未来を拓く 「ここにしかないもの」が生む新たな価値【鹿児島県南大隅町】

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本社工場の屋上から見渡す鹿児島県最南端の光景。かつては校舎であった。

〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

鹿児島県肝属郡南大隅町(きもつきぐんみなみおおすみちょう) に2016年に設立された「株式会社ボタニカルファクトリー」。代表取締役社長の黒木靖之(くろき・やすゆき)さんは、20代のとき、「植物がお肌のために生まれ変わる場所」をつくるために本質的な植物由来の化粧品を開発することを決心しました。

化粧品業界に携わった25年間での開発商品数が1000点を超える黒木さん。医薬品的な成分を一切使わず、植物が本来持つ力を最大限に引き出した商品を作り、事業を通じてご自身の出身地である南大隅町の豊かな自然環境が生む新しい可能性を広げています。

「つねにいいと思えるもの」を作りたい

黒木さんの化粧品開発の原点である手作り石けんには、南大隅町で育ったイネ科の植物「レモングラス」の香りが配合されています。その後、同地域に自生する植物「月桃(ゲットウ)」の葉から蒸留水を作り、化粧水として製品化するまで8年を要したといいます。

「育つ地域や季節によって素材は異なり、自然ならではの不安定さがあって難しい。商品自体を変えずに成分を微調整することで、つねにいいと思えるものを作っていきたいです」と黒木さんは話してくださいました。

植物(ボタニカル)×輪唱(カノン)

【写真】インドと同じ北緯31°にのびのび育つホーリーバジル

そして2016年に、柑橘類や精油などの植物由来の防腐エキスを配合した自然由来成分100%ブランド商品『ボタニカノン』が誕生。「植物が折り重なり、輪唱を奏でる」イメージが込められています。

化粧水には、月桃の他にインド原産のシソ科の植物「ホーリーバジル」の葉や、柑橘類のタンカンやパッションフルーツなどが使われています。

2021年8月に黒木さんの元を訪れた都内の大学のインターン生は、ホーリーバジルの収穫・裁断、水蒸気蒸留を体験したそうです。今後、「株式会社ボタニカルファクトリー」を働く場として関心を寄せる人たちへ、ワーケーションなどの自由度の高い働き方を提案したい、と黒木さんは話します。

「地方でも、ものづくりはできる」

色ムラや傷などが原因で市場に流通できず廃棄される果実。それらを買い取ることで「もったいない」をなるべく減らし、農家さんの生産意欲の向上に貢献する黒木さん。

山形県産の果実ラ・フランスの香りを活かした香水や、和歌山県のみかんや梅などを使った商品の開発にも携わる黒木さんは「価値はどこにいても生み出せる」と考えています。

地元農産物を活かした「ここにしかないもの」には、その地域の未来を拓く大きな可能性があり、「地域の未来を創りあげたい」という同じ想いを持つ、人と人との繋がりを感じます。

何度でも訪れたくなる町へ

【写真】本社屋上のテラスで海に沈む夕日を眺める。

「ここは、例えていうなら愛情のこもったレストランです。身体と健康のために作られる栄養たっぷりのお味噌汁のように、南大隅町の大自然の恵みが私たちの健やかなお肌と心を育ててくれるんです」。

商品のボトルを開け、素材本来の豊かな香りを肌で感じ、南大隅町に想いを馳せる。気づけば、大隅半島の大自然に囲まれていた……。

そんな、”自分を解放する旅”に、出かけてみませんか?

田畑詞子

田畑詞子

秋田県秋田市

第1期ハツレポーター

1978年秋田県生まれ。清泉女子大学文学部英語英文学科卒。東京で就職後、いったん帰秋。2017年、横浜在住時にライター養成講座に通い、その後地元秋田でWeb記事の取材・執筆活動に携わるようになる。
日々の暮らしをブログに綴ったり、親しい仲間や縁遠くなった友人へ手書きのZINEを書いて送ったりと、書くことが好き。エッセイや小説へも関心がある。

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