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ある人に、あなたのスマホのお気に入りの写真をみせて!といわれ、この写真をみせたところ、「なにこれ?ウユニエンコかよ!!」と驚かれた。
「あ、あの、家の前の田んぼなんですケド…ウユニエンコ?(なんだそれは…)」
ウユニ塩湖の存在を知らなかった私は、謎のワード「ウユニエンコ」を調べるとともに、我が家の前に広がる田んぼの景色と、それに似ているという「ウユニエンコ」ついてどんな関係性を見出せるのか、改めて考えてみた。
目次
東京ドーム235,268個分!世界屈指の絶景 ウユニ塩湖とは
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ウユニ塩湖とは、日本から見た地球の裏側である中南米、ボリビア多民族国の南部に位置する世界最大級の塩湖である。
標高は約3,700mほど。富士山(標高3,776m)と同じくらいの高地に存在していて、面積は約11,000㎢で岐阜県(約10,621㎢)とほぼ同じ大きさといわれている。かつて海の底にあったが、アンデス山脈の急激な隆起により大量の海水が残されたまま高地の湖となり、その海水が流れ出ることなく乾燥し広大な塩原が形成されたという世界的にも珍しい場所だ。
話のタネにウユニ塩湖の面積(11,000㎢)が東京ドーム(1個₌0.046755㎢)何個分かを換算してみたら、東京ドーム235,268個分…。もう東京ドームに換算する意味がないほどデカくて、とんでもないスケールであるということがよくわかった。
雨季は広大な湖に 乾季は塩の平原になるウユニ塩湖
湖の名がついてはいるけれど、ウユニ塩湖の水位が上昇し水が張るのは雨季(12月~3月)で、この時期になると降水量が増え周辺の山々からの水が湖に注ぎ込まれ、湖面が水に覆われ空を映す美しい鏡のような景色が広がる。
一方、乾季(4月〜11月)に当たる時期には降水量が減少し湖面の水位は下がり、白い塩の結晶が露出する。この状態の時期には遠くまで広がる塩の平原と、特異な地形や塩の表面に様々なパターンが見られるという。4WD車で塩湖上を疾走するというツアーもあるそうだ。
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冬には雪の平原、初夏には生き生きと水をたたえる田んぼ
地球の裏側から話は一気に我が家の前の田んぼに戻る。
秋田県南部にある大仙市の農村に位置する我が家。
毎年9月頃に稲刈りが行われ、11月半ばには雪が降り始め、12月にもなると一面雪に覆われる。さらに雪が降り積もると、そこは見渡す限りの見事な銀世界になる。
「かたゆきわたり」という雪国独特の楽しみもある。春も近い2月の下旬頃、日中に気温が緩み雪の表面が解けたのち、夜から翌朝にかけてひどく冷え込んだ朝にだけできる「かたゆきわたり」。固くなった雪上を、足が雪に埋もれることなく、どこまでも歩いていけるのだ。冬の間でも数日しか見られない現象だ。さすがに4WD車では走れないが、もうこれはツアーにする価値があると私は思っている
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3月から4月にかけて雪が解け田んぼの表面が見え始め、5月に入ると田んぼの土を耕す田起こしが行われる。そしてちょうど今の季節、5月の中旬に水が注ぎ込まれる。
それまで保っていた田舎の静寂が一変、カエルの大合唱で大賑わいとなる。
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水がなみなみと張られた田んぼは、空や周囲の自然を鏡のように美しく映し、雪に閉ざされた冬を耐え忍んだ私たちに生命の息吹と希望を感じさせ、神秘すら感じさせてくれる。
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水が張られた数日後には田植えが始まる。鏡のような水面を楽しめるのはほんの数日の間だ。
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しかし、そのあとは、植えられた幼い稲がお米に成長するまでの様子を存分に楽しめる。そして、もちろんのこと、いちばんの醍醐味は収穫された新米を味わうことだ。
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ウユニ塩湖と田んぼの愛すべき共通点
ウユニ塩湖と田んぼ、どちらにも共通するのはとても魅力的な写真が撮れるということだろうか。
被写体が水面に映り込むことを利用したり、遠近感のない真っ白な平原を利用したトリック写真や、季節で目まぐるしく変わる景色を美しく「魅せる」写真を撮ることもできる。
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ここまで書いてこんなことを言うのも何なのだが、このふたつに共通の関係性を見出すのはウユニ塩湖に行ったことのない私にはちょっと難しい。そもそも比べる対象としてはスケールも、それぞれが担う役割も違いすぎる。
でも、誰もが気軽にスマホで撮影ができて、撮った大量の写真たちを持ち歩けて、それを気軽に世界に向け発信できる時代だからこそ、一枚の写真がどこかに「似てる」っていうだけで広がる世界は無限だ。
私はウユニ塩湖に行ったことがないからこそ、今後田んぼを見て美しいと感じた時に、地球の裏側のウユニ塩湖を思い出すだろうし、逆にウユニ塩湖を見た人が田んぼのことを思い出すかもしれない。
どちらにも共通すること。それは自然の神秘と美しさに満ちていて素晴らしいところだということ。それは間違いのない事実だろう。