3月、東京・大田区の新田神社へ行ってきた!
新田神社は南北朝時代の南朝の武将、新田義興(にったよしおき)をまつる。義興は28歳という若さで無念にも謀殺された。
場所は私の地元、神奈川県にも流れる同じ多摩川の東京都側、矢口の渡し。北朝の足利に対抗して勇んだ義興と味方の軍勢は鎌倉へと攻めようとし、その川を渡るべく、舟に乗り込んだ。ところが、その船底には穴が開いており、船頭たちはわざと櫓(やぐら)を川に落とし、船底の穴に差してある栓を抜いて川に飛び込んだ。
周りは敵の軍勢でいっぱいに! 敵は義興たちの船に向かい、あられのごとく矢を撃ち放つ。今で言うスパイに裏切られたのだ。
義興が無念の自害をした「怨み」が、約700年経った今でも伝説として残っている。それが新田神社の「うなる狛犬(こまいぬ)」だ。謀略を企てた足利一族の者や末裔(まつえい)が神社の近くに来ると、悪天候に見舞われ、狛犬がうなったという。
筆者が神社を訪れた時の神主の説明が粋だった。
「今日が快晴ということは、こちらに来ている皆さんの中に足利の末裔はいないのでしょう」
辺りが「ドッ‼︎」っと笑いに包まれた。
実際に足を運び、神主の生の話を聞いて、そこにある本物の「うなる狛犬」を見たことで、難しそうでよく分からない南北朝時代の内容が頭にスッと入ってきた。