永沢碧衣の「アート×マタギの世界」

(写真①:幅6メートル以上の熊の絵「山景を纏う者」)

私は、「阿仁マタギ」で有名な秋田県北秋田市に住み、狩猟免許を取得し地元の猟友会に所属している。私と同じく狩猟免許を持ち「猟師」である、永沢碧衣(ながさわ・あおい)さんと初めて会ったのは、2021年5月、阿仁の伝統狩猟の見学時であった。永沢さんは見学の3日目に横手市から阿仁に駆けつけてくれたが、生憎の雨模様で猟は中止となり、宿泊先でおしゃべりをして解散となった。その時に永沢さんが絵を描いている方だと知り、インターネットで名前を検索したところ、力強い熊や鷲、魚の絵が表示されたので、可愛らしい外見とのギャップに少し驚いたのを覚えている。

(写真②:「還る者」)

その後も、テレビ番組の撮影で山歩きを何度かご一緒したり、個展のお手伝いをしたりしたことから、彼女の狩猟活動とアート活動の両方に接する機会に恵まれた。絵をご覧頂ければ分かる通り、永沢さんの作品のモチーフは動物で、生命力に溢れた力強く大きな作品が多い。幅6メートル以上の大迫力の熊の絵を目の前にすると、彼女の内面世界の豊さに圧倒される。

(写真③:秋田内陸線の車両の天井画)

阿仁で開かれた個展が地元メディアで大きく報道され評判になったことから、同市にある合川小学校でも絵が展示されることになり、個展に訪れた秋田内陸線の職員の提案で列車の内装の天井画を担当することにもなった。また、ハタハタという魚とそれを原料とした「しょっつる」という魚醤の食文化に関する絵本「ハタハタ、け」の制作もしている。秋田の海と山の両方をフィールドにした彼女の活動は、秋田の自然の多様さと奥深さも実感させてくれているように思う。

(写真④:永沢碧衣「ハタハタ、け」一般社団法人スローフード協会、2022年2月)

豊かな森と海と動植物に囲まれながら、永沢さんにはこれからも伸び伸びと創作活動を続けてもらいたい。1人のファンとして、次の作品を楽しみにしている。

永沢碧衣さんのポートフォリオサイト

AOI NAGASAWA  ART WORKS

https://www.aoi-nagasawa.com/

貝田真紀

秋田県北秋田市 / 第1期ハツレポーター

現在、阿仁マタギで有名な北秋田市に引越し、「地域おこし協力隊」として地域振興に取り組んでいます。狩猟免許を取得して北秋田市の森吉猟友会にも所属したので、今後は狩猟活動も展開していく予定です。モスクワには3年半ほど住んでいたので、モスクワにも思い入れがあります。「秋田×ロシア」でも何か仕掛けたいです。