白虎隊唯一の生存者・飯沼貞吉は、維新後に新政府の役人になっていた【宮城県仙台市】

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白虎隊といえば、戊辰戦争の悲劇の部隊として有名です。時々テレビドラマにもなっていますので、見たことのある方も多いでしょう。私の頃は、山下智久さんが主演を務めていました。

白虎隊を簡単に説明すると、幕末の頃に会津藩が組織した16~17歳の男子を集めた部隊のことです。しかしながら、新政府軍との戦いで戦況が悪化し、飯盛山という山に退避することになります。

そこで会津の街が燃えているのを見、会津鶴ヶ城が落城したと思った隊士らは、その場で自刃してしまいました

その白虎隊で唯一の生存者が、飯沼貞吉(のちに飯沼貞雄と改名)という人物です。

なぜ仙台市に石碑?

私が見つけたのは、その飯沼貞吉の石碑でした。

たまたま散歩中に見つけたのですが、会津藩(今の福島県会津若松市)の隊士の石碑が、なぜか県外の仙台市にある…。これはどういうことなのか。

石碑をよく読んでみると、「蘇生白虎隊士 飯沼貞吉終焉之地」とありました。終焉之地ということは、おそらくはここで亡くなったのだろうと推測できます。

案内板に、その事情が詳しく載っていました。

白虎隊の生存者は、維新後に政府の役人になっていた!

案内板には、飯沼は明治5年(1872年)に逓信界に入る、とあります。電信技術者として、九州から北海道にかけて全国の電信・電話網の架設に尽力したそうです。

日清戦争(1894〜1895年)の時には朝鮮半島の軍用電信架設に成功したという、かなりすごい人でした。同じ福島県人ながら、その功績をあまり知らず、非常にお恥ずかしい…。

その飯沼は、仙台郵便局や札幌郵便局に勤務し、仙台逓信管理局工務部長に出世。逓信管理局とは、いわば地方の郵政における監督機関のようなものでした(郵政博物館 研究紀要 第17号(2026年3月) ※クリックするとダウンロードが開始されます)。

その工務部長の際に、この仙台市を終の住み家にしたそうです。だからこの場所に「終焉之地」の石碑があるのですね。

宿敵・新政府に出仕する飯沼貞吉の気概

飯沼は会津の人間。一方の新政府は薩長による政権。かつて戊辰戦争で戦った敵同士です。

それでも維新後に新政府に出仕したのは、飯沼のただならぬ気概があったのだろうと思われます。飯沼に限らず、旧幕府側で新政府でも活躍した人材はたくさんいます(勝海舟や渋沢栄一などもそうですね)。やはり、日本の発展を願う気持ちがあったのではないでしょうか。

たしかに敵ではあったけれど、国内でにらみあっていても何も生まれない。飯沼からは、そのような気概があったと感じざるを得ません。

石碑の場所

飯沼貞吉のこの石碑は、仙台市青葉区錦町1丁目にあります。ごく普通の住宅街です。

仙台駅からだと、駅前通りをまっすぐ北に向かい、定禅寺通りとぶつかる交差点をさらに北に向かうとあります。ホテル白萩の近くと言えば通じるかもしれません。

タクシーだと、仙台駅からはおそらく10分くらいだと思います。幕末好きで、佐幕派の方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

飯沼貞吉のお墓はどこにある?

ここで疑問がわきます。終焉之地がこの場所だということはわかりました。しかし、お墓は果たしてどこにあるのでしょうか?

調査を進めると、仙台市青葉区北山にある「輪王寺」というお寺に、そのお墓があるようです(輪王寺のウェブサイト:https://rinno-ji.or.jp/pedigree/)。

さっそく輪王寺に向かってみることにしました。

飯沼貞吉のお墓のある「輪王寺」に行ってきた

輪王寺は曹洞宗のお寺。駐車場も広かったです。

境内はとても広く、塔までありました。これは迷子になります。

本堂もこのように立派でした。

なんと馬までいました。「勝ち馬に乗る」気持ちになり、自然と運気が上がりそうです。

肝心の飯沼のお墓ですが、「第二駐車場」を背にして東側に進むと、上の写真のような立て看板を発見できます(RPGみたいですね)。

矢印の通りに進むと、坂になっています。その坂を一番上まで登ってください。すると、上の写真のような案内板を見つけられると思います。

案内板には、飯沼の戒名なども記されています(白厳院殿孤虎貞雄居士)。

そしてこちらが飯沼のお墓。

今回、撮影許可を頂いたお寺の担当者に取材をしました。お参りに来る方も一定数いるようで、「小学生の修学旅行先になっていて、興味がある子どもたちが来るようです」と話されていました。

歴史好き、幕末好きはぜひお参りしておきたいお墓でした。

故郷の会津から遠く離れた仙台に眠る飯沼。今頃、天国で何を思っているのでしょうか。

そんなことをいろいろ考察しながら、仙台の街を散策するのも良い休日の過ごし方なのではないかと感じました。

※写真は全て2026年8月8日に筆者撮影

情報

蘇生白虎隊士 飯沼貞吉終焉之地
〒980-0012 宮城県仙台市青葉区錦町1丁目1−44
※普通の住宅街のため、静かに訪れると飯沼さんも喜ぶと思います。

輪王寺
宮城県仙台市青葉区北山1丁目14-1
HP:https://rinno-ji.or.jp/

安齋慎平

安齋慎平

福島県在住のライター。企業や自治体、政府広報など幅広い領域でインタビュー記事を担当。主な執筆記事に「東急ハンズの中の人に聞く『つぶやきの作法10ヶ条』」や「全職員を巻き込み、自ら改革する市役所を作る!–福島市役所のDXを進めるキーパーソンたちに聞く」など。「デイリーポータルZ」月間新人賞受賞経験あり。

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