歌う人、見守る人。また次の誰かへ。名古屋のホテルで始まった『Moon Jazz Night』【愛知県名古屋市】

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ホテルが始めたのは、ジャズイベントではなかった

SONO Hospitality Japan株式会社提供

ジャズシンガーをプロデュースする 「Moon Jazz Night」の会場は、名古屋市中心部に位置するホテルSONO Moon Nagoyaの1階ロビーラウンジです。

宿泊客や地域の人たちが自然と集うこの場所で、月に一度のジャズイベントが開催されています。

このイベントが生まれた背景には、「ホテルを、人が気軽につながれる場所にしたい」
という思いがありました。

SONO Moon Nagoyaを運営するソノホスピタリティジャパン株式会社 日本運営統括の井上さんは、開業したばかりのロビーラウンジを見たとき、「ここにはジャズが似合う」と感じたそうです。

しかし、その先にあったのはライブイベントそのものではありませんでした。

「何かに挑戦したい、やってみたい気持ちはあるけれど、自信がなくてチャレンジできない方を日常の中でたくさん見てきました」

そんな思いから生まれたのが、「最初の一歩を応援する場」という発想です。

ホテルという場所を使って、誰かが一歩を踏み出せる機会を作れないだろうか。
その思いが、名古屋のジャズボーカルスクール「Vocal Studio Honeysuckle」との出会いにつながりました。

生徒たちの挑戦の場を探していたスクール

一方、Vocal Studio Honeysuckle代表の石橋万里子さんも、生徒たちが人前で歌う機会を増やしたいと考えていました。

20年以上にわたりジャズボーカルを教えてきた石橋さん。大切にしているのは、技術だけではなく「歌う楽しさ」です。

教室の中だけで終わらず、自分らしい歌声を誰かに届ける。その経験が、生徒たちの自信や新たな挑戦につながると考えているそうです。

そんなタイミングで届いたホテルからの連絡。ホテルが目指していた「最初の一歩を応援する場」と、石橋さんの思いは自然に重なりました。偶然のようでいて、どこか必然だったのかもしれません。

久しぶりのステージに込めた思い

10月16日に出演したのは、優しい歌声が魅力の、さらさん。

「ライブとしてステージに立つのは本当に久しぶりでした」と話す、さらさん。緊張もあったそうですが、会場の温かな雰囲気に支えられながら、一曲一曲を丁寧に届けました。

ライブ終了後にお話を伺うと、「なんとか歌い切りました!」と、ほっとしたような優しい笑顔を見せました。

さらに印象的だったのが、「歌をマスターするには、壁を超えるのが難しい」という言葉です。

「華やかなステージの裏側には、積み重ねてきた練習や葛藤があります。好きだから続けたい。けれど、続けるほど新たな課題も見えてくる」

さらさんの言葉からは、歌と真摯に向き合い続ける人ならではの実感が伝わってきました。

「お客様の顔が全部見えるんです」

さらさんは、 「ホテルは客席が明るくて、お客様の顔が全部見えるんです」 と話してくれました。

発表会やライブハウスでは客席が暗く、観客の表情までは見えないことがほとんどです。

一方、ホテルのロビーラウンジは照明が明るく、お客様一人ひとりの表情がはっきりと見える。 その分、緊張も大きくなるそうです。

しかしステージでは、そんな様子をまったく感じさせませんでした。軽やかなトークを交えながら会場を和ませ、観客との距離を少しずつ縮めていく、さらさん。

穏やかな歌声と笑顔が、会場全体を優しい空気で包んでいました。

ホテルロビーだから生まれる出会い

井上さんに、ホテルロビーで開催する意味について尋ねました。

すると、「SONO Moon Nagoyaのロビーラウンジは明るくカジュアルで、気軽に出入りしやすい場所です」と話してくださいました。

宿泊ゲストが必ず通る場所でもあり、人が自然と集まる空間。

だからこそ、ホテルが何かを仕掛けることで交流が生まれやすいと感じているそうです。

この日も、ライブを目的に訪れた人だけでなく、宿泊中に偶然足を止めた人の姿もありました。

ライブハウスへ行くには少し勇気がいる。けれどホテルのロビーなら、ふらりと立ち寄れる。その気軽さもMoon Jazz Nightならではの魅力だと感じました。

歌う人と、見守る人と

会場を見渡していて印象的だったのは、出演者を温かく見守るお客様の姿でした。

静かに耳を傾ける人。
リズムを取りながら聴く人。
宿泊中に偶然立ち寄った人。

それぞれの楽しみ方で音楽に耳を傾けながら、ステージを見守っていました。

ライブが進むにつれて、ロビー全体がひとつの空間になっていくような感覚がありました。

井上さんも、「出演されるジャズシンガーと観客の皆さまが一体となって、ロビーラウンジ全体がとても優しく良い雰囲気になるんです」と語りました。また、「音楽の力はすごいなと感じています」とも。

その言葉どおり、この日のロビーラウンジには穏やかで温かな空気が流れていました。

歌う人を応援し、その挑戦を見守る。
そんな優しさが、会場全体に自然と広がっているようでした。

挑戦する人のためのステージをこれからも

今後について伺うと、井上さんは「Vocal Studio Honeysuckleの石橋さんと一緒に、素敵な生徒さんたちのチャレンジの場をプロデュースし続けていきたいです」と話しました。

Moon Jazz Nightはプロだけのステージではありません。

挑戦したい人が一歩を踏み出すための場所。 そして、その一歩を誰かが温かく見守る場所です。

取材前、私はホテルで開催されるジャズライブだと思っていました。

けれど実際に足を運んでみると、そこにあったのは音楽以上に、「やってみたい」という気持ちを応援する人と人とのつながりでした。

ステージに立つ人の緊張や高揚感。 それを見守る人たちの温かなまなざし。

Moon Jazz Nightには、人の挑戦が自然と応援される空気が流れていました。

歌を聴くだけではなく、人の可能性に出会える場所。

Moon Jazz Nightには、そんな魅力がありました。

次回開催情報

次回の「Moon Jazz Night」は11月20日(金)に開催予定です。

出演は高木さん。パワフルな歌声が魅力のシンガーです。どんな挑戦のステージになるのか、今から楽しみです。

SONO Moon Nagoya(ソノムーン名古屋)ジャズシンガーをプロデュースする「Moon Jazz Night」2026年9月より定期開催 | SONO Hospitality Japan株式会社のプレスリリース

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※画像:2026年10月16日 筆者撮影

蜷川 華

蜷川 華

Hanachiroru(ハナチロル)です。
書くことより食べることのほうが得意で、気づけばいつも美味しいものを追いかけています。
デイサービスで生活相談をしながら、ペットと一緒に過ごせる場所や、カフェ・ホテルグルメを中心にゆっくり綴っています。
まだ文章は勉強中ですが、「食」と「ペット」へのまっすぐな好きが、そのまま届けばうれしいです。

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