「日本三大秘境」のひとつと称される、宮崎県の九州山地の山あいに、全国でもなかなか例をみない公共図書館がある。2020年7月18日にオープンした、椎葉村図書館「ぶん文Bun」だ。
本記事の筆者は「ぶん文Bun」の立ち上げから運営に携わり続けている「クリエイティブ司書」の小宮山剛である。「クリエイティブ司書」は椎葉村地域おこし協力隊のミッション名であり、「図書館をゼロベースで創造する司書」というような意味あいが込められている。
クリエイティブ司書がどのような図書館づくりをしているかについては、筆者のnote記事『「図書館の夜を乗り越える」:日本三大秘境椎葉村、クリエイティブ司書爆誕秘話』に詳しいので、ぜひそちらをお読みいただきたい。
『「図書館の夜を乗り越える」:日本三大秘境椎葉村、クリエイティブ司書爆誕秘話』(小宮山剛のnote)
https://note.com/tsuyoshikomiyama/n/n0553ae0dc71b
クリエイティブ司書として活動するなかで、私は常々思っていることがある。それは「図書館司書はもっと自らの仕事の尊さを雄弁に語っていい」ということだ。
図書館の本を選ぶということは、その土地がどうありたいかという意志を図書館の本棚として示すことでもある。図書館を通じた広報活動や様々な展示は、限りなくクリエイティブで力量を問われる仕事だ。
しかしながら「司書のイメージ」どおりなのかもしれないが、なかなか奥ゆかしい方が多いようで、ともすれば「ただカウンターに座ってバーコードをピッピする人」という印象をもたれてしまうこともあるようだ。
実際の司書は、そうではない。図書館司書は、土地の潤いや活気にすら影響を与えるほどの仕事ができるポジションなのだ。私は「クリエイティブ司書」としてそのことを声高に訴えたく、「全国の図書館を応援」できる企画を考えた。それが「クリエイティブ司書賞」である。
『「クリエイティブ司書賞」の結果を発表します!(2022.2.22)』(小宮山剛のnote)
https://note.com/tsuyoshikomiyama/n/n486ebfe6e0fc
「クリエイティブ司書賞」では「図書館にいきたくなるコピー」と「図書館ではたらきたくなるコピー」を募集した。そうすることで、図書館の外と内から「図書館大好き!」の声を収集できると思ったからだ。「キャッチコピー」というかたちをとったのは、できるだけ多くの方にご応募いただける、かつ多くの方にとって読みやすい「短いことば」の形式のなかで、図書館をめぐる感動をお伝えしたかったからだ。
結果として、63名の方から392点の応募をいただくことができた。「クリエイティブ司書」などと名乗ってはいるが、キャッチコピーの世界で大きな成果をあげたこともない無名の男の呼びかけにこれだけの人が呼応してくれたというのは、まさに「図書館」と「ことば」の力がもたらした結果だろう。
「クリエイティブ司書賞」の発表は、2022年2月22日(ぶん文Bunの日)に行われた。栄えある「クリエイティブ司書賞」の「図書館にいきたくなるコピー」部門を受賞したのは「春・夏・冬『なんで君だけ?』」(村山慎治さん)、「図書館ではたらきたくなるコピー」部門を受賞したのは「本命なの。」(よしはるちゃんさん)だった。
前者は「読書の秋」という使い古されたテーマを逆転の発想で斬新に魅せるコピー、後者は「本命」ということばの多層性が感じられる力強いコピーだった。クリエイティブ司書による講評等は、前述の『「クリエイティブ司書賞」の結果を発表します!(2022.2.22)』(小宮山剛のnote)をご覧いただきたい。
初めての開催だった「クリエイティブ司書賞」だが、今後も椎葉村図書館「ぶん文Bun」全体として企画化し、継続開催したいと考えている。次回の募集開始は、2023年の1月頃を予定する。
<参考ウェブページ>
・椎葉村図書館「ぶん文Bun」公式ウェブページ
・椎葉村図書館公式キャラクター「コハチロー」のツイッター
https://mobile.twitter.com/ShiibaVillLib
・クリエイティブ司書小宮山剛個人のnote
https://note.com/tsuyoshikomiyama
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