
點心師(てんしんし)が手がける本格飲茶を、アフタヌーンティーとして味わえる特別な一軒。 名古屋・白川公園のそばにたたずむ「茗圃(みょうほ)」では、中国茶と點心(てんしん)をゆっくり楽しむ“静かな時間”が流れています。
14時から提供されるアフタヌーンティーは、“大人の隠れ家”として静かに人気を集める存在。 純広東料理店ならではの丁寧な點心とお茶が、ここだけのひとときをつくり出しています。
目次
茗圃に心ひかれたきっかけ
白川公園のすぐ近くに、 中国茶と點心を楽しめる「茗圃」があることを知り、 いろいろなアフタヌーンティーを取材する中で “名古屋で中国式アフタヌーンティーが体験できる場所”として気になっていたお店でした。
今回、初めて訪れてみて、 名古屋の真ん中にこんなにゆったりとした空気が流れていることに驚かされました。

店内に一歩足を踏み入れると、窓の外に白川公園の緑がそっと広がり、落ち着いたクラシカルな空間が迎えてくれます。
名古屋の中心にいることを忘れてしまうような穏やかさに包まれ、ここで過ごす時間への期待がふっと高まります。
この場所を選んだ“運命的な理由”

茗圃が白川公園前に店を構えることになった背景には、董事長(とうじちょう)である森太郎さんの記憶と深く結びついた“ひとつの物語”があります。
ここは、かつて広東料理の名店《九龍》があった場所。
まだ森さんが中学生だった頃、家族で外食をするのはあまり気が進まなかった時期でさえ、「この店なら行ってもいい」と心から思えた、特別なレストランでした。
科学館の前の地下にあった《九龍》は、熊の手が飾られた独特の雰囲気とともに、他の中華料理店とは明らかに違う“本物の広東料理”を味わわせてくれる店だったのです。
叉焼、スープ、炒飯──どれも子どもの森さんでも分かるほど、他とはまったく違ったおいしさがありました。
当時の日本では、中国全土の名物料理を並べた“中華料理店”が主流で、北京料理や上海料理、広東料理の専門店はほとんど存在しませんでした。
そんな中で《九龍》は、50年も前から広東料理専門店として名古屋に根づき、森さんに“広東料理の魅力”を初めて教えてくれた場所だったのです。
年月が経ち、茗圃の新しい候補地を探していたときのこと。白川公園前に良い物件があると聞き訪れてみると、そこはまさに、あの《九龍》のあった場所でした。
科学館の前──森さんと広東料理が出会った場所。「もう、ここしかない」と確信し、その場で契約を決めたといいます。
茗圃がこの地にあるのは、そんな深い縁があってのことなのです。
アフタヌーンティーの源流

そして、この店の魅力は“場所の物語”だけではありません。 茗圃でいただくアフタヌーンティーには、 実は もっと古い“お茶会の原点” が静かに息づいています。
ここからは、その源流について少し触れていきましょう。
英国式アフタヌーンティーの原点は、 実は中国の茶文化にあると言われています。 “お茶を囲んで語らう時間”は、 中国では古くから大切にされてきた習慣です。
茗圃という店名も「茶園(Tea Garden)」を意味し、 ここでは“お茶を味わう時間”が中心にあります。
古くから受け継がれてきたものを大切にしながら、 今の暮らしに合う形でそっと届けてくれる—。 茗圃が大切にしている「温故知新」という言葉が、 この空間とお茶の時間に静かに息づいていました。
まずはお茶選びから

16種以上の茶葉から、香りを確かめながら選ぶひととき。
茶藝師さんが一つひとつ丁寧に説明してくれる、その時間が“始まりの儀式”のようでした。

香りを確かめながら茶葉を選ぶ時間は、 このティータイムが“特別な体験”であることを静かに教えてくれます。
並べられた茶葉には、 鉄観音、鳳凰単叢、武夷岩茶、台湾烏龍茶、中国紅茶、福建白茶、東方美人、プーアル茶など、 個性豊かな香りと表情がそろっています。
茶藝師(ちゃげいし)が目の前でいれる「本物の中国茶」

湯温、茶器、所作— すべてが茶葉に合わせて丁寧に整えられ、 一煎ごとに香りや味わいが変化していくのを五感で楽しめます。
茶器が触れ合う小さな音、 そっと湯を注ぐときの静かな動き、 茶藝師さんの落ち着いた所作。
茶杯にお茶が注がれる瞬間、 ふわりと立ちのぼる香りが、この時間をより深く、豊かなものへと導いてくれます。
20種類以上から選べる點心(てんしん)

茗圃のアフタヌーンティーは、 熟練の點心師が皮から手仕込みする、本格的な飲茶スタイル。
常時20種類以上の點心が並び、 その中から好きな2種または4種を選べます。
海老蒸し餃子、小籠包、春巻き、湯葉巻き、 椎茸とイカの蒸しもの、大根餅、焼売、エッグタルトなど、 どれも個性豊かで、選ぶ時間さえ楽しいラインナップです。
〈実食レポ〉蒸したての湯気とともに広がる“やさしい味”

蒸籠のふたを開けた瞬間、ふわっと立ちのぼる湯気にまず心がほどけます。

手に取った叉焼(ちゃーしゅー)まんは、生地が驚くほどやわらかく、そっと割ると、中から甘じょっぱい餡がとろり。
蒸したてならではの香りがふわっと広がり、思わず頬がゆるむ一品でした。

エッグタルトと胡麻団子は、 どちらも小ぶりながら存在感のある一品。
エッグタルトは、 サクッとした生地に、やさしい甘さのカスタードがとろりと広がります。
胡麻団子は、 香ばしい胡麻がふわりと香る、素朴であたたかみのある味わい。
派手さは控えめながら、 どの一品にも“丁寧に仕上げられた味わい″です。 それが、茗圃の點心の魅力だと感じました。

茶藝師の中田さんに、 中国茶をおいしくいただくための所作を教わりながら、 自分の手でお茶をいれてみます。

ひとつひとつの動きを丁寧にたどると、 お茶の味わいが驚くほど変わることを実感しました。
渋みが出ないようにいれる方法を教わり、 同じ茶葉でも何度も楽しめることに、 思わず「こんなに違うんだ」と驚かされます。
白川公園を望む、静かな大人の空間

名古屋の中心にありながら、 ここだけ時間がゆっくり流れているような静けさ。
落ち着いた灯りに包まれた店内には、 整えられた円卓が静かに並び、 椅子や調度品の深い色合いが空間に品のよさを添えています。 どこか凛とした空気が漂い、 訪れる人をそっと迎え入れてくれるようなたたずまいです。
「茗圃」のアフタヌーンティーは、単なる飲茶セットではなく、名古屋という街が受け継いできた多文化の交差点に触れる体験です。
白川公園の緑、職人の技、茶藝師の所作。 そのすべてが重なり合って生まれる、静かで深い“真のアフタヌーンティー”。名古屋の午後に、そっと寄り添う時間でした。
店舗情報
茗圃「アフタヌーンティー」プラン概要

茗圃のアフタヌーンティーは、 中国茶と點心をゆっくり楽しめるシンプルで満足度の高い内容です。
・選べる點心
下記から2種類または4種類を選べます。
<追加料金なし> えび餃子、季節野菜入り蒸し餃子、広東焼売、ショウロンポウ、本日の饅頭、精進野菜の湯葉包、椎茸といかすり身の卵白蒸し 大根もち、ごま団子、ココナッツ団子、カスタード饅頭 バナナ饅頭、蒸しカステラ、エッグタルト、マンゴープリン、 アンニンドウフ、ココナッツミルク
<追加料金+220円> フカヒレ餃子、スペアリブの黒豆蒸し、えび春巻、黄ニラ入り湯葉の焼物
・タピオカ入りココナッツミルク
食後にやさしい甘さのデザート。
・数十種類から選べるお茶
茶藝師さんの説明を聞きながら、好みの一杯を選べます。

アフタヌーンティー料金
・點心2種セット:2,420円(税込)
・點心4種セット:3,300円(税込)
【留意点】アフタヌーンティーをご利用の場合、 必ずしも茶藝師の方が対応できるとは限らず、 ウェイターやウェイトレスの方がお茶の説明やいれ方を案内してくださることもあります。
茶藝師による本格的なサービスをご希望の場合は、 テーマ別茶会(3,500円)や茶藝講座(5,000円)も開催されていますので、 ご興味のある方は店舗にお問い合わせください。
店名:茗圃(みょうほ)
所在地:名古屋市中区栄2-12-22 ウィンコート白川 1F(地下鉄「伏見駅」5番出口 徒歩6分)
電話:052-890-7436
店舗HP:https://myoho-nagoya.com/
予約:事前予約がおすすめです。(⼀休.com・食べログなど)
茗圃 (ミョウホ) – 伏見/中華料理 [一休.comレストラン]:https://restaurant.ikyu.com/112837?sceneTagIds=2981
茗圃 (みょうほ)のご予約 – 伏見/中華料理 | 食べログ:https://tabelog.com/aichi/A2301/A230102/23033553/?msockid=1684632089c063542c22744f883a622b
※画像:2026年5月21日蜷川華撮影、一部キャプション記載のものは、「茗圃(みょうほ)」提供





