「“やんばる産チョコレート”でローカルと世界をつなぐ」 脱サラ移住者の甘くない挑戦

(写真)店先でチョコレートに使っている泡盛を手に笑顔の川合さん=川合さん提供

「チョコレートでローカル(地域)と世界をつなぎたい」。日本のローカルで栽培されたカカオを使って甘いチョコレートを作り、持続可能な地域経済を生み出し、世界とつながるーー。そんな甘くない野望に挑戦する男性がいる。首都圏でのサラリーマン時代を経て、4年前に沖縄県にIターンした川合径さん(42)=千葉県出身 だ。

「僕がローカルで何かをやりたいと思ったきっかけは、東日本大震災だったんです」

サラリーマン時代は、起業家支援や人材育成に携わっていた川合さん。その中で、震災後の東北沿岸部を訪れる機会があったという。そこで触れたのは、大災害にすべてを奪われてもなお、己の職に誇りを持ち、地域の人たちと力を合わせ、日々を懸命に営む被災者の姿だった。

「大変な状況の中でも、ローカルには一生懸命で面白くて元気な人がいっぱいいた」

被災者に力を分け与えてもらった川合さんは、「ローカルを舞台に、その土地に生きる人々のためになる事業をしたい」と強く思うようになった。当時、東北だけでなく、全国各地に仕事で足を運んでいた川合さん。特に仕事で関わることの多かった沖縄で、カカオを栽培し、地域の特産品にすることを思いついた。

2016年、川合さんは単身で沖縄県国頭郡の大宜味村へ移住。同年、「株式会社ローカルランドスケープ」を設立した。現在、カカオ豆の収穫に向けてカカオの木の育成研究を行いながら、輸入カカオ豆と沖縄産のフルーツや蜂蜜などを合わせたチョコレート商品を開発し、販売している。ブランド名は、ローカルを売り出したいという思いで沖縄の名称を入れた「OKINAWA CACAO(オキナワカカオ)」だ。

川合さんの農園は、那覇から車を走らせること2時間弱、大宜味村・東村・国頭村からなる「北部やんばる」地域にある。

「持続可能な地域経済を成立させるには、少なくとも人口5万人くらいは必要。北部やんばるは3村合わせて1万人弱。全然足りない」。サラリーマン時代の経験から、「北部やんばる」の現状を冷静に分析する。自然豊かな一方で、人が住みやすい環境が少なく、移住を促すにも不便な土地柄だ。しかし、だからこそ川合さんは、「カカオ」という世界共通のキーワードで関係人口の創出を狙う。

「僕がカカオとチョコレートを作ることで、他の農業や産業も活発になって、地域に面白くて元気な人が増えてほしい。観光客だけじゃなく、パティシエや商社のようなカカオを取り巻くあらゆる人達が、全国全世界から集まってくるような、そんな地域づくりをしたい」

(写真)膨らみ始めたカカオの実
(写真)ハウス内で栽培されるカカオ

熱帯気候で育つカカオの木は、冬季のある日本での栽培が難しく、先行事例もほとんどない。川合さんの挑戦は、沖縄の気候とカカオと向き合うところから始まっている。ビニールハウスで生育実験しているカカオの木は、今年、いくつか実をつけ始めているそうだ。しかし、まだカカオ豆の収穫には至らない。「ただ、あと2年もすれば、育て方のノウハウや収量拡大に必要なデータが揃う見込みだ」。川合さんは期待を込める。

100%沖縄産チョコレートがお目見えし、「北部やんばる」がカカオの聖地として世界に名を轟かせる日は、そう遠くないかもしれない。

【店舗情報】
「OKINAWA CACAO(オキナワカカオ)​Factory & Stand」
住所:沖縄県国頭郡国頭村浜521-1
電話: 050-5241-8152
HP:https://okinawacacao.com/
※オンラインショップにてチョコレート商品の販売あり

ヨコイリカ

ヨコイリカ

ハツレポーター

ふるさと:
香川(出身地)、京都(大学時代から12年間居住)、名古屋・銀座・文京区(仕事場)

全国全世界の「地元の魅力」と「歴史ロマン」と「美味しいもの」にまみれて生きたい。田舎っぺの底力を見せつけてやるー!