美容院は髪だけでなく、心も整えてくれる場所だった。抗がん剤脱毛から1年【和歌山県和歌山市】

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2024年11月、右胸のしこりに気づき、乳腺外科を受診すると乳がんと診断されました。2025年1月に右胸の全摘手術を受け、その後、5月から抗がん剤治療が始まりました。

治療前に告げられたことの一つが、抗がん剤による脱毛でした。実際に髪はすべて抜けました。

それから約1年。再び生えてきた髪は、以前とは髪質が変わり、まるでパーマをかけたようにくるくるとしています。今ではショートヘアになるまで伸びました。

先日、病気になる前に通っていた和歌山市内の美容院を久しぶりに訪れました。

「髪が全部抜けます」と言われ、頭が真っ白に

がんと告知され、手術を受けた後、リンパ節への転移が分かりました。抗がん剤や放射線による治療が必要になること、そして抗がん剤によって髪が抜けることを告げられました。

どれもすぐには受け止められないほど大きな出来事でした。

特に、髪がなくなることはそれまで考えたこともありませんでした。「髪が全部抜けます」と初めて聞いたときは、頭が真っ白になりました。

気持ちが追いつかないまま治療は始まり、実際に髪は抜けていきました。

丸坊主にした日にかけてもらった言葉

髪が抜け始めたころ、地元の美容院を訪れ、髪を丸坊主にしてもらいました。

そのとき、美容師さんが何度もかけてくれた言葉が今も心に残っています。

「病気には見えないよ」

髪のない自分をなかなか受け入れられなかった時期、その言葉に励まされました。

脱毛している間は、ウィッグやケア帽子も使いました。ウィッグなら、一瞬で違う髪型になることができます。それまでロングヘアにはなかなか挑戦したことがなかったため、ロングヘアのウィッグも使ってみました。

前髪付きのケア帽子をかぶると、それまでとは違った雰囲気のおしゃれも楽しめました。

1年ぶりの美容院。「少しずつ伸ばしましょう」

そして先日、病気になる前に通っていた美容院へ久しぶりに行きました。

以前なら当たり前だった美容院に行くということが、今の私には少し特別な出来事でした。病気になる前の日常に戻ったような、不思議な感覚がありました。

まだ髪は伸びかけです。美容師さんからは、「少しずつ伸ばしていきましょう」と声をかけてもらいました。

髪質がくるくるとなり、ショートヘアも楽しめる気持ちになっています。

美容院で励ましてもらったあの日から1年。治療を続けながら、日常を過ごす

髪が生え、美容院にも行けるようになりましたが、治療がすべて終わったわけではありません。

現在は、飲む抗がん剤と、ホルモン療法の薬を服用し、再発を防ぐための治療を続けながら生活しています。

抗がん剤で髪が抜けたころは、髪のない自分を受け入れることさえ難しく感じていました。

それから約1年。

丸坊主にしてもらった美容院で「病気には見えないよ」と励ましてもらった日から、今では再び髪が伸び、「少しずつ伸ばしていきましょう」と話せるところまで来ました。

病気になる前には何でもなかった「美容院に行く」という日常。その時間をまた過ごせたことに、自分の髪だけでなく、気持ちも少しずつ変化してきたのだと感じました。

がんになっても自分の人生をあきらめないで

がんになると、誰もが死を身近に考えるようになり、つらくしんどい気持ちになると思います。

しかし、いまはさまざまな情報があり、がんを経験した当事者が考案したグッズなど、治療中の生活を支えてくれる工夫もたくさんあります。

それだけでなく、美容院で交わす何気ない会話や、「大丈夫」「少しずつ伸ばしていきましょう」といった言葉に元気をもらうこともありました。

病気になっても、自分の人生まであきらめる必要はないと思います。できる工夫を取り入れたり、周りの人の言葉に支えてもらったりしながら、自分の人生を楽しむ気持ちを忘れないでほしいです。

久松公代

久松公代

第5期ハツレポーター/京都府宇治市産まれ。社会福祉士。父は大阪出身、母は東京出身で子どものころから地域による言葉の違いや風習の違いを感じてきました。和歌山市に移住して18年たちます。暮らして気づく和歌山の良さを伝えて行きたいと思います。

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