地域愛溢れる「もりとよ商店」はみんなの居場所
和歌山県南部に位置する古座川町。日本清流百選にも選ばれる古座川が町を流れている。
古座川の河口近くに雑草で覆われた広場がある。30年前、そこは川上から運ばれた木材が高く積み上げられていたそうだ。昔から人々の暮らしと川が深く結びついている。
そんな古座川町高池地区に、創業昭和16年の「もりとよ商店」はある。
お話を伺ったのは「もりとよ商店」店主、森武志(もり たけし)さん。お話の端々に古座川町への愛が溢れている。
森さんが小学生の頃、町は林業で潤っていた。大きな製材所もあり、そこで働く人たちが仕事終わりにもりとよ商店に集まりお酒を飲んで楽しんでいたという。
私がもりとよ商店に足を入れた第一印象は、「酒屋なのに駄菓子屋さんみたい!」その一言に尽きる。子どもたちが喜びそうな駄菓子がたくさん置いている。どうして酒屋なのに駄菓子を置いているのか?
森さんは、「10年前の水害(2011年紀伊半島豪雨災害)の時、子どもたちの居場所がなかったんです。まちなかをうろうろしていました。ここにお菓子を置けば子どもたちの居場所になるんじゃないかなと思って」と話す。
私が興味深かったのは「オンライン駄菓子屋」。2020年、新型コロナウイルス感染症が広がり全国の小中学校が休校になった。もりとよ商店も1ヶ月店を閉めたそうだ。その時、「オンライン駄菓子屋」を開いたと聞いたことがある。「子どもたちがオンラインで駄菓子屋を買い、それを自宅へ送ったんです。くじ引きは子どもの代わりに僕が引いたんですよ」と森さんが話してくださった。
時代は変わっても、もりとよ商店は子どもからおとな、すべての世代の居場所として大活躍している。森さんの優しい笑顔に、私もここが居場所になりそうだ。
( 本舘 千子さんの投稿)
※このハツレポは「和歌山ローカル情報発信Lab.」から転載しました。