「世界と戦う味を作る」小さな町の世界一のジェラート店 Rimo【北海道網走市】

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みなさんは「美味しいとはなにか?」ということを、説明できるだろうか。

網走にあるジェラート店・Rimo(リモ)は『 SHERBETH FESTIVAL 』、『第60回MIGガストロノミーコンテスト 』と世界最大のジェラートコンテストで2度の優勝をしている。

北海道網走市、人口3万人の小さな町のジェラート店がなぜ世界一になれたのか。

そこには、人が求める味を作るという信念をもった「味のサムライ」がいた。

「美味しいって何かわかりますか?」

株式会社リスの森・エグゼクティブシェフの高田 聡(たかだ・さとし)氏に聞かれて、私はわからなかった。

「みんなが美味しいといえる味があるんです」

高田氏いわく、味は数値化することができるという。

Rimoでは、世の中に数多く存在する砂糖のそれぞれの味の特徴を独自に分析し、多いものでは1つのジェラートに9種類もの砂糖が使われている。

口溶けのタイミング、固形性(ジェラートの形をどれだけ保てるか)、口にしてからどのタイミングで甘さを感じるかなど、それぞれの特徴を組み合わせて最適になるよう調整している。

また、牛乳は地元能取湖の平和地区にある牧場の生乳が使われている。

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種類豊富な味は、素材となる食べ物の香りを科学的に分析した「フードペアリング理論」から共通項が同じものを組み合わせて開発した。

Rimoは、科学的に分析して「美味しい」を作り出している。

よく、バラエティ番組やワイドショーで旨味成分の測定する機械を使ったシーンを目にするが、それなら「数値が高いものを作れば、誰でも美味しいものが作れるんじゃないか?」という疑問が浮かぶ。

しかし、それだけではない。

高田氏は、シェフの仕事を

「自分目線でなくて、お客さん目線の味を作ることなのです」

と、数字を追い求めるのではなく、その人の求める味を再現するのが仕事だと話す。

例えば、東京からきた旅行客がどんな味を求めてお店に入るのか。「クリーミーさ」を求めているならそれを再現する。

ラーメンに好みがあるように、ジェラートも同じように、持っている味のデータからその人の好みの味を作るのだ。

「それが、世界で戦う味を作るために必要な最低限のことなのです」

実は高田氏はもともと、自動車の設計に携わりたいと神奈川の工学系大学に進学していたが、大学3年生のときに祖父が千歳市でRimoを出店するという話を聞き、面白そうだと思って大学を中退してこの世界に入った。

しかし、面白いことが続くわけではなかった。

経営がうまくいかず千歳の店を閉めることになった。借金を抱え、月の手取りが5万円だったこともあった。

朝から晩まで、年中無休で働いた。冬は客も少なく途方に暮れた。

そんなときに、助けてくれる人がいた。

東急百貨店から北海道物産展の話がきたのだ。

東急百貨店が一緒にジェラートの売り方を考えてくれて、必死に催事に取り組んだ。

2017年、経営が回復してきたことをきっかけにイタリアで行われた世界最大のジェラートコンテスト『 SHERBETH FESTIVAL』コンテストに参加。

見事優勝した。

高田氏は調理学校に通って専門教育を受けたわけではなく、味をひたすら独学で勉強したという。

「普通の人の3倍嫌なことがあって、3倍嬉しかったことがありました」

そのときのことを高田氏はそう振り返る。

Rimoがイタリアで勝てたのはなぜか?

「イタリア人の好みを考えて作ったんです」

と、高田氏は話す。

イタリアを行き来していた頃に、イタリア人がどんなものを好むのか常に考えていた。

人に合わせた「味を作れる」からこそできる芸当だ。

「最後はセンスしかありません。その時求められている『美味しい』がわかるかどうか。それが優勝した決め手だと思っています」

高田氏は、自分の感覚をイタリア人の感覚と一致させたのである。

高田氏のこれからの夢は、海外に店を持つこと、そして2年ぶりに参加するジェラートコンテストで優勝することだ。

網走にあるジェラート店Rimoは「美味しい」を再現する。

冒頭で皆さんに質問したが、「美味しい」を理解する必要はない。それは高田氏が再現してくれるから。

Rimoは、よくいう素材にこだわるのでもなく、ジェラートにこだわるのでもない。

食べる人が求める味にこだわっているのである。

世界一のジェラートが、ここ網走にある。

山田丈司

山田丈司

北海道網走市

第5期ハツレポーター

網走のスポットを実際に回って、旅行に訪れる人が簡単に旅行プランを考えられるようなお手伝いができたら嬉しいです!