雪に華やぐ!秋田の冬は「フラワーバレンタイン」で心あたたかく【秋田県秋田市】

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「フラワーバレンタイン2023 秋田県産花きPRモニュメント」(2023年2月7日撮影)

雪国・秋田県の冬行事に、横手市「ゆき祭り」、湯沢市「犬っこまつり」、大館市「アメッコ市」があるが、筆者が注目したいのは、冬を楽しむイベント「フラワーバレンタイン」だ。

2023年2月4日、「フラワーバレンタイン推進委員会」に加盟する秋田市内の花き店有志で製作された花のモニュメントが、秋田駅東西連絡自由通路「ぽぽろーど」に登場した。

 通路のガラス窓越しには白い雪。無償の愛を放ち、人の心を潤し、人と人との繋がりを生む花。米と酒のイメージが定着する秋田で、花の魅力を県内外へ発信するために立ち上がったのは、株式会社みづき代表取締役社長の大沢重己(おおさわ・しげき)さん。「フラワーバレンタイン推進委員会」の代表を務めている。

この知る人ぞ知るイベントは、口コミのおかげもあり秋田の冬のイベントとして多くの人たちに親しまれている。

行き交う人々の会話が弾み、笑顔が咲く

解体されたモニュメントの花は、自由に持ち帰ることができる

花のモニュメントが登場してから10日後の2月15日。バレンタインデーの翌日。

「どうぞ、よかったらお花を持っていきませんか?」と通行人へ声をかけるのは、秋田県農林水産部園芸振興課の職員高橋一子(たかはし・いちこ)さん。モニュメントが解体され、花が活けられた花用スポンジ30個が通路面に置かれた。

ダリア・ラナンキュラス・シンビジウムは秋田県南部横手市産。県北部鹿角市産の啓翁桜(けいおうざくら)はわずかに葉桜が見え、たくさんのつぼみが開花を待っている。

通路を行き交う人たちは足を止め、嬉しそうにお花を選ぶ。「どの花がよいかしら?」と隣にいる知らない人との間にも、会話が生まれる。

筆者が持ち帰った花たち。色彩豊かなラナンキュラスは花びらが多く、その形も様々

お花と過ごす、秋田の冬は心が暖かい

お花をもらうと、心は明るくなる。お花をあげると、喜ばれて嬉しくなる。お花を贈ることについて「性別を問わず、お世話になった人やあげたい人へ気軽にあげればいいと思う」と高橋さんは言う。

黃とピンクのスイートピー、青のデルフィニウムなどを束ねたミニブーケ

筆者は、自宅に持ち帰った花の茎をひとつずつ切り戻した。ふと、ご近所さんへ贈りたくなった。小さな花束を作って、寒さ強まるその日の夕方に手渡しで届けた。

秋田駅東口のバス停で「冬はお花があれば、家の中が明るくなっていいわよね」と言ったある女性のひとことを、筆者は思い出した。

秋田の花よ、全国に届け!

ラナンキュラス(手前)は徐々に花びらが開き始め、やがて大輪になる

「秋田の花はまだイメージが弱い。でも、知る人ぞ知るくらいがちょうどいいのかもしれない。知らない人への口コミは、細いけれど素早く伝わるし、そこにコミュニケーションが生まれるから」と高橋さん。

「元ある文化は姿を消さず、次に来るものと融合する。オリジナルの文化がどんどん変化して、新しい行事や文化が生まれたらおもしろいですね。将来的に、秋田で冬の行事に花が広まればいいなと思います」最後に高橋さんはそう語った。

秋田の冬は、長く寒い。それでも、秋田の花は雪に埋もれることなく、華やかに咲き続ける。お花と私たちの間に、この先どんなストーリーが生まれるだろうか?

田畑詞子

田畑詞子

秋田県秋田市

第1期ハツレポーター

1978年秋田県生まれ。清泉女子大学文学部英語英文学科卒。東京で就職後、いったん帰秋。2017年、横浜在住時にライター養成講座に通い、その後地元秋田でWeb記事の取材・執筆活動に携わるようになる。
日々の暮らしをブログに綴ったり、親しい仲間や縁遠くなった友人へ手書きのZINEを書いて送ったりと、書くことが好き。エッセイや小説へも関心がある。

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