積丹の豊かな自然が育み、漁業組合が守る。積丹ウニのおいしさ さいとう漁業【北海道積丹町】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

 

【美しくきれいな海 ソーラン節のふるさと・北海道積丹町】

対岸にロシアを望む北海道の日本海側、後志(しりべし)地域の中の積丹(しゃこたん)半島先端に位置する積丹町。まちの海岸がまるごと「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に含まれており、「積丹ブルー」と呼ばれる美しい海や海岸は、北海道で唯一の海域公園に指定されています。

古くから豊かな海と交わってきた積丹町では、明治から昭和初期にかけてニシン漁が最盛期を迎えました。漁に出る荒々しい「やん衆(北の海の漁師たちのこと)」が、あの有名な民謡「ソーラン節」を生み出したと言われています。

そんな海のまち・積丹町でイチオシの特産品となっているのが、ウニです。積丹町の海沿い中央部にある野塚町(のづかちょう)という地域で約50年前からウニ漁を営む「さいとう漁業」の齋藤美穂(さいとうみほ)さん(29)に、ウニへのこだわりについてお話を伺いました。

 

【積丹の豊かな自然が育み、漁業組合が守る。積丹ウニのおいしさ】

ウニは日本各地の海で穫れますが、おいしいウニの産地といえば、北海道を思い浮かべる方も多いと思います。その風味を左右するのは、ウニが主食とする海藻類の質と、生息する海の豊かさです。齋藤さんによると、ウニは雑食性のため、同じものばかり食べていても身がスカスカになるのだそう。「積丹ブルー」を冠する海は透明度が高く、太陽光を多く取り込むので、光合成で栄養を蓄える海藻類を筆頭に、さまざまな生き物が豊かに生息しています。その豊かさの中でいろんなものを食べることで、肥えて太ったおいしいウニが育まれるのだといいます。

さらには、さいとう漁業をはじめ、積丹のウニ漁師の方々は、ウニを獲って終わりにはしないのだとか。積丹の豊かな海は、絶妙な環境バランスの中でその美しさが保たれています。漁によってウニだけがいなくなってしまうと、そのバランスが崩れてしまうため、シーズンが終わった9月頃に、痩せた海域にいるウニを漁場まで移殖することで、バランスのとれた豊かな海を守っています。この移殖の作業は、積丹のウニ漁師の間では必須とされており、それを行わないと翌年の漁には出してもらえないほどだそうです。

また、さいとう漁業が所属する東しゃこたん漁業共同組合では、生ウニの加工に欠かせない保存料のミョウバンの使用が禁止されています。ミョウバンを使うと、ウニの身が締まって固まり、型崩れを防いだり賞味期限を延ばしたりできるのですが、ミョウバン由来の苦味がどうしてもウニの風味を阻害して、味が必ず落ちてしまうのだそう。さいとう漁業のウニは、組合の取り決めに従い、ミョウバンを一切使用していません。鮮度をキープするため、海水に近い濃度の塩水に浸した状態でパッキングされ、獲れたてのおいしさを閉じ込めています。

豊かな海の恵みを受けておいしく育ったウニを、ミョウバンで風味を損なうことなく新鮮なまま食卓まで届けられる。それが、「積丹」ブランドのウニの強みです。

 

【さいとう漁業のウニで、ウニ本来の味を楽しんでほしい】

そんな魅惑の積丹ウニ。さいとう漁業では、ムラサキウニとバフンウニの2種類を出荷しています。ムラサキウニは身が柔らかくふわふわで、甘さも優しく、あっさりしていて食べ飽きないお味。齋藤さんによると、とても柔らかいので、市場に出回るほとんどがミョウバンにくぐらせた輸送に耐えうるものだそうですが、さいとう漁業ではミョウバン不使用の塩水パックでお届けするため、とろっとクリーミーなムラサキウニ独特の口溶けが存分に楽しめます。

バフンウニは、漁師の間ではその棘(とげ)の色から「アカ」と呼ばれており、身も赤く固めで、とっても「ウニウニしい」濃厚なお味。ムラサキウニに比べると、バフンウニの方が全体数が少なく、獲るのも難しいため、希少価値が高いとされています。さいとう漁業の親方、齋藤博文(さいとうひろふみ)さん(51)は、組合の中でもこのバフンウニを獲る名手とされ、「アカトリ」の異名をお持ちだといいます。

「私、ウニ嫌いなんですよ。食べないんだよね、積丹の以外は」。齋藤さんはそう言って笑います。その理由は前述の通り、積丹のウニこそウニ本来のおいしさが味わえるから。「ウニ嫌い」とうそぶく齋藤さんは、自分たちで獲ったウニをアルミホイルに乗せ、軽く焼いて食べるのがお好きだそうです。

「これがほんとのウニだから。ほんとのウニの味を知ってもらいたい」。海で獲れたばかりのものを、その場でそのまま食べているような感覚が味わえる、さいとう漁業のウニ。ぜひ旬のうちに楽しんでほしいです。

ヨコイリカ

ヨコイリカ

東京都文京区

事業部長

ハツレポーター

ふるさと:
香川(出身地)、京都(大学時代から12年間居住)、名古屋・銀座・文京区(仕事場)

全国全世界の「地元の魅力」と「歴史ロマン」と「美味しいもの」にまみれて生きたい。田舎っぺの底力を見せつけてやるー!