島の高校教員らが20年以上紡ぐホタルの軌跡「ホタルマップ」が今年も公開【長崎県壱岐市】

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初夏の壱岐島では、島内各地でホタルを見ることができる。そんなホタル観賞の強い味方となっているのが「ホタルマップ」だ。地元の高校教員らが島内のホタルスポットを調査して毎年作成しており、今年も公開された。

島内には数多くのホタルスポットが点在している。車で約2時間ほどで島を一周できる壱岐では、複数のスポットを巡る“ホタルハシゴ”も楽しみ方の一つだ。そんなときに頼りになるのがホタルマップである。

マップの作成にあたっては、教員らが5月中に計3回の調査を実施。島内各地を巡りながらホタルの発生状況を確認し、その結果を地図にまとめている。ホタルマップを見れば、その年のおすすめスポットが一目で分かるため、多くの島民が見頃に合わせてホタル観賞を楽しんでいる。

ホタルマップ誕生秘話

ホタルマップの作成は20年以上前から続いている。

当時の壱岐は現在と同じく自然豊かな島だったが、平坦な地形のため集落が川沿いに形成されており、島内を流れる河川は生活排水の影響を受けていたという。

また2004(平成16)年には、志原地区の橋周辺でホタルが大量発生し、新聞やテレビで紹介されたことで多くの見物客が訪れた。

こうした中、「壱岐の川に生息する生き物はどのような状況にあるのだろうか」と考えた地元の高校教員が、島内に多く生息するゲンジホタルの分布調査を開始した。生息状況をまとめた分布マップを作成したことが、現在のホタルマップの始まりとなった。

その後、この取り組みは理科教員らによって受け継がれ、20年以上が経過した今もなお、島民に親しまれるローカルマップとして活用されている。

ホタルマップがつなぐ地域との絆

現在、ホタルマップの制作に携わる一人が壱岐高校の中尾祐圭子教諭だ。

昨年から5地点の調査を担当している中尾教諭は、ホタルを見るたびに生命力や神秘的な姿に感動すると話す。週に1回の調査でホタルの数の変化を追うことも楽しみの一つだという。

また、地域からの反響も活動の大きな励みになっている。調査中に、ホタルマップを手にホタル観賞を楽しむ地域住民の姿を見かけることもあるそうだ。

なかでもうれしいのは、生徒から「ホタルを見に行きます」「ホタルがいましたよ」と声を掛けられることだという。

「大人になってからもホタルのことを思い出して、壱岐の自然を守っていってほしい」

中尾教諭はそう願いを語った。

ホタルマップは単なる観賞ガイドではない。地域の自然を見守る人たちと、それを受け取る島民や子どもたちをつなぐ存在でもある。地域の自然を通して、人と人、人と地域がつながる。ホタルマップにはそんな役割もあるように感じた。

進化し続けるこだわり満載のホタルマップ

ホタルマップでは、ホタルの発生状況が一目で分かるよう工夫されている。各スポットは想定されるホタルの数によってAからEまでの5段階に分類されており、初めて訪れる人でも見頃の場所を探しやすい。

近年は地図だけでなく、ホタルのイラストや写真も掲載されるようになった。今年の第3回マップには、中尾教諭が撮影した羽を広げたホタルの写真も掲載されている。

さらに今年度からは位置情報のURLも掲載され、スマートフォンから場所を確認できるようになった。編集作業は理科の牧瀬遥実習教員が担当しているという。

印刷されたホタルマップは、ホタルシーズン中、壱岐高校の正面玄関や観光案内所などに設置されており、誰でも自由に持ち帰ることができる。

時代に合わせて少しずつ形を変えながらも、20年以上にわたって受け継がれてきたホタルマップが、今年も島の夜を彩るホタルたちを案内してくれる。ホタルシーズンに壱岐島を訪れた際は、ぜひホタルマップを片手に夜のホタル観賞を楽しんでみてほしい。

情報

・『壱岐高紀要』第4号(2004年3月/長崎県立壱岐高等学校 発行)
本田美緒子/横山徹「ホタル(蛍)マップの作成」・壱岐高校ホームページ ホタルマップ掲載ページ
https://www2.news.ed.jp/bunrui/syoukai/sonota-sy/hotarumap/300935.html

田口怜奈

田口怜奈

第8期ハツレポーター/長崎県在住のしまの高校生、6年前に大阪から壱岐島に移住。

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