「鉄ちゃん」、世間ではいわゆる鉄道マニアのことをそう呼ぶことが多いのですが、そんな彼らの中でも知る人は少ないと思われる、線路幅が国際標準軌よりも狭いナローゲージ(狭軌)という鉄道があるのです。
それはなんと、大都会・大阪市のすぐ隣の人口50万人弱の工業都市・兵庫県尼崎市で2024年の今日も現役で稼働しています。
1919(大正8)年に住友伸銅所尼崎工場として開設され、現在は企業合併を繰り返した末、日本製鉄株式会社関西製鉄所尼崎地区として操業する工場で製品搬出用として活躍している軌道です。
日本製鉄といえば、このところ米国の大手鉄鋼企業USスチール買収の話で話題になっている企業でもあります。主に原子力発電所などで使われる精密鋼管が積まれたトロッコが、小型のディーゼル機関車に牽引(けんいん)されて、か細い線路を行き来しています。
線路の幅は762mmですから、JR在来線や多くの私鉄が採用する1067mmの狭軌よりさらに狭く、日本では軽便鉄道規格とされてきた仕様です。
かつては日本全国津々浦々、戦前は沖縄本島(沖縄県営鉄道)にまで普及していたその規格の鉄道ですが、現在でも旅客営業を続けているのは、黒部峡谷鉄道、三岐鉄道北勢線、四日市あすなろう鉄道内部・八王子線の3社4路線にまで淘汰(とうた)されてしまいました。
関西製鉄所のトロッコは工場の専用軌道なので、もちろん旅客営業はしておらず、貨物運搬専用です。しかし、国鉄時代は全国いたるところに存在した工場への引き込み線自体が絶滅寸前ですから、軽便鉄道規格の工場専用軌道となるとまさに国宝級の存在です。
【訂正】
当初、既存の報道をもとにした箇所で、近い将来、こちらの関西製鉄所が工場閉鎖になるとの情報を記載してしまいましたが、追加確認取材の結果、閉鎖される予定となっているのは関連会社であり同じ尼崎市内の北部、塚口町に立地している日鉄鋼管尼崎製造所の方でした。
一部の機能を関西製鉄所に移転・統合するとの会社担当者からの回答でした。
したがいまして、関西製鉄所とトロッコは今後も存続されます。
関西製鉄所は県道57号線を挟んで製造部門が2箇所に分かれている関係で、トロッコは工場にとって不可欠の存在であり、県道の踏切通過も今後も変わらず見ることができます。鉄道マニアの皆様、ご安心ください。混乱を招きましたことをお詫びいたします。(筆者)
既存報道をもとに工場の閉鎖と解体と記述していましたが、追加取材の結果、閉鎖も解体もないことが判明し、記事を修正しました。混乱を招きましたことをお詫びいたします。
ローカリティ!編集部 2024年9月19日
2 件のコメント
記事を読みました。
軌道車は今も現役で県道を跨いで通っていますし、地区が28年で閉鎖するなどということはありません。
今でも写真を撮りに来られる方も多くおられますし、働いている人もいます。
適当な事を書くにしてもあまりにも酷すぎませんか?
渡辺様
この度は、記事に関するご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
ご指摘いただきました内容について改めて確認を行いましたところ、工場は現在も稼働しており、閉鎖の予定もないことが確認されました。事実誤認があったことについて、深くお詫び申し上げます。
また、私たちの不手際で不快な思いをさせてしまいましたこと、重ねてお詫びいたします。今後は、さらに情報の正確性に注意し、皆さまに信頼される記事をお届けできるよう努めてまいります。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ローカリティ!編集部