里山に交流を。人が循環する里、日本一のカフェの里を目指す「鹿野の風プロジェクト」の挑戦【山口県周南市】

3 min 655 views

山口県周南市鹿野(かの)に関わる皆さんが丹精込めて整備した庭を開放するイベント「里山オープンガーデンかの」。花と緑にあふれるこのイベントをはじめ、さまざまな活動で鹿野を盛り上げる「鹿野の風プロジェクト」代表の福田清治(ふくだ・せいじ)さんに、活動を続ける思いをうかがいました。

こころ踊る鹿野の春 里山オープンガーデンかの

2020年から、毎年4・5月の2カ月間開催される「里山オープンガーデンかの」。5回目の開催となる2024年は、22の庭が参加し、鹿野の春を盛り上げます。市内のみならず、遠くは兵庫県神戸市から訪れる方がいらっしゃるという里山オープンガーデンかの。期間限定開催の庭以外を全て回った筆者が、特に心惹かれた2つの庭をご紹介します。

丘の上に立つ木とベンチ、ベンチの下に広がるネモフィラの青がまぶしい山田ガーデン。丘の下に続く階段を下り、ネモフィラを下から見上げてみると、思わず写真に収めたくなる、すばらしい絵になる風景を見ることができます。

ネモフィラを十分に堪能したら、今度はベンチに腰掛けてみてください。開けた視界から、空と、鹿野の田園風景が目に飛び込んできます! 見晴らしの良い立地だからこその景色ですね。

日曜日限定で開放される田中ガーデンは、庭全体が背の高い木で囲まれており、まるで森の中にいるように感じる庭です。

足元に茂る花の中から道を見つけて歩いていると、庭主さんから小鳥が来るよ、と教えていただきました。

そう、この庭のポイントは小鳥。庭のあちこちに設置された餌台や巣箱に、時間によってはたくさんの鳥たちが集まってくるそうです。取材に訪れたときは、小鳥の姿を遠くに一瞬だけ見るに留まってしまったのが残念です。声は聞こえたのですが、「撮影するぞ!」という気持ちが鳥たちにも伝わって、怖がらせてしまったかもしれませんね。

3年前に田中ガーデンを訪れたときに撮影できた小鳥の写真もご紹介します。本来なら、この姿を写真に収めつつ、小鳥のさえずりを聞いて癒される……そんな時間を過ごしたかったな、と贅沢なことを考えてしまいます。

交流人口の「先」へ 鹿野の風プロジェクトの思い

車の往来がまばらな鹿野に、たくさんの車が行き来する「里山オープンガーデンかの」の季節。年1回とはいえ、2カ月もの間続くこのイベントを主催する「鹿野の風プロジェクト」は、平成23年から、鹿野を訪れる交流人口の増加をめざして活動を続けています。

鹿野の風プロジェクト代表の福田清治さんに、活動を続ける思いをうかがいました。

「久しぶりに鹿野を訪れた同級生が、町なかに空き地が増え、家が傾いているのを見て驚いた、と言っていました。鹿野の体力が残っている今の間に、なんとかしなければという思いで、活動をしています」と語る福田さん。

活動の出発点は、鹿野の飲食店が連携してさまざまなメニューを提供する企画でした。

「企画を運営する中でさまざまな人の意見を聞き、目先の交流人口だけではなく、もっと未来、鹿野の将来を見据えて行動しようと決意しました。高速自動車道の通る鹿野は、隣接する広島県や福岡県からもアクセスが良い場所にあります。都会で癒しや非日常を求める人に『いってみたい、関わってみたい、住んでみたい』と思われる鹿野をつくるための活動を続けています」

10年前から始まった鹿野に木漏れ日を生み出すための雑木の植樹。木漏れ日の下で憩うためのベンチ設置。2020年からは里山オープンガーデンかのと、その思いは、さまざまな試みとして形になっています。

「一過性のイベントも大事ですが、一年を通して人やお金、情報が循環する仕組みを構築できないかと考えて進めているのが、個人経営の小さなカフェが集い、一カ所ではなくたくさんのお店で人が循環する里、日本一のカフェの里をつくる計画です。鹿野にしかない空気感を生み出し、鹿野という地域があると日本全国に知らしめたい」と語る福田さん。

その思いが生み出した里山オープンガーデンかの。
訪れた庭を目で楽しんだ後は、そっと耳を澄ませてみてください。
風の音、小鳥のさえずり、水のせせらぎ……庭それぞれの「音」も、きっと楽しんでもらえると思います。

中国自動車道鹿野インターチェンジを下りて数分で行ける庭もありますから、鹿野の自然を楽しみながら、いくつか巡ってみてはいかがでしょうか?

交流人口の増加、その先にある鹿野の将来をめざす鹿野の風プロジェクト。
鹿野に新しい風を吹かせる活動に、心からエールを送りたいと思います。

里山オープンガーデンかの2024

日時 4月1日~5月31日10時~16時
※開園時間・休園日は、庭により異なります。
詳しい開催場所やパンフレット、案内マップは、ホームページなどで公開しています。
https://kanonokaze.com

亀谷忠史

亀谷忠史

山口県周南市

第7期ハツレポーター

仕事の傍ら、”鹿野にエールを”をスローガンに、山口県周南市鹿野地域を広報活動で応援する「まちづくり応援団えーる」として活動中。執筆・写真・動画など、さまざまな方法で情報発信し、鹿野を知ってもらう活動をしています。余暇には食べ歩きをしたり、写真を撮ったり、猫を愛でたり、気ままに生きています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です