このレインボーチューブの正体とは!? パリ郊外ラ・デファンスで出会った都市とアートの関係【フランス・クールブヴォア・ピュトー】

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パリ観光といえばエッフェル塔やルーブル美術館を思い浮かべる人が多いはず。しかし、パリ中心部から地下鉄でわずか十数分の場所に、まったく異なる表情を持つ街がある。

ラ・デファンス。パリ郊外の都市再開発地区である。

この街を歩いていて驚かされたのは、オフィスビルの多さではなかった。街のあちこちにアートが存在しているのである。

レインボーチューブの正体

最初に目を奪われたのは、無数のカラフルなチューブで覆われた巨大な構造物だった。遠目には現代アート作品にしか見えない。

しかし後で調べてみると、その正体は換気塔だった。地下施設などの換気を担う都市インフラの一部であり、本来なら目立たない存在である。たいてい都市では景観を損なわないよう隠されることが多い。ところがラ・デファンスでは、そのインフラをあえてアートとして見せている。

この作品の名は「Le Moretti(ル・モレッティ)」。フランス人アーティスト、レイモン・モレッティによって制作された。高さ32メートルの換気塔を覆っているのは、直径2〜30センチのグラスファイバー製チューブ672本。19色に彩られたチューブの総延長は22キロメートルにも及び、組み立てには実に2,100時間が費やされたという。モレッティは、この巨大な円筒を単なる設備として隠すのではなく、都市の景観そのものを彩る芸術作品へと変貌(へんぼう)させたのである。

言われなければ、これが換気設備だと気付く人はほとんどいないだろう。

「隠す」のではなく「見せる」。

この発想にこそ、ラ・デファンスという街の面白さが凝縮されているように思えた。ここではアートは美術館の中にあるのではなく、都市のインフラや人々の日常の中に溶け込んでいるのである。

霧の中で遊ぶ子どもたち

歩いていると、広場の一角から突然大量の霧が噴き出した。驚いて足を止めると、そこへ子どもたちが走っていく。

まるで雲の中に飛び込むように。

親たちはスマートフォンで写真を撮りながら、その様子を見守っている。

この霧も街の演出のひとつである。

数分ごとに噴き出し、広場を一時的に別世界へと変えてしまう。都市空間そのものが巨大な遊び場のようだった。

アートは美術館の中だけではない

ラ・デファンスは1960年代から開発が進められてきた再開発地区である。

しかし単にオフィスを集積させるだけではなく、「屋外美術館」とも呼べるほど多くのアート作品が設置されてきた。

世界的な彫刻家やアーティストによる作品が広場や歩道に点在し、人々は通勤途中に自然とアートに触れる。

もはや美術館へ行かなくても、アートは日常の中に存在している。

人が集まる広場をつくる

大きなプールの縁に腰掛ける女性の姿を見ていて思った。彼女は何か特別な作品を鑑賞しているわけではない。

ただプールで休憩し、子どもたちを見守っているだけである。しかし、その背景には巨大な現代建築があり、足元にはカラフルなモザイクが広がっている。

つまりアートは鑑賞するものではなく、人々の暮らしを支える風景の一部になっているのだ。

都市計画の成功とは、立派な建物を建てることではない。人々が自然と集まりたくなる場所をつくることなのかもしれない。

都市とアートが共存する未来

ラ・デファンスを訪れるまでは、正直なところ「高層ビル街」というイメージしか持っていなかった。しかし実際に歩いてみると、それは少し違っていた。

ここでは、アートが街を飾るためだけに存在しているわけではない。

インフラを美しく見せ、人々を立ち止まらせ、子どもたちを遊ばせ、街に居場所をつくる役割を担っている。レインボーチューブも、霧の広場も、カラフルプールも、そのために存在している。観光ガイドにはあまり載っていない地域かもしれない。

しかし都市とアートがどのように共存できるのかを考える人には、ぜひとも訪れてもらいたい場所である。

※写真はすべて筆者が撮影(2026.05.27)

阿部宣行

阿部宣行

インドネシアはジャカルタ在住。長年お世話になった東北や旅して回った国々の記事を執筆しています。
ローカリティ受賞歴:
ハツレポグランプリ2025 副編集長・丸山賞
写真受賞歴:
東京カメラ部×FUJIFILM10選 - Colors Like Film -フォトコンテスト2025
Fun,Fan,Find青葉 Fコン2025
仙台朝市銀座UNフォトコン2025
やっと連仙台 阿波踊りフォトコン2024
ウズベキスタンフォトコン2024

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