひさまマークのお米・やすい」で地元には広く知られている「株式会社やすい」のお米は、地元住民はもちろん、飲食店にも愛されている。代表取締役の保井元吾さんに、老舗としての歴史やお米の美味しさへのこだわりについてお話を伺った。

 保井家は、藩政時代には代々「貝屋嘉吉」を名乗っていた。和歌山城下の長者番付にも「大関」として登場するほどの有力商人だったという。以前は今の店舗から歩いて5分にある明光商店街に、「保井米穀店」として米屋を営んでいた。倉庫にある大きな米びつの蓋には「万延元年」(1860年)と墨書されている。古い歴史を大切にする和歌浦地区だが、その中でも、「米穀商・保井」は地域に根付いた有力商人だったという。明治時代の略歴をあしらったPRチラシには、「米萬商・ヤマカ(屋号)保井嘉吉」とあり、所在は「紀州海部和歌村」となっている。

地域に根ざした米穀商として長い歴史を持つ「やすい」は、現代の和歌浦地区にとっても欠かせない存在だ。中でも、保井さんが今力を入れているのは、地域の飲食店にお米の炊き方をアドバイスする活動である。

保井さんから炊き方のアドバイスを受けた飲食店は、店内で美味しくお米を炊き上げることができるようになり、「おかずがとてもご飯に合う」と評判だという。アドバイスによって、ご飯は「つや」「香り」「粘り」「甘み」「旨味」「口あたり」といった、あらゆる要素においてバランスが良くなるそうだ。

「やすい」は全国からお米を仕入れている。お米は、トラックが会社に着くとすぐに仕分けされ、試食と食味計による測定が行われる。同じ産地でも、生産者で味が違うからと、細かく見極める。実際食べて、化学的検証をし、味や特徴をもとにブレンドしていくという。

精米機は保井さんの自慢。その愛情は、機械への強さを活かして、自分でもメンテナンスをするほどだ。

保井さんは「精米がおろそかだとお米の味も変わるので、気温や湿度など些細なことにも気を配っています。急に雨が降ってきた時、精米機を全部止めたこともありました。それぐらい慎重に、農家さんが大切に育てたお米を精米しています」と語ります。

そして、「ウィスキーやコーヒーのブレンドと同じ考え方で、季節や時期に合った品種を選んでブレンド比率を変えています。年中美味しさを安定させた」と話していました。

地域に根ざす商人としての伝統を受け継ぎ、お米の美味しさを追求し多くの人に伝えている保井さん。私もお米のとぎ方と炊き方を教えていただき、早速オリジナル家庭米「極上」を炊いてみた。

その美味しさは、和歌山の名産「はちみつ梅」をあてに2杯食べてしまうほどだった。

「日本遺産」の絶景で知られる
和歌浦の不老橋の上でお茶碗をもつ保井さん
こだわりの精米機

野口千惠

和歌山市生まれ、地方新聞社勤務時、まちづくりを始める。その後地方創生の会社にスカウトされる。文章でまちづくりのお手伝いをする。
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