図書館を「飛び出す司書」募集!日本三大秘境椎葉村で新たなブック・ストーリーを生むのはあなた?

「あの」椎葉村図書館「ぶん文Bun」が、2人目のスペシャル図書館司書を探している。
 

「あの」椎葉村図書館「ぶん文Bun」?

「あの」なんて書いてしまったが、椎葉村図書館「ぶん文Bun」を知る人は少ないかもしれない。なぜなら同館は日本三大秘境と呼ばれる宮崎県の村「椎葉村」にある、生半可な気持ちでは訪れることのできない場所なのだ。

参考:椎葉村図書館「ぶん文Bun」ホームページ(https://lib.katerie.jp/

宮崎県の村だというのに最寄りは熊本空港。そこから車で延々と、かの有名な阿蘇市や高千穂町を超えて2時間半ほど走ったところに椎葉村はある。10月の終わりともなれば山の木々が赤く色づきはじめる紅葉が美しい村で、秋の平家まつりやひえつき節、そして冬の神楽が有名な「平家落人伝説」の土地である。

参考:椎葉村観光協会ホームページ(https://www.shiibakanko.jp/

秘境の図書館をプロデュースしたスペシャル司書?

「知る人は少ない」と書いたが、今「ぶん文Bun」は九州圏内を中心にじわじわと人気を集めている。2020年7月18日にオープンして以来2021年秋頃までの来館者数は2万人超え。「2万人」というと都会の施設で言えば少ないようだけれど、人口わずか2,500人の小村(人口密度は1平方キロメートルあたり約5人)にそれだけの人々が訪れるというのは「どえらい」ことなのだ。

そして「2人目のスペシャル図書館司書」と書いたからには1人目のスペシャル図書館司書が居るはずであり、何を隠そう本記事の執筆者である小宮山剛こそが1人目のスペシャル司書としてそんなどえらい図書館をプロデュースした「クリエイティブ司書」である。

私は2019年の4月に椎葉村へ移住した。移住する前に住んでいたのは東京都世田谷区池尻。渋谷の隣にある大都会で芸能人御用達のお店なんかが並ぶ情景を堪能しながら過ごしていた私が「日本三大秘境に住むよ」と友人らに告げたときは、心のピースが欠けてしまったんじゃないかと大いに心配された(気がする)。

しかし私は「都会に疲れたから」移住したのではない。私には「秘境の図書館をプロデュースする」という大きな仕事が待っていたのだ。

私が「椎葉村という秘境が図書館をつくりたいがノウハウが無くて困っているらしい」という情報を得たのは、椎葉村の地域おこし協力隊募集を知ったからである。地域おこし協力隊というのは総務省の事業で、簡単に言うと「都会から地方への人流を生み出すために総務省の財源を地方自治体へ投下するから、それぞれの自治体の課題解決・移住者獲得のベストマッチを図ってください」というような、まさに「Locality!」の読者の皆さんと相性抜群な施策である。

参考:地域おこし協力隊とは<総務省>(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html

地域おこし協力隊はそれぞれにミッションを持っており、私が惹かれたミッションこそがクリエイティブ司書だった。図書館に関しては素人(職歴はガス会社→新聞記者のみ)である私の図書館企画が無事かたちになり、椎葉に今までは無かった人の流れが生まれてくれていることは、ひとりのビジネスパーソンとして万感の思いが胸に至る。

椎葉村図書館「ぶん文Bun」はホントにすごい?

椎葉村図書館「ぶん文Bun」の注目すべきところは、そのメインコンセプトが「学び」でも「憩い」でもなく「UIターンの創出」にあるということだ。
 

そのコンセプトは、ぶん文Bunのキャラクターである日本ミツバチの「コハチロー」にあらわれている。当然のことながら「ぶん文Bun」はミツバチの羽音であり、コハチローは椎葉村で養蜂をする人が大切にしている日本ミツバチである。なぜ日本ミツバチが図書館のキャラクターになるかというと、それこそがクリエイティブ司書である私のクリエイティブな仕事である。

参考:ぶん文Bunキャラクター「コハチロー」のTwitter(https://twitter.com/ShiibaVillLib

地域おこし協力隊としての初仕事は「交流拠点施設・図書館のコンセプトづくり」であった。まさか開館まであと1年半(着任2019年4月、開館予定2020年7月)というタイミングでコンセプトが定まっていないとは思いもよらなかったが、大きな方向性として「子ども達が楽しめる場所」「人口減少の村にUIターンが増えるきっかけになる場所」という認識は企画の方向性として共有されていた。

もちろんそのままではつまらない。「子ども達が楽しめる図書館」・・・まったくつまらない。
 

私はコンセプトを椎葉独自のものとするために、椎葉ならではの存在で子ども達に似通うものを探した。イノシシや鹿の子ども、神楽面、木々の葉っぱにいたるまで、私はあらゆる存在に「可愛い子ども」の影を探した。

そんななかで出会ったのが、椎葉村で養蜂をしている方が「素手で」可愛い可愛いと言いながらミツバチの巣を手入れしている様子だった。温厚なミツバチは滅多に人を刺すことがないのだが、だからと言って素手というのは怖ろしくないのだろうか・・・そう思い尋ねてみれば「心が通じているから大丈夫・・・いやたまに刺されるけれど、痛くない」とのことだった。

よく可愛い子どものことを「眼に入れても痛くない」というが、私はまさにこれこそ「椎葉の子ども」だと思った。刺されても痛くない、可愛い可愛いミツバチ。それこそが、コンセプトを描くのに必要な存在だ。

そしてミツバチは帰巣本能が強いということも知った。「気にいった巣箱には必ず帰ってくる。気にいらなかったら出て行ってしまう」。それはまさにUIターンと同じだ。
 

私たちが築くのは、まるで日本ミツバチみたいに可愛い椎葉の子ども達がすくすくと育つ「巣箱」なのだ。その巣箱を気にいった子ども達は、大人になって村の外へ飛びたってもいつか必ず帰ってくる・・・。


 椎葉の子ども、UIターン創出、椎葉ならではの可愛い存在。全てのクリエイティブ・ピースがハマる瞬間にうち震えた。

参考:ぶん文Bunと、同館が含まれる交流拠点施設Katerie(かてりえ)のコンセプトメッセージ(https://katerie.jp/katerie/

どうして2人目のスペシャル司書が必要なの?

まるで全てがうまく回っているかのような輝かしい文面をお読みいただいたが、開館から1年余り・・・ぶん文Bunの課題は山積みだ。


 そのうち最も大きなものが「村内各所との連携」である。椎葉村の人口と人口密度を前述したが、そこから計算するとわかるように椎葉村は広い(537.3 km²)。わかりやすい例を挙げると、東京23区とほぼ同じくらいに広い。


 そんな村の中に小学校が5校、中学校が1校ある。そしてその全てに図書室があるが、椎葉村内には学校司書さんがいないのだ。各学校に1人ずつ司書さんがいるのが望ましいが、現在は残念ながら、各図書室はいわば野放図の状態となっている。

そして村が広いゆえに、ぶん文Bunへ行くことができない人が大勢いる。ただの広い村ではない。ここは日本三大秘境椎葉村なのだ。車を運転できない高齢の方や、それぞれの事情で外出が難しい方がいる。もちろん線路はないし、村内を走るバスの本数も限られている。ぶん文Bunの感動を全村民に届けることは、まだできていない。

つまり今必要とされているのは、図書館から「飛び出す」ことで村中を駆けまわり、各学校や地区の人たちに本の感動を届けるアクティブな人材なのだ。

「飛び出す司書」、椎葉へ来たらん!

「そんなこと言ったって、日本三大秘境椎葉村に移住してくれる人材なんて皆無だよ」と思う方がおられるかもしれない。


 しかしそんなことはない。まず、図書館司書さんには「アイデアはあるのに予算や規則のせいで活かせない」と思っている方が多い(と見受けられる)。もしかするとこの記事をお読みの方もそうなのかもしれない。

「飛び出す司書」の方には、そうした多くの足枷や既存の枠から飛び出したところで活躍してほしいと思っている。したがって志の高い司書の方にとっては、秘境だろうが何だろうが飛んで行きたくなることこのうえない仕事内容になっている。全国の「私のアイデア、図書館に収まらない!」と悩んでいる司書の方に「飛び出す司書」の募集を知ってほしい。

「飛び出す司書」は、椎葉村地域おこし協力隊としての募集が令和3年11月1日から始まっている。私が東京・世田谷区から地域おこし協力隊として移住した事例があるように、実は椎葉村に移住する地域おこし協力隊はかなり多く、宮崎県下でもトップクラスの数を誇っている。


 参考:椎葉村地域おこし協力隊のFacebookページ(https://www.facebook.com/shiiba.kyouryokutai

私が移住先を椎葉に決定した理由は「どうせ行くならとことん田舎へ」というものだった。日本には表層的にみればいくらでも似たような「地方」があるが、椎葉ほどの秘境は滅多にない。どうせなら、滅多にない生き方をしたいではないか・・・!

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ここまで記事をお読みの方は、椎葉村という秘境にかなり面白い図書館ができていて、そこで新たなミッションが生まれているのだということをお分かりいただけたと思う。そして願わくば「私『飛び出す司書』に興味あるかも」とか「あの人、飛び出しそうだな。紹介してみようかな」とかいう考えに至ってくれていると嬉しい。


 椎葉村の地域おこし協力隊募集は、移住ポータルサイトSMOUT(スマウト)に掲載されている。椎葉村がぶっちぎりの人気秘境である根拠はこのSMOUTをご覧いただくとお分かりいただけると思うが、同サイトが取りまとめている「ネット関係人口スコア」において椎葉村はおよそ常に1位である。つまり、日本で一番このSMOUT上にて注目され続けている・・・と言うことができるだろう。


 さらに、SMOUTのサービスには私が椎葉村へ移住した経緯や椎葉の暮らしのあれこれを語っている「SMOUTラジオ」というものがある。椎葉への移住だけでなく地方への移住を考える際に参考になると思うので、ぜひこちらもお聴きいただきたい。

参考:椎葉村地域おこし協力隊「飛び出す司書」募集<SMOUT>(https://smout.jp/plans/5414


 参考:SMOUTラジオ、小宮山登場回前半(https://podcasts.google.com/feed/aHR0cHM6Ly9hbmNob3IuZm0vcy82YTk2ZTEwNC9wb2RjYXN0L3Jzcw/episode/NGFiNWZlZGYtNTE0MC00ZWYzLWI1NjItNTA0M2RiNjM0YjBk?sa=X&ved=0CAUQkfYCahcKEwjIj7z73_7zAhUAAAAAHQAAAAAQAQ


 参考:SMOUTラジオ、小宮山登場回後半(https://podcasts.google.com/feed/aHR0cHM6Ly9hbmNob3IuZm0vcy82YTk2ZTEwNC9wb2RjYXN0L3Jzcw/episode/NmQ5OWM3MTUtYjVjOS00OWJiLWIxZmEtMjE1ZmU5NWRiMjZi?sa=X&ved=0CAUQkfYCahcKEwjIj7z73_7zAhUAAAAAHQAAAAAQAQ

今の暮らしから飛び出して、椎葉村で「飛び出す司書」になる。そんな飛び出し放題の人生を歩みたい方がいらっしゃることを願うばかりである。募集への応募に係る詳細、締め切りなどについてはぜひSMOUTの募集ページから問い合わせていただきたい。


 椎葉の暮らし、毎日が絶景ですよ。

以上

小宮山剛

小宮山剛

宮崎県椎葉村/第3期ハツレポーター

博多生まれ。慶應義塾を卒業後、静岡の都市ガス会社に就職。新聞記者に転身したのがライター人生のはじまり。今は宮崎県の「秘境」椎葉村にて椎葉村図書館「ぶん文Bun」を運営中!
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