八百屋さんが作った渾身のクラフトビール 808ブルワリー【栃木県小山市】

2 min 220 views

〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

その名は808(やおや)ブルワリー。

Sunフーズ株式会社の代表取締役である栗原宏(くりはら・ひろし)さんは、自ら手がける野菜直売所の事業の一環として、地元農産物や廃棄農産物を利用したビールの製造販売をしています。

コウノトリを呼び込むために栽培された無農薬の「ふゆみずたんぼ米」のうち規格外のものを原料に、小山市を応援する想いを込めた「オヤマエール」、小さくて商品にならない大麦を使用した「808IPA」、特産ハトムギを使用した「808EBS」など3つのラインナップがあります。地元の農産物や、本来廃棄されるものを使用して製品化する取り組みは栗原さんの「ある熱い思い」から生まれたものです。

【はじまりは直売所から】

「何かが完結しない」

15年ほど前、大手住宅メーカーの戸建営業マンとして働いていた栗原さん。売り上げ成績は上々、経済的にも潤沢な生活を送っていたにもかかわらず、何かが欠けているような思いを日々持ちながら暮らしていました。

“消費者・生産者・自分”の繋がりの中で、自らが関わることでもっと何か付加価値をつけた循環を生み出したいと考え、もっと沢山の人とのふれあいや多くの出会いを求めて、3人の仲間と脱サラ。会社名を「Sun(3)フーズ」と名づけ、2008年に人々の食生活に欠かせない、野菜の直売所を始める決意をしました。

毎朝生産者のもとに伺い、野菜を直接買い取り、朝一番に野菜を店頭に並べ販売することから事業が始まりました。生産者と意見交換をして、消費者の意見をフィードバックすることにより、“生産者・消費者・自分たち”の理想通りのスパイラルが生まれたといいます。

その後、低価格で新鮮な野菜を学校や施設に届ける卸売りや、形が悪いなど販売に向かない野菜を惣菜に加工する仕出し・惣菜販売を行い、さらに地域のアンテナショップ「思季彩館」の運営へと事業を拡大していきました。このようにして、栗原さんの思いは少しずつ完結に近づいていきました。

そしてこの熱い思いは、5つ目の事業、小山市の特産を活かし地元に還元し、食品ロスを減らす、クラフトビール製造事業に繋がりました。クラウドファンディングでたくさんの方の支援も受け、ついに2021年6月、ビールの販売を開始しました。

【栃木のビール街道を作る】

[▲画像:小山市提供]

小山市は江戸時代、日光街道の中で各方面への脇道が分岐する宿場町として賑わいを見せる一方で、内陸水路としての思川の舟運により栄えた場所です。現在は国道4号線などの幹線国道や、JR東北本線・東北新幹線など、陸上交通の要衝として、工業団地や住宅地が次々と増え、県下第2の都市として躍進を続けています。

そんな小山市を中心として、栃木県内にクラフトビールを飲んだり、販売する店をたくさん増やし、「栃木のビール街道を作る」が栗原さんの新しい夢となりました。栗原さんの渾身のクラフトビールは完結に向けた飽くなき探究心とともに小山市から全国へ広がっていきます。

天野崇子

天野崇子

秋田県大仙市

編集部編集記者

第1期ハツレポーター/1968年秋田県生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30余年。

ローカリティ!編集部のメンバーとして、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。

FOLLOW