〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
目次
和歌山が誇る水の聖地「ゆの里」とは?
金水、銀水のブレンド水ってなに!?
神秘の水って?
宣伝をしていない!?
日本だけでなく海外の研究者からも注目の水!?
和歌山県橋本市は、「天空の聖地」と呼ばれる世界遺産・高野山の麓にある人口6万人ほどの町。紀の川中流に位置し、かつては高野山に向かう際の宿場町として栄えた町です。この町の「神野々(このの)」という場所に、株式会社重岡が運営する天然温泉「ゆの里」があります。
この地には、高野山の開創より約100年も古い歴史を持つ「神野々寺」がかつて存在したとされ(現在は「神野々廃寺跡」がある)、この聖地があったからこそ、後に弘法大師・空海が高野山をつくったと言われるほど、霊験あらたかな場所でもあります。
では、この土地と、「温泉」や「お水」がどう関係あるのか?
「ゆの里」の営業部長・永島美奈子(ながしま みなこ)さんにお話を伺いました。
地震により湧き出した「奇跡の水」
和歌山県橋本市で、織物工業を営む重岡家に嫁いだ会長・重岡寿美子(しげおか・すみこ)さんが、「これからは健康の時代になる。この地に入浴施設をつくろう」と考えたのが今から35年ほど前のことでした。そこで井戸を掘る計画を進めたところ、専門家からは、「ここには水脈がないから水は出ない」と断言されたといいます。実際に腕の良い掘削師を呼び寄せ50メートルの条件で掘ってみたものの、やはり何も出なかったそうです。
ところが話はそこで終わりません。しばらくしたある日、突如、高野山近郊に震度4の地震が襲います。その地震の影響か、出ないはずの井戸から毎分400リットルの無菌の地下水が湧き出てきたといいます。その水を利用して、念願の健康ランド「ゆの里」を開業したのが、昭和62年のことでした。
次第に、山伏の修験者とおぼしき人々が「ゆの里」を訪れるようになりました。いつ尽きるとも知れない水量に不安を感じる中、「あと3~5年は苦労するけれど、その後は全国から癒しを求めて人が来る大切な場所になるから頑張りなさい」と、予言めいた言葉もあったそうです。天然温泉の必要性を感じた重岡さんは、2度目の掘削に取りかかりました。その1年後、1000メートルを超える地底から、見事、温泉水が湧き出てきたといいます。天然温泉施設「ゆの里」の誕生です。
いつしか地下から湧き出た地下水を「金水」、温泉水を「銀水」と呼ぶようになり、「金水」に一定量の割合で加えた「銀水」を、いろんな場面で試して使うようになったそうです。「ゆの里」のロビーの蘭の鉢は、この混合水をやることで、長いもので5年、花が咲き続けるといいます。同じロビーにある水槽にいたっては、このブレンド水の中で、一緒に住めるはずもない淡水魚と熱帯魚が仲良く同居しています。
温泉が湧き出た2年後、温泉水のすばらしさを分かち合うため、この銀水を小さなボトルに入れて「神秘の水」として販売するようになりました。宣伝もせず、ただ置いているだけなのに、あらゆるところにスプレーして使うケア水として、来館する人たちの間でその使い方から効能まで広がっていったといいます。
明らかにされる!?「不思議な力」
「お水」の不思議な力、あなたはどう感じるでしょうか?
そんな夢のような話があるはずない! 試してみないとわからない!
きっと色々でしょう。
重岡さん自身、心筋梗塞で倒れ、医師からはもとの体には戻れないと言われたにもかかわらず、病室に運んだ「ゆの里」のお湯のおかげで現場復帰を果たしたそうです。
何を隠そう、長く東京で暮らしてきた永島さんも、世間で健康を売りにする「水」について、疑いの目を持っていた張本人だったといいます。たまたま知人の紹介で、「ゆの里」と出会い、はるばる東京から癒しを求めて、温泉に入りに来るようになったのがご縁の始まりだったとか。やがて重岡会長の息子である現社長・昌吾(しょうご)さんと直接話をするようになり、その飾らない言葉を通して「お水」の魅力や効能、奥深さに自然と引き込まれていったといいます。
温泉水の「銀水」と呼ばれる水が湧いた当初、その成分などの調査から「生命が誕生したとされる35億年前の化石水では?」「成分バランスが胎児を育む羊水と似ている!」と専門家たちを驚かせたそうです。さらに、平成23年に始まった大学との共同研究から、水の科学的なデータが集まり、より詳しく「お水」の秘密に迫っているとのこと。
会社の一員として働き始めて8年が経ち、現在、東京と和歌山の半々の生活を過ごしているという永島さん。不思議なご縁から、「お水」の魅力を語る立場になったその言葉からは、水がそうであるように、私の心にもその魅力がしっかり浸み込んできました。
現在、「お水」のことを聞きつけた全国各地からの来館者があるといいます。和歌山には、まだまだ多くの人が知らない素晴らしい場所があることを改めて知りました。
最後に、取材の帰りに、実際に「ゆの里」の温泉につかってきましたが、心身ともにとても軽やかになったことを付け加えておきたいと思います。