「ガイドの笑顔がゲストの幸せにつながる」。安全第一にお客様に寄り添う、西表島・カヌーツアー風車【沖縄県竹富町】

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沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。

沖縄本島に次いで県内2番目に大きい西表島(いりおもてじま)は、島のほとんどが亜熱帯のジャングルです。島全体が国立公園で、自然豊かな西表島にはカヌー、トレッキング、ダイビングなどを楽しめるスポットがたくさんあり、関連するレジャー業者は130社以上あると言われています。そんな中、お客様に寄り添い、何よりも安全で安心なツアーを心がける「風車」の大谷修一(おおたに・しゅういち)さんにお話を伺いました。

「若いうちに自分の可能性を試したい」と導かれるように西表島へ

写真左:大谷さん、右:ガイドの星崇文(ほし・たかふみ)さん

広島県出身の大谷さんは、3年ほど地元の信用金庫で働いていましたが、当時は地元の中小企業や個人経営の方と接する機会が多く、その中で「自分の才能や頑張り次第で結果を出すことができる仕事をしてみたい」と思ったそうです。

会社を辞めることにした大谷さんは、大好きだった北海道に行こうかと思ったそうですが、その前に知人に勧められた沖縄の竹富島を旅することに。1998年4月、「2週間くらいちょっと旅してくる」つもりで降り立った竹富島ですが、期せずしてそこで1年間生活することになってしまいます。

節約のため、竹富島で野宿をするつもりだった大谷さんですが、島は「野宿・キャンプ禁止」。仕方なく短期のアルバイトでもしようかと考え、紹介されたレンタルサイクル屋にその足で面接に行ったら、採用条件が1年契約だったのです。

「いきなり1年はちょっと長いなと思いながらも、あまり深く考えずに働き始めました。でも、竹富島がまず良い雰囲気だったんです。石垣島から近くて、自転車で走るのにちょうどいい広さ。働いているうちに、沖縄の暮らしもいいなあと思うようになりました」

そして、自分でレンタサイクル事業を始めようと考えましたが、あまり広くない竹富島で起業してはお世話になっている人と商売敵になってしまうと考え、土地も広く、しがらみのない西表島に行こうと決めました。

「あまりリサーチもせずに西表島に行ったのですが、西表島は石垣島から船で1時間かかるんです。しかも冬場は風が強くて欠航することも多い。石垣島から気軽に来るような島でもなく、そもそも自転車で回るには島が広すぎる。あんまりお客さんもいなくて、これはやばいと思いながら頑張っているうちにカヌーと出会って、レンタサイクルでお客さんに遊んでもらうより、自分でカヌーを漕いでお客さんと一緒に遊んだほうが楽しいとわかって、カヌーツアー風車を始めることにしました」

という大谷さん。

最初の頃は民宿にビラを置いてもらったり、港で看板を持ってお客さんに声をかけたりという営業スタイル。オフシーズンはほとんど観光客もいないので、2年ほどは冬場は島を出て自動車工場で働き、夏になると帰ってくるという生活をしていたそうです。当時はツアー業者も少なかったそうですが、出稼ぎで稼いだお金でカヌーを増やし、送迎車を買い、少しずつ事業を大きくしていきました。

「天気が悪い時こそ、うちのツアーの良さがわかる」

現在西表島にはマリンレジャー関連業者が130社以上あると言われていますが、沖縄県公安委員会が、安全対策が十分に満たされていると認めた「安全対策優良海域レジャー提供業者」(以下、マル優事業者)はほんの数社だけ。風車はその数少ないマル優事業者です。

「安全って何なのか、それを具体的にわかりやすくする一つの取り組みがマル優事業者なんです。マリンレジャー業者は警察に届け出をするのですが、それは免許ではなくて、一定の安全基準を満たさないとマル優事業者にはなれません。年1回の立ち入り検査があって、やはり第三者の目でチェックをしてもらうというのが大事だと思っています」

ただ、それがあるから100%安全とは言えない、と大谷さんは語ります。

「例えば天候ですが、天気が崩れるときというのは、突然悪くなるわけじゃなくて、少し前にはあらかた予想がつくんです。そんな時はなるべく早くその情報を参加者に伝えるようにしています。それが安全につながると思っています」

参加者のメリットとして、早く伝えてもらうことによって、ツアー参加をやめたり、内容を変更したりという選択肢ができます。大谷さんは現地の状況やツアーを行う場合のリスクを説明して、その上で可能な範囲のアクティビティを提案します。参加者はリスクをわかった上で参加するので、ガイドも案内しやすいそうです。

「そういう状況だとキャンセルするお客様も多いんです。それは店にとっては手痛いダメージになってしまう。でも、それでも、前の日に正確な情報を知ってキャンセルすることで、危険を回避できたり、仕方なく悪天候の中ツアーを強行して楽しくなかった、という思いをすることはなくて済むんです。うちは無理をしないというスタイルでやっています」

常にお客様目線で、お客様を喜ばせたいという大谷さんの思いが伝わってきます。

その思いを伝えるために、HPには詳しい情報を載せているという大谷さん。

「天気による中止基準も、少雨決行、としたらその一言だけで済ませるというやり方もあります。でも雨の感じ方は人によって違います。だから、その人がどのくらい雨を愉しむ気持ちがあるのか、事前のメールとか電話のやり取りで見極めて、本当に楽しんでやろうという人に参加してもらうので、天気の悪い時にこそ、うちのツアーの良さがわかるのかなと思います」

また大谷さんは子どもを持ってわかったことがたくさんあるといいます。小さい子供がいると、他の参加者に気を遣うことも多いので、家族連れと若い人のグループはなるべく分けるようにしています。年齢の高い人が参加する時は、普段の暮らし方を聞いた上で、リスクを説明したりと、参加者のニーズと状況にあったツアーを開催しています。

また、他所のマリンレジャーやアクティビティの事故を他人事だと思わずに検証したり、ヒヤリハット(危ないことはおこったが、幸い災害には至らなかった事象のこと)の情報共有も大事にしています。リスクを参加者に十分に説明することで、それが予約につながらないことがあったとしても、より安全なツアーが出来ていると自負しているそうです。

一押しは「ピナイサーラの滝を楽しむ」コース。コースを知り尽くしたガイドならではの、最高のサービスを

ピナイサーラの滝上からの絶景

風車のメインのツアーは「ピナイサーラの滝」(滝上&滝つぼ)コース。実は筆者も5年前に体験している、ダイナミックでドラマチックなコースです。

「ピナイサーラの滝」は数ある西表島の滝の中でも沖縄県一の落差55mを誇る滝です。片道約40分かけてマングローブの森をゆったりとカヌーで漕ぎ進み、その後滝の上を目指して小一時間の山登り。滝の上からはとなりの鳩間島を一望でき、まさに絶景です。その景色を眺めながら、ガイドの方が用意してくれた美味しいランチ。その後、滝つぼへと山を下ります。下から眺めるピナイサーラの滝も、大迫力です。条件がよければ滝つぼで水遊びもできます。

おやつを頂いて一休みしたら、トレッキングとカヌーで出発地点に戻ります。

滝つぼで水遊びを楽しむ筆者(中央左)

実は、現在風車は大谷さんのほかにツアーガイドの星さんと、事務やHPなどを担当されている大谷さんの奥様の3名で運営されているそうです。以前はもっと大所帯でしたが、コロナで仕事が減り、人数も最低限に。現在スタッフ募集中で、来年にはガイドが二人増える予定だそうですが、一人前のガイドになるには少し時間が必要とのこと。

「フィールドが良いので、青い空、青い海が見えているところでカヌーを漕いだら、たいていの人は楽しめると思います。フィールドが楽しませてくれる。ただ、実際にガイドの力量が出てくるのは天気の悪い時やトラブルが起こりそうなとき。そういうときの対応ができるには時間がかかると思います」

大谷さん自身は、「自分が長くやれるような体制を作っていきたい」と言います。

「西表島にはたくさんのスポットがあって、いろいろな楽しみ方ができます。でもうちはツアー内容を絞って、同じようなツアーを繰り返しやるようにしているんです。そうすることによって、そのフィールドに精通することができる。予期せぬ事故を減らすには、繰り返し何年も何十回も行くことが大切かなあと思っています。ただ、僕自身は毎回行くのはだんだんハードになってきていて。ツアーの参加者の年代も上がってきているので、年齢層高めの人や体力のない人でも楽しめるようなライトなコースをピナイサーラの滝周辺で開催するようにしています。それが僕自身のガイド寿命をもたせることにもつながるのかなあと思っています」

大谷さんが風車を始めた頃には放浪の旅で来る人が多かったという西表島も、今やリゾート地になってきていて、ツアー参加者のメインの年代は50代から70代だそうです。

ライトなコースを希望する方には丁寧なリサーチで無理のないツアーを、またハードなコースは安全度を増すために、早い時間に出発するように設定を変えているとのことです。

「石垣島から来るのに便利な時間の船がすごく混むんです。だから、石垣島から来る人には一便早い船に乗ってもらうようにしています。そうするとより素晴らしい景色に出会える。暑くなる前にジャングルに入れば熱中症の危険も下がります。ただ、朝早いのはハードルが高くて人が集まらないのも現実としてあるので、なぜそうしたいのか、そのメリットをHPやブログでお伝えしていきたいなと思います」

初夏限定サガリバナカヌーコース

素晴らしい自然に恵まれた西表島を訪れる人に、少しでもその良さを実感してもらえるように、楽しく、無理なく参加できるツアーを。

旅は行く前から始まっています。どんなツアーを、どんな会社を選ぶのか、思いを巡らす時間も楽しい。会う前から、ゲストに思いを巡らせてくれる、そんな風車のツアーをぜひ選択肢の一つにしてみてください。

西表島カヌーツアー風車

https://kazaguruma-iriomote.jp/

笠原 磨里子

笠原 磨里子

千葉県浦安市

第3期ハツレポーター

東京都港区生まれ。世田谷区を経て千葉県浦安市在住。3人の男の子を育てながら、PTAや自治会、ボーイスカウトの指導者など、地域と繋がる活動をしてきました。
「食べること」「体を動かすこと」「歌うこと」「旅すること」が大好き♬
楽しく地元の魅力を発信していければと思っています!*

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