微生物で育む自然栽培米 一時は農薬まみれ「長生きできないかも…」【滋賀県野洲市】

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中道さん(中央右)と若手移住者らで米づくりに励む

〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

滋賀県野洲(やす)市、琵琶湖東岸で無農薬・無化学肥料の米づくりに30余年こだわってきた「中道農園」。同園の中道唯幸(なかみち・ただゆき)さんはかつて、農薬を使っていましたが、ある出来事を境に「自然栽培」へと舵を切りました。

父の死をきっかけに自然栽培を決意

きっかけは、同園の初代だった父・登喜造(ときぞう)さんが「農薬中毒」による体調不調で寝込んでしまったこと。長年まき続けてきた農薬が原因で、父に代わって農薬を散布していた唯幸さんにも、高血圧、体のだるさなどの中毒症状が出始めました。

唯幸さんは減農薬栽培について学び、実践しましたが、体調は悪くなる一方。追い討ちをかけるように、登喜造さんが1996年、亡くなってしまいました。

「父の死は農薬が一つの原因。私の体調も一向に良くならず、私も長生きできないかもしれないと思うようになりました。そこで、自然栽培を決意しました。」

批判跳ね返し、努力実る

手探りだった減農薬栽培の初年度は、案の定「ボロボロ」。周囲からは「無理だ」「金目的だろ」などと批判的な声も上がりましたが、唯幸さんは諦めずに試行錯誤しました。

アイガモを水田に放ち、雑草、害虫を食べてもらいながら育てる「アイガモ農法」、墨を流し込むことで光を遮り雑草を生えにくくする「墨流し込み法」など、これまでの苦労や辛酸は数知れず。

年月を経てたどり着いたのが、「微生物農法」でした。これは、乳酸菌や納豆菌、イースト菌などを土壌にすきこむことで、微生物の働きを活発化させ自然の力で稲を育てる方法です。

微生物の力を借りて稲を育てる

唯幸さんの努力が実り、2013年に山形県庄内町で開かれた「第7回・あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」では、約400の応募の中から優良金賞を受賞。モチモチとした食感、噛むと広がる自然な甘みが特徴です。

特に子を持つ親世代から支持を受けており、「こんなお米、探してた」と好評を得ています。

手間の分だけ、喜びひとしお

田んぼが黄金色に色づく

自然栽培は、農薬栽培に比べて手間がかかるうえ、収穫率も多くはありません。しかしその分、収穫した時の喜び、米の味わいはひとしお。

唯幸さんは、「実家から届いたお米だと思って食べてほしい。そしてもし『美味しい』と思ってくれたら、ぜひ遊びに来てください。喜んで田んぼを案内します」とくしゃくしゃな笑顔で話してくれました。

(大石茜さん)

大石茜

大石茜

岡山県備前市

編集部編集記者

東日本大震災の被災地にて地方紙記者を経験した後、備前焼の職人になるため備前市に移住。修行に勤しみながら、記事の執筆編集を行っている。

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