「百の知識より一つの行動」伝統の和楽器文化を次世代へ、和楽器店を秋田で営む伊達男!!【秋田県秋田市】

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私が日本の伝統和楽器職人として頑張る梅原久史さんに会ったのは8年前の6月です。竿燈の篠笛(しのぶえ)を買いに行ったのがきっかけでした。楽器を試奏させてもらったときに、穏やかな雰囲気でにこにこしていたのがとても印象的な方です。

秋田市中心部にある和楽器店『梅屋楽器店』。このお店は仙台からのれん分けをし、秋田市に縁もゆかりもない梅原さんがお店を始めて30年近くになります。今回は改めてお話を伺うことで、店主であり現役の伝統和楽器職人である梅原さんの人柄や、和楽器に対する情熱が伝わってきて「かっこいい!」と思いました。

お話を聞いていて私がいちばん印象に残ったのは、タイトルにも書いた『百の知識より一つの行動』です。会社の理念だそうですが、梅原さんに「座右の銘、大切にしていることは?」とお聞きしたところ、返ってきた答えがこの言葉でした。

「勉強をしたり、本を読んで知識を得ても、そのうち一つでも実現したか、行動に移したか」

梅原さんが言うには、「すごいなあ、いいなあ」と、ただ思っているだけで、思ったことをを形にしているか?アクションているか?社会に還元できているか?が大事だと言います。『びびってやらないのは悪』とも笑顔で梅原さんはおっしゃっていました。そういわれてみると、最近は考えているだけで、実際に行動にうつす人は少なくなった気がします。

梅原さんは、1974年寅年うまれの宮城県仙台市出身。仙台の和楽器店の次男として育ち、将来の夢はなんと消防士でした。お兄さんは楽器店の跡取りとして、ずっとお店を継ぐ前提で過ごしてきましたが、弟の梅原さんは、楽器のことはなにも知らず、自由に過ごしていたそうです(次男って自由!!笑)。

そんななか、通っていた高校で進路のことを考えていたときに転機が訪れました。周りの友人から消防士は無理だと言われ、先生に相談したところ、「自分のうちの仕事は?」と言われたそうです。その時初めて自分の生まれ育った和楽器店について、自分の家の仕事について、客観的に考えることができ、梅原さんの和楽器職人の人生が始まりました。

高校卒業後梅原さんは、和楽器業界ではだれもが知っている広島の小川楽器製造に修行にいきます。

小川楽器製造は、和楽器職人になりたい人の受け入れをしていますが、どれだけ頑張っても修行の期間は10ヶ月までと決められているそうです。

教えてもらえることや覚えられることも人それぞれで、途中で辞めていく人もいます。まだ修行や覚えたいことがあるとしても、10ヶ月でおしまいという厳しい世界が待っていました。

小川楽器製造には修理の依頼で受けた和楽器が、北海道から沖縄まで、全国から届きます。普通なら1ヶ月かけて直す楽器を、小川楽器製造の職人さんは2日で直すのです。和楽器職人を目指して修行に来た人は、その知識やノウハウを10ヵ月で覚えなければなりません。

梅原さんは、その辛い修行に耐え、仙台に帰ってきてから2ヶ月の準備期間を経て、秋田市へ向かいました。なぜ生まれ育った仙台ではなく、秋田市だったのか?それはご両親が経営する和楽器店に秋田の顧客が少なかったという理由からでした。

梅原さん自身は場所にこだわりがなかったため、その言葉に従い秋田に向かったそうです。

12月の雪深い中、たどり着いた秋田市の道行く人は表情が硬く、お店を始めるのは難しいだろうなという印象だったといいます。

そして1996年に仙台にあるお店からのれん分けをし、秋田で営業を始めた梅屋楽器店。

「まず大変だったのは、お店を覚えてもらうこと」

と梅原さんは当時の状況を振り返りながら話を続けてくれました。とにかく顧客を開拓することが大変だったそうです。

なぜならば、東北3大まつりである『竿燈まつり』がある秋田市には他にも和楽器店がたくさんあったからです。最初のうちは、ちょっとした楽器の修理すら断られ続けたたそうですが、梅原さんの若さと努力と粘り強さと、職人としての腕の良さから少しずつ応援してくれる方が増えてきて、今では大事な発表会の準備に至る、和楽器店ではあまりお願いされないような仕事まで、すべて任せてもらえるようになりました。

今でこそ「竿燈の笛といったら梅屋さん、和楽器は梅屋さん」ですが、それは30年近い努力と行動力でつかんだものなのですね。

梅原さんのこれからの夢は、日本の伝統である和楽器文化を次世代に「きちんと」伝承することだそうです。古くから続く老舗の和楽器店が20~30年の和楽器店に技術を教わりに来ることもあるというから驚きです。

大事な伝統が、きちんと伝承されてこなかったから、後継者としてきちんと育ててこなかったから起こることだと梅原さんは話してくれました。

梅原さんには跡継ぎ候補の息子さんもいますが、自分の子どもだからといって、甘い考えで継がせる気はまったくないそうで、後継者としてふさわしく、和楽器のことが本当に大好きで、この仕事に誇りをもっている人に後をまかせたいと話してくれました。いつもお店でにこにこしている梅原さんですが、職人らしい厳しい一面も見せてくれました。

仙台から秋田市にやってきた、縁もゆかりもない若者が始めた和楽器店「梅屋楽器店」。あたたかく育ててくれた秋田市のみなさんには感謝の気持ちでいっぱいだと梅原さんは最後に語ってくれました。

「これからも秋田で和楽器店をがんばっていきたい」って!!

オンライン講座の開催や、日本プロサッカーリークのJ2に所属するプロサッカーチーム「ブラウブリッツ秋田」のサッカーの試合での和楽器演奏など、有言実行の梅原さんから目が離せません!

みなさんも是非、梅屋楽器店に足を運んでみてくださいね。

情報

梅屋楽器店

http://www.umeya-gakki.com/

笹渕雅子

笹渕雅子

秋田県秋田市

第1期ハツレポーター

あきたのいいところをみなさんに知ってもらいたいです。あきたのイメージは、、田舎、遠い、ワーストなんとかがたくさん、、といろいろと暗いイメージがありますが、実は、あきた、とってもいいところなんです。あきたの記事をたくさんの方に読んでもらって、実際にあきたに行ってみたい!と思ってもらえるように私自身も楽しみながら、レポートを書きたいです。よろしくおねがいします。

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