「おらが鍋」自慢!納豆、せり、どぜう、かやき……あなたの知らないご当地鍋の世界

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簡単にできて栄養バランスも取りやすく、心も身体もぽかぽかに温まるお鍋は、日本の冬の定番料理です。

ただ一言で「鍋」と言っても種類は驚くほど多様です。鍋は各地域の気候、文化、農産物、畜産物によって、具材、だしや作り方は様々で、地域性が色濃く出る食べ物でもあるんです。

「鍋なんて、いつも食べているよ」
「多様と言っても想定の範囲内でしょ」

と思っているあなた。本当に奥深い鍋の世界を知っていますか……?

今回は、全国各地の皆さまに、自慢したい「おらが鍋」について教えてもらいました。あなたは幾つ、食べたことがあるでしょうか。

「知床牛」「網走ポーク」ブランド牛・豚のこだわり鍋【北海道】

■【和食処ゆずり】知床牛のすき焼き(北海道)

まずは北海道、網走市隣町のブランド牛を使った「知床牛のすき焼き」です。

K.I.さん撮影
柔らかく旨味溢れる肉が香り高い極上の割り下に包まれ、卵にくぐらせて食べると美味し過ぎて箸が止まらなくなります。知床牛の旨味や甘みが溶け出した割り下が染み込んだ、野菜や豆腐も主役級の美味しさです。(K.I.さん)

知床牛は牛の飼料用の草まで北海道産にこだわったブランド牛だそうです。濃いけれど透明感のある割り下、その味が染み込んでいるお肉、たくさんの野菜の旨味が、写真から伝わってきます。ぜひ、網走付近に行ったら食べてみたいです。

■【酒縁酒場 屯々】網走ポークの出汁しゃぶしゃぶ(北海道)

次にご紹介するのは、「網走ポークの出汁しゃぶしゃぶ」です。

K.I.さん撮影
店主こだわり黄金色のだしに野菜を入れ、しんなりしたところで網走ポークをだしの中へ、極上のだしをまとった網走ポークの溢れる旨味を是非体験していただきたい。(K.I.さん)

網走ポークは世界でもメジャーかつ 評価の高い種を配合して生み出されたブランド豚だそうです。コメントでもいただいた通り、黄金色に輝くだしが美しく、食欲をそそられますね。豚肉の旨味・甘味と野菜は、必ずやベストマッチでしょう。

かやき、だまこ、納豆……。独自の文化が色濃く残る【東北地方】

■だまこ鍋(秋田)

東北地方のトップバッターは、鶏ガラベースの汁に鶏肉や野菜、すり鉢で突いたご飯を団子にしたものが入った、秋田の冬には欠かせない、家庭で作られている郷土料理「だまこ鍋」です。地元の方に聞くと、有名な「きりたんぽ鍋」よりも食卓への登場率が高いのだとか……。

提供:「あきた郷味風土記」、秋田県農山漁村生活研究グループ協議会
具材と汁はきりたんぽと同じですが、きりたんぽではなくだまこ(新米を潰して丸めたもの)を入れるんですよ。新米がでると作ります。親が丸めている横で子どもの頃、遊び感覚でお手伝いしたものです。(K.S.さん)

もちもちの食感のだまこがだしをたっぷりと吸って、じんわりと旨味が感じられます。親子で楽しみながら作って、そのだまこを入れたお鍋を家族で囲む。まさに秋田の家庭の味ですね!

■かやき鍋(秋田)

多くの方は、かやきという言葉は耳慣れないのではないでしょうか。

かやきとは、「貝焼き」がなまった呼び方。貝が入っているわけではなく、漁師が貝を鍋代わりに使い、その時期の魚や肉、野菜などの材料を煮て食べたのがはじまりで、秋田県内の海ではない場所でも食べられていたそうです。

提供:「アキタッチ+(プラス)」、秋田市観光
廃れかけているかやきの文化を残そうとする動きがあり、令和3年文化庁の「100年フード」にその季節その時にある材料を好きな調味料で味付して食べるおひとりさまの鍋を、「秋田かやき」として紹介されています。(S.A.さん)
父が山間部の生まれなので、冬は干したゼンマイを戻したもの、とうふ、白菜、ネギなどを濃い目のみそ味でよくかやきを作って食べていました。夏はクジラの塩辛やカド(ニシン)の塩辛ととうふを軽く煮込んで山菜のミズのたたきをかけて食べる「ミズカヤキ」(塩辛の塩分が調味料)など、実は子供のころ少し苦手だったものが、今自分で食べたいなと思う「かやき」です。(S.A.さん)

鍋がないから貝で煮込むなんて、漁師しか思いつかない贅沢ですね。具についてもゼンマイ、クジラの塩辛、ニシンの塩辛など、他の地方の人からは珍しいものがてんこ盛りです。

■納豆汁(秋田・山形)

知る人ぞ知る秋田県、山形県のご当地名物料理が「納豆汁」です。納豆をこれでもかというほどすり潰してだしのベースにしているため、納豆の姿形が見えず、写真だけではただのみそ鍋に見えるかもしれません。

提供:「うちの郷土料理」、農林水産省(画像提供元 : 秋田県観光連盟)
納豆をすりつぶし、鶏肉、なめこと里芋を入れて煮込んだヌルヌル鍋です。秋田南部の郷土料理で(山形県にもあり)、時間がない人でも簡単に作れるように、「納豆汁の素」がスーパーで売られています。(K.N.さん)

山形県や秋田県では江戸時代から食べられてきたソウルフードだという説が有力です。「納豆汁の素」までスーパーで売られているとは、地元の方の納豆汁愛が感じられますね。納豆発祥の地と言われるエリアで、ぜひ納豆汁をいただきたいです。

■せり鍋(宮城)

春の七草として、一般的には七草粥で食べるせりをメインにした「せり鍋」。ここ10年ぐらいで「仙台せり鍋」が広まり、現在では寒い季節に仙台を歩くと「せり鍋あります」ののぼりを見かけるようになりました。地元の人はよく「茎より上ではなく、根っこを食べる鍋だ」と言うようです。

せり、鴨肉(もしくは鶏肉)、野菜などを入れて食べます。今や、仙台の鍋としても有名になっているぐらい多くのお店でも提供されています。手作りでもシャキシャキ食感で美味しくいただけるのが特徴です。(T.W.さん)

私も何回か食べましたが、本当に根っこが甘くて美味しいんです。根っこが長いものは育て方も手間ひまをかけているそう。「三関せり」「名取せり」などブランドせりは高価で、グラムあたり和牛と同等程度だという話も聞きます。食したことのない方はぜひご賞味あれ。

どぜう鍋、鳥鍋……やっぱり旨い江戸・明治からのグルメ【関東地方】

■鳥栄の「鳥鍋」(東京)

創業明治42年の老舗、鳥栄の「鳥鍋」は、午後の早い時間から火おこしされた炭の上に、鉄鍋をしき、清らかな水をそそいでゆっくりと鶏肉を置いて温めます。鶏肉は「東京しゃも」と千葉の「錦爽どり」とのことです。

食べていくにつれてだしがじわりと出てくるなか、胸肉、もも肉、脾臓(ひぞう)、心臓、砂肝、肝臓の盛り合わせ、たたき、豆腐、長ネギをいただきます。ゆっくりとだしがじわじわ出てきて、どんどん滋味深くなっていく過程も味わい深いです。囲炉裏でゆっくりと鶏肉に火が通る様子は見た目にも心地よい。ちなみに、酒はビールと日本酒のみ。(K.M.さん)

無駄のない具材とだしの取り方、囲炉裏でゆっくりと鶏に火を通す過程は、五感で楽しむ日本の食文化を象徴するようです。

■どぜう鍋(東京)

どぜう(どじょう)鍋には二種類あり、「丸鍋」は生きたドジョウを丸ごと煮立った酒の中に入れて酔わせたのち、割り下とともに鉄鍋に入れて煮込んだ料理で、「ぬき鍋」は背開きにした骨抜きドジョウをゴボウと一緒に煮込んだ料理です。

甘辛い割り下を鍋に注ぎ、炭火で煮込みます。ネギを大量に載せ、山椒や七味唐辛子をかけて食べます。ちょっぴり苦味とクセがありますが、それが甘辛いだしと合ってお酒が進むのがたまらない。また大量に盛った長ネギにタレが染み込んでいくのも絶品。江戸っ子の味!(K.M.さん)

ちゅるりとした独特の食感、染み入る濃いめのだし、大量のネギ……。何度か食しましたが、本当にやみつきになります。特にお酒が好きな方はぜひ試してみてください。

上品な旨味とコク。王道のクエ鍋、滋味深いぼたん鍋【近畿地方】

■ぼたん鍋

「ぼたん鍋」は、白と赤の合わせみそをベースにしただし汁に猪肉と季節の野菜を入れて煮こむ丹波篠山市の郷土料理です。発祥は1908年(明治41年)ごろ、篠山町に陸軍歩兵が駐屯し、訓練時に捕獲したイノシシの肉をみそ汁に入れて食べたことや、料理旅館に持ち込んで、みそ仕立ての鍋物にしたことだと言われています。

K.N.さん撮影
K.N.さん撮影
淡泊な肉質は噛みしめるほどに味わい深く、みその風味とも合って非常に滋味深いです。こんなにも素朴ななかに力強さが感じられる鍋は、全国を探してもなかなかないのではないでしょうか。(K.N.さん)

ぼたんの名前は、肉が紫紅色でボタンの花に似ていることかららしいです。お皿にボタンの花のように並べられた猪肉には圧巻ですね。本場の丹波篠山で、寒さ深まる冬に食べてみたいです。

■クエ鍋(和歌山県)

鍋の王様とも言われるクエ鍋は、どんな鍋よりも最高の味わいだと言う人が少なくありません。昆布とくえのあらでゆっくりだしを引き、くえの身、長ネギ、春菊、白菜、豆腐などを一緒にいただくものです。

K.M.さん撮影
和歌山県民のグルメは誰もが知っています。(C.N.さん)
上品で味わい深く、食べた後に甘い余韻が広がるクエ鍋は最高に美味しい!最後の〆のおじやも最高です。(K.M.さん)

クエは見た目はゴツゴツしていて不格好ですが、味わいは鯛よりも甘く、フグよりも味わい深いと評される魚です。クエそのものも美味ですが、そのだしを吸った食材、最後の〆の雑炊はまた格別でしょう。

今回の「おらが鍋」自慢特集は以上となります。地域によってここまで違うか、と思う鍋が見つかったなら幸いです。

日本にも、そして世界にも、一生かけても食べ尽くせないほどの種類の鍋があります。今回ご紹介できなかった種類も含め、鍋を楽しみ、味わい尽くして、寒い季節を乗り切りましょう。

ローカリティ!編集部

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