「ココから湯沢の商店街を元気にしたい」過疎の町の唐揚げ屋が、2500枚の手書き応援メッセージで、アート壁画を作る【秋田県湯沢市】

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集まった応援メッセージの前でほほえむ伊藤広和さん(伊藤さんご提供)

秋田県湯沢市で、「まちを元気にしたい」と、応援メッセージを集め、アート壁画を作る挑戦をしている唐揚げ屋さんがある。激しい過疎にあえぐ湯沢市の中心部で、「まちを明るくしたい」と、壁1面825枚の手書きメッセージを、3面分集め、アート壁画をつくる計画だ。4月に始まったこのプロジェクトはSNSでも話題を呼び、既に200枚のメッセージが集まったという。

「とにかく、まちに人がいない」と危機感

オンラインインタビューに答える伊藤広和さん。2023年5月24日撮影。

秋田県大仙市出身の伊藤広和さん(44)は、元々秋田市でエンジニアをしていたが、5年前に湯沢市にフリーランスエンジニアとして、湯沢市に移住した。町の人々と話しているうちに、「湯沢にはやる気のある人がいても、仕事がない」ということに気づいたという。

「周りの人に仕事を作り出すことをしたい」と、起業を決意。飲食業は未経験だったが、大阪の唐揚げグランプリ金賞の店で研修し、2022年4月に此処唐堂(ここからどう)をオープンした。お店の場所は、湯沢駅と市役所を結ぶ道と旧国道(旧羽州街道)の交差点だ。

唐揚げ専門店が秋田県内ではまだ珍しいということもあり、オープン当初は、近所の人や知人が訪れ、順調だった。転機は3か月後。夏場から売上が落ち込んだ。唐揚げ業界では、秋から春にかけて売上が伸びるということで、期待をしていたものの、全く売上が伸びなかった。

湯沢市は、日本有数の豪雪地帯だ。冬場は雪に閉ざされる。

「冬が寒すぎて、商店街を人が歩いていなかった。そして暗かった。自分の店もそうだが、この商店街は大丈夫なのだろうかと思った」と伊藤さんは語る。

「まちを元気にすれば、次に繋がる」

伊藤さんが投稿したインスタグラムの動画より
伊藤さんが投稿したインスタグラムの動画より


「とにかく明るくしよう」と思った伊藤さんは、湯沢の町を応援するメッセージを集める活動を始めた。お客さんにまちと商店街を応援するメッセージを書いてもらい、アート作品を作ろうと思いついた。メッセージを書いてくれた人は唐揚げを50円引きにする「応援割引」も始めた。その決意を動画にしてSNSにアップロードしたところ、1万回以上再生された。地元FM局でも話をして、共感の輪が広がってきたという。4月13日にはじめたこの取り組みに、すでに200枚以上の応援メッセージが集まったという。

伊藤さんご提供

「やはり、応援してくれる人が多いと感じました。みなさん、この商店街をなんとかしたいという思いが強いと感じています」

近くに高校があり、高校生が「ここの唐揚げは美味しい。自分たちの青春になる」というコメントをくれたことも。

「とにかく湯沢には人がいない。外から人が来てもらう仕組みが必要」と伊藤さんは強調する。此処唐堂では、湯沢産の食材にこだわった。市内の1867年創業のヤマモ味噌醤油醸造元の醤油を用い、イートインコーナーでは、西馬音内蕎麦(にしもないそば)も食べられる。

「湯沢にはいいものがたくさんある。活動を通じて、まちをにぎやかにしたい」と伊藤さんは語る。そうすれば、次に繋がると伊藤さんは信じている。

湯沢市の人口は、1955年の79,727人をピークに減少を続け、2023年4月30日時点で41,021人とピークから48.5%減少している。特に若年層の流出が顕著だ。筆者は、湯沢市で生まれ、幼少期から東京で育った。伊藤さんの挑戦がどのような変化を生むか、期待したい。

情報

(中野宏一/ローカリティ!編集長)

中野宏一

中野宏一

神奈川県横浜市

編集長

ローカリティ!編集長、運営会社の合同会社イーストタイムズのFounder CEO。2015年くらいから住民参加型ニュースサイトを運営している。ローカリティ!では、発行人兼編集主幹→編集長に。

秋田県湯沢市(出生地)、東京都新宿区(幼少期)、埼玉県所沢市(小学校)、アメリカサンディエゴ(小学校)、東京都荒川区(中高)、東京都文京区(大学・大学院)、仙台、和歌山。そしてローカリティ!で訪れた全国のローカル。
この世界には「価値」が溢れていると思います。「何もない」ではなく、「発信されていないだけ」。ローカルの価値を、伝わるように発信すれば、その価値に共感する人は必ずいるはずです。

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