日本のオリーブ産地といえば、香川県の小豆島が有名ですが、最近ではいろいろな地域でオリーブの栽培をするところが増えてきました。
愛媛県今治市の「しまなみ海道」にある大島もそのひとつです。「日本の地中海」とも言われる風土を活かしてオリーブを栽培しています。
オリーブと聞くと、新進気鋭の若手が挑戦しているのかな?というイメージを持たれるかもしれませんが、ここ大島で栽培しているのは、何と平均年齢70歳以上の島民グループなのです!
過疎化等により増えていく耕作放棄地を利用して、大島に住む藤本省四郎さんが中心となり、フロンティア精神溢れる8名のイケメン達が立ち上がり、2013年に600本ものオリーブを植え、栽培を始めたというから驚きです。
昨年(2020年)は、およそ2トンものオリーブの実を収穫し、今年はなんと3トン以上の収穫が見込まれています。
しまなみ海道大島のオリーブ園
今年もたくさん実りました。
大島オリーブの収穫体験
そんなオリーブ園の皆さんとオリーブの収穫作業を一緒にさせてもらいました。
農作業といえば、草刈りから始まり、剪定や水やり、収穫など多岐にわたり結構な重労働です。
さらに言えば、猪が侵入して土を掘り返す(ミミズなどを食べるのだとか)ので、害獣対策なんてのも必要になってきます。
が、こっちの心配をよそに70歳を越えるメンバーによる収穫作業は、驚くほどエネルギッシュです。
「脚立に上っても届かないところに実っているオリーブは、どうやって収穫するのかなぁ」
とオリーブの木をボンヤリ見上げていると、あろうことか、メンバー達は木によじ登って、ガンガン収穫し始めたではありませんか。
心の中で「アニキ超カッコいいっす!」と叫びながら私も一生懸命収穫のお手伝いをしました(木には登ってません)。
一時間ほど作業をすると誰彼ともなしに
「休憩しようやー」
と言い出し、休憩タイムスタート。
お茶を飲みながら伊予弁が飛び交います。
私も端っこに座って一緒に和気あいあいと会話を楽しみます。
が。
この休憩が・・・長い。
10分~15分ほどかと思っていた休憩は、なんとその後1時間ほど続き、ようやく「そろそろやろかぁ」と重い腰を上げだしたのです。
その後も一時間半ほど働いて、昼休憩。
近くのスーパーで買ってきたお弁当を皆で食べます。
午後からも農作業は続きますが、近所に住んでいる方はビールも飲みます。
やはり格好良いっす。
聞くと、農作業は大変ですが、こうして皆で集まって農作業をして、弁当を食べて休憩時間におしゃべりすることが楽しみなのだとか。
「認知症予防よ!」
と快活に話す様子は、確かに認知症にはならないだろうなぁと思わせてくれます。
写真は、中心メンバーの左から田窪豊弘さん(74歳)と藤本省四郎さん(74歳)。
なんとお二人は小学生の同級生で60年以上のつきあいなのだとか。
近くの診療所に集まっておしゃべりしているより、頭も体も使うので本当に健康的です。
ちなみに昼休憩は軽く一時間半越えでした。
透明のボトルに入れた搾りたてのオリーブオイル。
陽にかざすと更にキレイです。
そんな彼らが開催している<オリーブ収穫祭>にも先日参加してきました
<オリーブ収穫祭>では、オリーブの新漬け(塩漬け)や搾りたてのフレッシュなオリーブオイルをパンにつけて試食をしたり、通常よりお安く購入することもできます。
私も試食しましたが、はっきり言ってスーパーで売っている安価なオリーブオイルとは味や風味が全然違いました。
超ウマイ。
ちなみにオリーブの実はそのまま食べるとめちゃくちゃ苦いです。
ただ、品種にもよりますが、最後にオリーブオイルの濃厚な喉ごしを感じることができます。
皆さまも機会があればぜひ試してみてください。
〈オリーブ収穫祭>では、メンバーのイケメン達は売り子に変身し、オリーブオイルや新漬けを販売。
新漬け。
3%の薄めの塩味で美味しく食べられます。
の方々の出店やキッチンカーもきてました。
<オリーブ収穫祭>は毎年11月第二日曜日に開催されます(悪天候時は翌週日曜日)。
「愛媛県は遠くて行けないよ!」
という方は、以下ECサイトにて購入することもできますよー(売り切れ注意)。
そんな今治市大島のオリーブ園ですが、後継者問題など課題もあります。
メンバーはまだまだ元気そうですが、ここまで育ったオリーブが、例えば20年後にまた耕作放棄地になってたりしたら悲しいなぁ・・・と思いました。
でも、もしかしたらこのメンバーの皆さんだったら、90歳になってもまだ元気にオリーブを育てているかもしれません(笑)