群馬県・館林(たてばやし)駅東口から徒歩2分。
「花山うどん」本店へ行きました。
開店したばかりのお店の前は既にガヤガヤと順番を待つ人達で賑わう。
史跡を巡る前の腹ごしらえに美味しそうなうどん屋さんを見つけたので、名前を書いて順番を待つ。
待ち合わせまで時間が少なかったので店員さんに出来上がりまでの時間を尋ねると
「『鬼ひも川うどん』じゃなければすぐ出来ますよ」
「鬼ひも川うどん」とは
「花山うどん」にて大正時代~昭和30年まで販売していたとても幅が広いひも川うどんです。
五代目の手により、60年以上の時を経てここに復活。
2013年と2014年の「U-1グランプリ」と、それを前進とする2015年の「うどん天下一決定戦」で3年に渡って優勝したメニューです。
ここまで来て、その「鬼ひも川うどん」という名物を食べなかったら意味がないのでは?そう思い、なんとか早めに出来ないか?50〜60代のベテラン母さんといった雰囲気の店員さんに相談すると
「『椎茸鬼ひも川うどん』なら大丈夫かなぁ?」
親切な気遣いをしてくれつつ保証はなしと、的確な言葉で注文を受けてくれた。
少しするとその店員さんが微笑みながら早々とこちらに運んできてくれるではないですか!
「早かったですねー♪無理を言ったのに…ありがとうございます!」
そうお礼を言うと、ただただ微笑み返してくれるだけでその店員さんのお人柄が滲み出てました。
時間に余裕が出来たのでゆっくり頂こうとすると「おいしい食べ方」なるものが。中を開くと3つのステップで食べる様に記載されていた。
1.始めの一口は、ひも川そのものだけを味わってください。群馬県産小麦の「甘味」が味わえます。
その通りに一口パクッと。食べてビックリ!甘い!けどこの甘味がたまらなく「うんまっ!」感動の吐息の様な声が出た。
2.下からかき混ぜ、出汁醤油と絡めて、もちもち感と素材の旨みをお召し上がりください(注文品は冷たいうどん)
出汁がなくても美味しい吐息が出るほどだったのに、選りすぐりの具材が絡まったらそれはもう!
「口の中で椎茸から湧き出る出汁ヤバーイ^ ^」
顔の表情筋が喜んでフルフルしてきた。
この時、先程の店員さんを思い出して、群馬の人はこの出汁の様な「じゅわ〜」っと広がる温かさのある県民なのではないかと思えて、更に嬉しくなった。
3.半分ほどで「本わさび」を絡めてサッパリ召し上がれ。
はい、もちろんおっしゃる通りに致します。
甘味のある旨みから、ピリッとスパイスの効いた「味変」に間違いあるはずもなく堪能しました。
本当に感動する味だったので、夜また来てゆっくり味わおうかと店主に営業時間を尋ねると何と、15時までと!えっ!?
「それは…この時期の流行り病の影響ですか?」
そう尋ねると
「いえいえ時期関係なく、ずっと11〜15時までの営業なんですよ」
と言う返事で夜来れないと分かり、名残惜しみつつ店を出た。
1日たったの4時間の営業で回転させているうどん屋が、初めて訪れた館林駅の近くに堂々と立っている。
「うどん天下一決勝戦優勝・三連覇」の旗をなびかせる「たぬきの器」。その出立ちは地元を代表するヒーローそのものだった。
その他に隣りのお土産屋、おまんじゅう屋、お寺の住職などなど、話すとやっぱり温かい。
椎茸の出汁のような群馬の地元の人達ともまた、すぐにでも足を運び交流したくなるような、じゅわっと心温まる小さな旅となりました。