「おそらく、はじめましてだろうな」
2021年3月27日、富山城公園側の松川沿いに咲く桜をみながら、ぼくは改めて確認をした。
公園周囲を流れる松川は遊覧船が周航している観光スポットでもあり、周辺住民の散歩やジョギングの場としても知られている。
富山城周辺には新聞社、県庁、市役所、放送局などの施設があり、週末・月末に咲いた桜は通勤帰宅時に思わず立ち寄りたくなる風景に見えるのだろう。ぼくが立ち寄ったときは、スーツや従業服を着た方々が桜のそばで写真を撮ったり、景色を背景に会話をしたり、といった地域のホッとする憩いの光景が広がっていた。
新型コロナウィルス感染拡大により花見やお祭りといったイベントは軒並み中止となっているが、そんな人間の様子を物ともせず、桜は淡々と咲き誇っていたのが印象的だ。
富山で生まれながら、幼少期に千葉へ引っ越しそのまま関東で生活してきたので、それほど富山の四季を味わったわけではない。
しかも3月末〜4月にかけて滞在した記憶はなく、桜を見た記憶もない。
したがって、この時期・桜の両方とも富山では「はじめまして」になる。
もっとも、2021年の桜の開花は全国的に平年よりはるかに早かった。
調べてみると、富山の開花は2001年は4月5日、2011年は4月8日と、概ね4月初旬だったが、だんだん開花は早まり、今年(2021年)は3月24日が開花、満開が3月28日!
(つまりぼくがいま見ている桜はほぼ満開ということになる)
日付だけでみると実感がわかないが、行事でみると驚きが大きい。
例えば20年前であれば、桜の開花や満開は入学式や始業式と重なることが多かった(地方にもよるが)
ぼくの記憶をたどっても、咲き誇る桜並木をくぐりながら登校した記憶はいくつもある。
しかし、今や重なることは減ってきている。2021年にいたっては入学式や始業式どころか、卒業式や終業式の時期までスライドして早くなっている(笑)
入学式や始業式は桜が散った後の並木道。
温暖化が取り沙汰されてることを考えると、今後はその風景が当たり前になるかもしれない。
これをどう捉えるか、意見が分かれるところだろう。
桜並木から新学期や新生活をスタートさせてきた方々からすると、さびしさ、不安、嘆きの声が聞こえてきそうだ。
だが、捉え方次第ではなかろうか。
これからのみなさまの解釈は、それぞれのものだから。
例えば、こんな捉え方はどうだろう?
卒業式や終業式に咲く桜は「門出の花」
入学式や始業式の並木道は「ここからのスタート」「がんばれば、卒業や終業のときには、桜が祝福してくれるよ」
これからのみなさまが、これまでのイメージに囚われることなく、目の前の風景を愛ででくれることを願って。
【松川遊覧船】
https://matsukawa-cruise.jp/