天然素材と職人技から優しさを見出し届ける。セレクトショップnositi【東京都江東区】

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東京都江東区亀戸のセレクトショップnositi。オーナーの下河原冬子さんは「着る」という意味を込めた店名に恥じぬ情熱で、旅先の感動から、天然素材と職人技を追い求めています。今回は、下河原さんご自身の歩みをたどりながら、日常の中で挑戦を続けるその姿に密着しました。

nositiオーナー下河原冬子さん

クロアチアで始まった「着る」への思い

下河原さんがセレクトショップを始めるきっかけは、彼女がクロアチアを旅した時でした。「クロアチアに行ったとき、あの国の風景や文化に圧倒されました。帰国後すぐに、自分が感じた衝動を形にしようと思い、オリジナル服の試作を始めたんです」と、下河原さん。その旅の記憶が、店名「nositi」(クロアチア語で「着る」)に込められています。

旅先で出会う職人の暖かさと育む絆。

下河原さんは、旅先で出会った人々との対話や、各地の伝統技術に魅せられ、帰国後はその熱い思いを胸に地方を訪れるようになりました。「新潟県五泉市で見たシルク織りの現場、静岡県磐田市で感じた麻の温かさ、宮城県丸森町の桑茶に触れたとき、どれも私にとって衝撃的で、絶対に伝えたいと思いました」と、実際に足を運んで感じたエピソードを話す下河原さん。


「また前に進もう」止まる足を動かす、伝統技術への思い

下河原さんもまた、すべてが順調だったわけではありません。家庭の事情や体調の問題、さらにはコロナ禍と、様々な困難に直面し、「正直、何度も自分の道に疑問を感じ、足を止めたこともありました。でも、そのたびに『また前に進もう』という気持ちに支えられてきたんです」と話し、続けて「どんなに小さな一歩でも、挑戦を続けることで必ず何かが変わる」と、力強く語ります。

その原動力については、「私が前に進もうと思えたのは、何よりも『人とのつながり』と『現場で感じる温かさ』があったからです。現地で直接職人さんの技に触れたり、お客様から『あなたのおかげでいいものに出会えた』と言っていただけると、自分の選んだ道に自信が持てたんです。また、家族や仲間の支えも大きく、『自分だけじゃない、一緒に歩んでいける人たちがいる』と感じるたびに、困難な状況でも前に進む勇気をもらっていました」と、情熱と感謝の気持ちを込めて下河原さんは話します。

現地で見極めた厳選の品と共にオープンしたnositi

2022年12月16日、下河原さんの情熱が形となったnositiが正式にオープンしました。金曜から日曜のみの営業スタイルながらも、下河原さんが厳選した天然素材の逸品は、多くのお客様の心を捉えています。「お店をオープンする前は、本当に不安もありました。でも、『これしかない』という自信があったんです」と当時の思いを語ります。新潟のシルクやレース、静岡の麻、そして神奈川の手作り石鹸といったラインナップは、すべて下河原さんが実際に現地を訪れて見極めた結果です。お客様に「ただ美しいものを売る」のではなく、その背景にあるストーリーを届けたいという思いが表れています。

終わらない旅。現地へ伝統と思い求めて


下河原さんは今も、日常の中で新たな出会いや発見を求め続けています。「これからも、現地に出向いて実際に手に取って感じたものを、お客様に届けていきたいです。天然素材と職人技の素晴らしさは、まだまだ世界中にたくさんありますから」と、未来への意欲を語ります。nositiを通じて、地域の伝統や技術を守り伝えるとともに、そこにはお客様との温かなつながりを大切にする下河原さんの覚悟がありました。


下河原さんの歩みは、決して派手なものではないかもしれません。しかし、何気ない日常の中で一歩一歩挑戦を積み重ね、そのたびに自らの信念を確認していく姿は、尋ねた人々に勇気と温かさを届けています。「一人ひとりの挑戦には必ず意味がある。私もその一例であり、皆さんの背中をそっと押せたらうれしい」と、静かにしかし確固たる決意で語られるその言葉には、nositiの品々がただのモノではなく、ひとつひとつに物語と情熱が込められています。

下河原さんの挑戦は、天然素材と職人技という形で、多くの人々に希望と感動を与え続けています。私たちも、彼女の歩みから学ぶべき「日常の中の小さな一歩」が、やがて大きな輝きに変わっていくことを確信せずにはいられません。

取材、執筆 木場晏門

木場晏門

木場晏門

神奈川県鎌倉市生まれ藤沢市育ち、香川県三豊市在住。コロナ禍に2年間アドレスホッピングした後、四国瀬戸内へ移住。webマーケティングを本業とする傍らで、トレーニングジムのオープン準備中。

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