〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
福岡県京都郡(みやこぐん)みやこ町は福岡県の北東部に位置し、福岡市の市街地からは車で1時間30分ほどの場所です。帆柱(ほばしら)茶の産地であるみやこ町犀川(さいがわ)帆柱は標高470mの山深い場所に位置します。山深い寒暖差がある犀川帆柱はお茶の生産に適しており、柔らかな味と爽やかな香りの緑茶が人気で、1950年頃からお茶の産地として栄えていました。
当時は春の新芽の一番茶、夏の二番茶、秋の三番茶と、3回収穫をしていました。しかし時代の流れとともに緑茶を飲む人は減り、生産量も少なくなってしまい、やがて一番茶しか収穫をしないという状況になっていました。
そこで、「60年以上の歴史がある、地域に根づいたブランド茶を途絶えさせるわけにいかない」と立ち上がったのが山下昌見(やました・まさみ)さんです。山下さんはご実家の茶農園を15歳から手伝っていて、お茶一筋50年以上のベテランお茶農家さんです。
「もうこれしかない、和紅茶(わこうちゃ)だ!」〜帆柱茶を守る新たな挑戦〜
山下さんは農事組合法人「帆柱茶の里」を帆柱茶農家8名と共に立ち上げ、お茶を売り出す方法はないかと考えました。たまたま、福岡県農林事務所の担当課長が紅茶好きで、近年「和紅茶」の人気があるとの話しになりました。
紅茶を作るのは一番茶よりも二番茶、三番茶が適しているため、一番茶は今まで通り新茶として、切って捨てていた二番茶、三番茶を和紅茶として売り出すことができます。「もうこれしかない、和紅茶だ」と山下さんは和紅茶に挑戦することを決意しました。
新たな特産品「帆柱茶和紅茶」の誕生
長年、共に茶農家をしている組合の仲間たちや福岡県農林事務所の担当課長と紅茶の製法を一から学びました。大きく違うのは、緑茶は発酵を止めるのに対して紅茶は発酵させるということです。茶葉が持っている酵素を引き出し自然発酵させるための最適な湿度、温度、時間などの調整を続けました。試行錯誤を重ね、ようやく新たな特産品の「帆柱茶和紅茶」が誕生したのです。
「ミルクや砂糖は入れずストレートで味わってほしい」と山下さんは自信たっぷりに言います。自然で柔らかな風味が特徴で、渋みが少なく香り豊かなのに後味スッキリな味わいです。お茶一筋50年、茶農家さんによる新たな一杯、「銘茶みやこ町特産帆柱茶和紅茶」をお試しください。