NHKの「紅白歌合戦」も終わり、「ゆく年くる年」を見ていると、私の実家の周りが少しずつ騒がしくなってきました。バタン、バタンと車のドアを閉める音、サクサクと雪を踏む音。静まり返った秋田市新屋の国道7号線沿いにある総鎮守・日吉神社に参拝する人たちが、実家の前に車を停めて歩く音です。
そう、夜が更けるほどに明るくなり、丑三つ時には軽く大にぎわい。実家の居間からは、神社の新年の灯りが雪の白と闇の黒を赤々と照らすさまが見えます。
子どもの頃、両親が寝静まって1人、赤々とした神社の光景を眺めては「誰か友達が来てるかな」とわくわくした思い出があります。それぐらいの年頃って、参拝するより、“友達に会える”ことのほうが大事だったりしませんか?
今年は大寒波とコロナのためか、例年より参拝者は少なかったものの、夫と2人、5枚も重ね着して参道に並んでいると、
「おめ、あれだべ、『元カノの新しいオトコが死にますよーに』だべ!?」
参拝の列の後ろから聞こえてくる高校生らしき会話の、身も蓋もなく元気なこと!オイオイ、新年早々、友達をいじめるんじゃないよ。ウンと言えないだろ、神仏の前でっ。
5月には五穀豊穣を祈る祭礼が、6月には子どもの無病息災を願う「鹿嶋祭」が行われます。夜店がずらりと並ぶ妖し気な光も実家から眺めることができます。結婚して実家を出るとき、それが見られなくなることも残念だったなぁ。
何の縁あって、この場所に40年以上も住んだのだろう。でも、そこにあって当たり前の神社が、実家の家族を守ってくれている……。大人になって、元カレの新しいオンナの死はとうの昔に願わなくなった今、しみじみとありがたく、手を合わせる新年なのでした。