湯沢市佐竹町にある、工房「絵灯ろう舘」の石田布美子(いしだ・ふみこ)さん(53)にお話をお伺いしました。
こちらの、工房「絵灯ろう舘」は平成10年に現在の場所へ工房を移されたそう。
主宰であった高橋岳雄(たかはし・たけお)さんは2022年に亡くなられ、石田さんが引き継がれました。
石田さんは、稲川出身で高校を卒業を機に東京へ。元々戻ってくるつもりはなかったけれど、絵灯ろうをお仕事にしている高橋さんの存在を知り、絵灯ろう職人の世界へ足を踏み入れたそうです。
「初めは不安もあったけど、やっていくとどんどん楽しくなってきちゃって」と笑顔でお話ししてくださいました。
和紙を染める」美人絵灯ろうの描き方
石田さんが惹かれた絵灯ろうの世界。私もどんなふうに製作されるのか気になり、どんなもので描くのですか?とお尋ねしました。すると、机いっぱいに並ぶ染料についてご紹介してくださいました。
絵灯ろうを描く際に使われるのは“染料”というもので、粉状のものをお湯に溶かして色を作っていきます。染料の組み合わせや水の加減で色は無限大に作り出せるので、加減しながら和紙を染めるようにして描いていくことが、絵灯ろうならではの描き方です。
毎年8月5日・6日・7日に秋田県湯沢市で行われる「七夕絵どうろうまつり」のように、外に飾られた絵灯ろうは3日もすると色褪せてしまうため毎年製作するそうです。
製作過程の緻密で繊細な様子からより一層作品の優美さを感じることができました。
「まちが元気でなければ絵灯ろうはつくられない」
「絵灯ろうはスポンサーあってのもの。スポンサーの方から注文があって制作することがほとんどなので、地域の企業が元気でなければ、絵灯ろうの制作ができず七夕絵どうろうまつりも続けることができなくなってしまうんですよ」と石田さん。そこに加えて、後継者不足問題。
絵灯ろうを仕事として描かれる方は少ないけれど、湯沢市絵灯ろう保存会で毎年行われる講習会には40名ほどの方が参加されているそうです。また、学校や団体などへの製作体験会を行うことで、絵灯ろうにふれたことをきっかけに製作に関わったり、「七夕絵どうろうまつりが縮小してしまうのは寂しい」という思いから、七夕絵どうろうまつりで飾られているような大型サイズを製作をする人も増えてきてるそうです。(講習会で製作するのは小型サイズのものを2作品)
最後に、絵灯ろうを描くために必要な資格はありますか?とお聞きしてみました。
「実力1本。やる気と根性、実力さえあれば誰でも描くことができます」とのこと。
毎年5〜6月には絵灯ろう保存会主催の講習会が開かれています。また、4月〜7月には製作の様子も覗くことが可能だそうです。(7月は繁忙期のためできれば4〜6月)
ご興味がある方は、観光物産協会へ一度ご連絡した後で、講習会や見学に足を運んでみてください。
幼少期から訪れていた七夕絵どうろうまつりですが、絵灯ろうはどんな方がつくられているのか知る機会はありませんでした。今回取材をしてみて、製作している様子やその方にお話しをお聞きしたことで、地域と以前より距離が近くなったように感じました。
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湯沢の「七夕絵どうろうまつり」は、秋田藩佐竹南家七代目義安(よしやす)公に、京都の公卿鷹司(たかつかさ)家から「おこし入れ」された姫君が、京都への郷愁やるかたなき想いを五色の短冊に託し、青竹に飾りつけたのが始まりといわれています。
期間中、家々では青竹に五色の短冊や吹流し等をつり下げて門前に飾るほか、浮世絵美人が描かれた大・小百数十基の絵どうろうが通りに下げられます。
〈 湯沢市観光物産協会ホームページより引用 〉
工房「絵灯ろう舘」
〒012-0824 秋田県湯沢市佐竹町10-23
一般社団法人湯沢市観光物産協会 湯沢事務所
〒012-0826 秋田県湯沢市柳町2丁目1-44
電話: 0183-73-0415
E-mail: yukankou@yutopia.or.jp
受付時間: 平日 AM 9:00 – PM 5:00