1月5日、秋田県大仙市で、市内の小学生から高校生までが参加する「新春書初め大会」が行われた。子どもたちを対象にしているとはいえ、年齢を問わず、どれをとっても達筆で大人顔負けの作品ばかり。文字を書くことの価値について考えさせられた1日を振り返る。
書き初め大会は、大仙市の県立大曲高校の書道部によるパフォーマンスから始まった。畳を数枚広げたような大きな紙に、数人が同時に筆をとり、音楽に合わせて、詩やダンスも交えながら書き進めた。
完成した書の題は「繋ぐ(つなぐ)」。
昨年は新型コロナウイルスの影響で、人と人とのつながりが断たれた1年だった。人とつながり、未来へとつながる。今年はそのような年になるように、と願いが込められた。
メインの書き初めはパフォーマンス後にスタートした。制限時間の約50分の間、子どもたちは集中を途切れさせることなく、筆を進めていた。
小中学生たちは、とにかく一画一画を丁寧に書き進め、まるで手本のような書や、トメ・ハネ・ハライ、それに文字の大きさやバランスなどから本人の性格がよく分かる書を完成させた。
私の祖父は書家で、展覧会で受賞したり個展を開いたりするような腕前だが、作品は難解に思えた。高校生たちは、祖父の作品のような書をスラスラと書き上げていった。漢文の作品の意味を理解するのには時間がかかるが、文字と文のバランスが整っていることはすぐに分かる。
書は情報を他者へと伝える伝達手段であるだけでなく、自分の気持ちや性格を表す自己表現としての一面をも持ち合わせていることに気付けた、大切な1日となった。