宮城県北西部の加美町・旧中新田地区で、4月29日、虎になって舞う「火伏せの虎舞」が開催された。県観光連盟のHPによれば、県の無形民俗文化財であるこの行事は、約650年前、「雲は龍に従い、風は虎に従う」の中国の故事に習い、虎の威を借りて風を鎮めようと稲荷明神の初午まつりに虎舞を奉納、火伏せを祈願したのが起源だという。
「火伏せの虎舞」は、新型コロナウイルスの影響で中止されていたが、今年4年ぶりに開催された。
当日の様子について、団体職員の猪股豪さんは、「お囃子・掛け声に合わせて愛嬌のある虎の面で揺れる様子は、可愛さを感じます!その一方、前は低く後ろは高く構える様子はカッコいいですし、前に歩きながら迫ってくる様子は迫力があります。中勇酒造店の池の中に入って舞う様子もカッコいいですね!」と語った。
猪股さんは、「子どもたちが一定期間の間に、先輩後輩の関係の中で夜練習を重ねて、伝統を継承しているところに、良さを感じる」と、虎舞の魅力を語った。
加美町には他にも「どどんこぱっく」と呼ばれる獅子舞があるという。「宮崎獅子舞」と呼ばれるこの獅子舞は、熊野神社と関係があるという。
前述の猪股さんは「こちらは大人が演じ、獅子と山の神の一組で舞われます。虎舞の演舞は一回2分30秒程ですが、獅子舞は通常10〜15分ほどと長く演じられます。暴れる獅子を山の神が抑えるような物語性のある内容なんですが、登場は自転車で登場してみたり、獅子から追われる際には遊具に登ってみたり観客の中に隠れてみたり、お菓子屋さんからもらったお菓子を投げて観客に配ってみたり、観客を楽しませる要素も多くあります。山の神のアドリブで、演舞ごとにその内容は変わります。観客に子どもが居れば、子どもを抱きかかえて獅子に近付けてみたり獅子の中に入れてみたり、獅子にお菓子を食わせてみたりいろいろです。演舞の中で山の神が獅子を抑えるために縄で獅子の口を結び捕える様子も必ずあるんですが、再び外れて獅子が舞う様子もあり、観客は色々物語を考えながら見ることができます」と力説する。
猪股さんは、「どちらのまつりも、お囃子のリズムが住民に染み付いてて、ソウルリズムとでも言える」と話していた。
(中野宏一/ローカリティ!編集長)