私が、一番推したい三島の魅力は、「しゃぎり」だ。三島市の伝統であり、夏といえば、「しゃぎり」だからだ。
毎年8月に三嶋神社で行われる三嶋大祭りという3日間に渡る大きな祭りで、「しゃぎり」が披露される。子供の部と大人の部があり、幅広い世代の市民に親しまれている。
そもそも「しゃぎり」とは、4種類の楽器(鐘、大太鼓、小太鼓、笛)を使ってリズムを奏でる演奏のことである。中でも特徴的な「鐘」は、金属でできた灰皿のような形のものを、バチでたたく楽器であり、「しゃぎり」の象徴とされる。
「バチ」は、加工された木の棒の先に、鹿の角を付けたものである。鹿の角は、三嶋大祭りの開催場所、三嶋大社で飼育されている鹿の角を切って使っている。
演奏と聞くと、美しい音色や軽やかなリズムを思い浮かべるが、三島の「しゃぎり」は違う。
町内の奏者が、祭りの夜だけ敵同士となり、音の大きさや演奏の一体感を競い合うのである。
その音の大きさは耳が壊れそうな程で、中には耳を塞いで前を通る人もいる。(笑)
鐘の金属音はまるで、剣戟が鳴り響いているよう。
「しゃぎり」は音楽の戦いなのだ。
伊丹雅姫さんの投稿