八女市黒木町にある津江神社の宮司、井上雅和さん(55)は、同じく黒木町にある総合施設グリーンピア八女にて、昭和・平成に作られた旧車を集めたオールドカーミーティングを毎年開催している。毎年11月に行われる「八女くろぎふるさと祭り」内で開催した2013(平成25)年から数えると、今年2024(令和6)年で11年目になる。最初は20台から始まったが、今では100台以上が集まるイベントになった。
長く続ける秘訣とイベントの魅力に迫る。
幼いころから、車やバイクが大好きで整備士になった井上さんは、車関係の仕事をしながら長年神職を務めてきた。
現在車関係の仕事は辞め、父の後を継いで、津江神社の宮司である。
津江神社は、平安末期の創建以来850余年の歴史を誇る由緒正しき神社で、境内には創建時に植栽されたと伝わる、県の天然記念物にも指定されている樹高40mの巨大なクスノキが鎮座しており、同町にあり、国の天然記念物に指定されている「黒木大藤」とともに町のシンボルとして親しまれている。
目次
「旧車好き」に持ちかけられたイベント企画の相談
イベントを始めたきっかけは、毎年11月に行われる「八女くろぎふるさと祭り」に携わる先輩から「何かお客さんがいっぱい来るような面白い企画はないか?」と言われたところから。
ちょうどそのころ昭和47年式の日産セドリックを入手したばかりで、「古い車を集めたら面白いかも!?年配の方は特に懐かしんで見に来てくれますよ」と提案したところ、役を一任された。
はじめはつてを頼り、20台ほど集めたところこれが好評で、回を重ねるごとに参加台数が増えたため、行政イベントから独立した。現在は単独でグリーンピア八女で行うようになり毎回100台以上が集まる。
エントリーは九州各地から。運営は車に詳しい心強いメンバー
エントリーする参加者は九州各地から旧車に乗ってやって来る。
同時開催のマルシェ、グリーンピア八女の景観、食事や温泉を楽しむほか、道中の黒木観光やグルメを楽しみに長年参加される方も。
来場者は近隣の車好きを中心に、子どもから大人まで幅広い。古い車を眺めて当時を懐かしんだり、欲しくても乗れない、お目当ての希少な車を眺めて写真を撮ったり、旧車オーナーとの対話を楽しむ。
「運営するのは、地元の先輩、車関係者、ほかのイベントでスカウトした人など、皆車やバイクが大好きな方ばかりで話し出すと止まらない。中には現役の整備士もいるため、車の「合法」「違法」の判別、ちょっとした車両トラブルにも対応できる心強いメンバー」と話す井上さん。
はじめは台数集め、参加者集めに苦労したが、今は運営の人手が足りないことが大変だという。
事故なく安全に運営するためには、ある程度知識のある方の誘導が必要。主要メンバーのほか、自動車関係の専門学生にアルバイトで来てもらっている。
「偉大なるマンネリ」でもいい。他に迷惑をかけない気持ちのいいイベントであること
大切にしているのは「ブレないこと」。「静かに来て静かに帰る」をモットーに車両審査を厳しく行っているため、「黒木のイベントは厳しい」と言われるようになるほど。イベントに参加される方はもちろん、近隣の方に迷惑をかけないようなお互い気持ちのいいイベントでなければならない。
「欲を言えば、黒木町をもっと多くの人に知ってほしい、訪れてほしいという気持ちはありますが、予算も人員も限られているため、派手なことはできない、車も人も歳を取っていますから」と笑う。「あと何年続けられるかはわかりませんが、協力してくださるグリーンピア八女様やメンバー、出店でお世話になっている地元の皆さんがいる限りは、続けていきたいですね。偉大なるマンネリでもいいんじゃないでしょうか」
情報
津江神社
住所:〒834-1221福岡県八女市黒木町今49
電話:0943-42-1651
中尾絵里さんの投稿