パリでの経験を秋田で。音楽を通じて人々の心をつなぐ 「みんなの居場所」をつくる【秋田県潟上市】

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▲2026年5月26日筆者撮影

読者の皆さんは秋田県潟上市にある「かふぇうたせ」をご存知だろうか?

このカフェは元々古民家だったが、明治30年創業の歴史ある佃煮屋さんの「千田佐市(ちださいち)商店」が「ふるさとにカフェを開いて人の集まる場所を作りたい」と、新たに和風カフェとして昨年よりリニューアルオープンした。

パリに3年間の留学経験がある千田浩太(ちだ・こうた)さんは千田佐市商店に生まれ「ART OFFICE SAICHI」(千田佐市商店文化事業部)の代表、そして作曲家・芸術家『佐市』としての二つの顔を持つ。

千田さんは、地元に何か娯楽的なものを作れないかと思い、パリでの経験を生かしてカフェを開いた。始めた当初は周囲から「こんなところで音楽活動やってどうすんだ?」という反発の声もあったが、地道に活動を続けることで、いつしか地元の人々が多く集う「みんなの居場所」になった。

今回は新たな文化交流の拠点ともいえる「かふぇうたせ」について、2026年5月26日に行われたミニライブ「うたの瀬」の様子を交えつつ、その魅力を紹介する。

古民家から和風カフェに

千田佐市商店は、1897(明治30)年に創業した老舗の佃煮屋さんで、八郎潟で取れたワカサギを使った伝統的な佃煮の他にチーズ味やバジル味の新商品の開発にも力を入れている。「かふぇうたせ」は2025年5月に古民家を改築してリニューアルオープンしたもので、店内に入って左側には土間を改築したカフェ席と佃煮ショップがあり、すぐそばにピアノが置かれている。

▲ミニライブ開始前の様子。元々ここは土間だった(2026年5月26日筆者撮影)
▲店内和室。レトロモダンな内装が特徴(2026年5月26日筆者撮影)

また建物2階へ上がると小部屋と畳の間で本を読みながらゆっくり過ごすことができる一人掛けのソファ席がある。

▲2階の様子。書斎の本は全て千田さんの私物である(2026年5月26日筆者撮影)

芸術活動が身近なパリでの経験を生かす

元々パリに3年間留学していた千田さんは、秋田に帰ってからは「地元で何か娯楽的なものを作れないか?」と思い、カフェを始めた。パリの街は音楽活動や絵画等の芸術文化が盛んでカフェやバーで知り合った多くの方々と交流して活動が広がった。

また体験型カフェとしての側面を持ち、土間の空間は外の空間でありテラスの役割を果たしている。2階の小部屋はいわば自分の部屋であり、「おばあちゃんの家」に帰ってきたような感覚になるようにしているそうだ。

▲井島佐恵子さん(左)と千田浩太さん(右)。千田さんは普段「佐市」という名前で活動している(2026年5月26日筆者撮影)

音楽を通して「みんなの居場所」を作りたい

今回のミニライブ「うたの瀬」では主に「春」をテーマにした演目が行われ、滝廉太郎の「朧月夜」やフォーレの「シシリアーノ(シシリエンヌ)」等の有名な曲をソプラノ歌手の井島佐恵子さんが歌った。

▲ミニライブの様子
▲ミニライブ「うたの瀬」の5月分のパンフレット(2026年5月26日筆者撮影)

ミニライブは月1回の午前10時30分から午前11時までのおよそ30分間ほどの長さで行われているが、今回訪れた観客の中には地元だけでなく秋田市内から来られた方もおり、知名度が高いことがうかがえる。

カフェを始めた当初は周囲から「こんなところで音楽やってどうするんだ?」という反対の声もあったが、地道な音楽活動のおかげで様々な人達との交流が増え、「みんなの居場所」となった。

自分のやりたいことと千田さんの思いが一つになった

▲ソプラノ歌手の井島佐恵子さん(2026年5月26日筆者撮影)。

今回ミニライブに出演した井島さんは武蔵野音楽大学で声楽を専攻し卒業後しばらくの間、東京で音楽活動をしていた。約30年前に秋田に帰ってきて仕事をしつつ音楽活動を続けている。

ソプラノ歌手をしながら今年の3月まで秋田市の複合施設「アトリオン」の音楽ホールで自らイベントの企画や音楽活動を行っており、千田さんとは以前からアトリオンを利用していた頃からの知り合いであり、退職してから自身が続けたいと考えていた音楽活動への思いが千田さんの思いと一つになったのである。

ミニライブの後はランチで満腹に!!

▲かふぇうたせの定番メニューの一つである「潟の幸あんかけ焼きそば」税込み1300円(2026年5月26日筆者撮影)

ミニライブが終了した後、筆者はおなかがすいてきたのでランチを取ることにした。今回初めてここを訪れたが、とりわけおいしそうに思えたのがこの「潟の幸あんかけ焼きそば」である。地元八郎潟で取れた白魚やわかさぎ、エビを乗せて柔らかな焼きそば麺にたっぷりと絡めた逸品で香の物やスープも付属する。実際に食べてみると麺のコシはもちろん、わかさぎやエビのカリカリした食感と独特な風味がおいしさを引き立たせており、非常に食べ応えがあった。

▲メニューに書かれている店名の由来(2026年5月26日筆者撮影)

店名の由来は昔、八郎潟で帆に風をうたせて進む「うたせ舟」を用いた白魚漁やわかさぎ漁が行われていたことから来ており、うたせ舟のように人々の思いや時代の風を受け止めて皆さんと共に空間を作り上げていきたいという思いを込めて「かふぇうたせ」にした。

また千田さんは作曲家としての一面を持ち、店内のBGMは全て「佐市」オリジナルの🎷を使用しており、ピアノだけでなくハーモニカ演奏といった幅広いバリエーションの曲が「癒し」の空間を提供している。

また午後3時30分からは店内のレコードを自由に試聴することも可能で、アナログなサウンドを満喫してほしいという千田さんの粋な計らいである。

▲メニューにあるレコード自由試聴の項目(2026年5月26日筆者撮影)

懐かしの我が家のような安心感を抱くカフェ

レトロな内装と和風の外観が特徴の「かふぇうたせ」は初めて訪れたはずが、不思議と実家に戻ってきたかのようなゆったりとした雰囲気と懐かしさを兼ね備えたカフェである。

来月もミニライブは開催される予定なので、音楽を楽しみたい方はぜひ鑑賞してみよう。

▲ミニライブ「うたの瀬」の6月分のパンフレット(2026年5月26日筆者撮影)

そして、秋田県潟上市を訪れた際は「かふぇうたせ」でゆったりとした時間を過ごしてはいかがだろうか?

▲かふぇうたせの外観(2026年5月26日筆者撮影)

情報

かふぇうたせ
住所:〒018-1401 秋田県潟上市昭和大久保町後31-1
営業時間:月・火・木・土・日 11:00〜16:30 金 11:00~21:00 水曜定休
最寄駅:JR大久保駅(徒歩約15分)
TEL:018-827-7229
ART OFFICE SAICHI(株式会社千田佐市商店文化事業部)の公式サイト:https://www.artofficesaichi.com
かふぇうたせ公式サイト:https://www.artofficesaichi.com/cafeutase
かふぇうたせ公式Instagram:https://www.instagram.com/cafe_utase

亀田健太

亀田健太

1995年生まれ。生まれも育ちも秋田育ちで、大学時代に観光学科に所属してました。ローカリティ!の一員として秋田の魅力を発信していきます。

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