8月編集長マンスリーレビュー「驚き・発見・感動」をファクトで伝える 

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今月から、マンスリーレビューをいつもより半月ほど早めてお届けすることにしました。記事で見えた良かった点や次に意識したいことを、できるだけ早く次の記事づくりにつなげてもらえたらと思っています。 

8月の記事を読んでいて感じたのは、全体的に記事のクオリティがかなり上がってきたことです。地域の面白いものを見つけて紹介するだけではなく、現場で取材し、人の話を聞き、その出来事の背景や社会とのつながりまで伝える記事が増えてきました。

一方で、内容が充実してきたからこそ、次のステップとして意識してほしいのが「構成」です。起きたことを時系列に並べるのではなく、まず目の前の出来事や人の姿を描写し、そこからカメラを引くように背景やストーリーへ広げていく。そうすることで、同じ取材内容でもぐっと読みやすく、伝わる記事になります。

今月はそんな視点も含めながら振り返っていきます。

海外だからこそ見える、知らなかった文化と風景

海外からの記事には、その場所にいる人だからこそ伝えられる強さがあります。知らなかった祭り、食、街の色、建築やアート。インタビューがたくさん入っていなくても、実際にその場所へ行き、自分の目で見て撮った写真や描写そのものが現場性になります。

インドネシアで「さくら祭り」が開かれ、コスプレや日本食、ライブまで楽しまれている。僕自身、知らない祭りでした。海外で日本文化がこんなふうに受け入れられていることを、現地から伝えてくれるのがいいですね。現場性があって素晴らしい内容だと思います。

この記事は、カギカッコで取った言葉がそれほど多くなくても、写真が雄弁に語っています。これも一つの記事の形だと思います。

インタビューやカギカッコは、現場性を確保するための手段であって、必須ではありません。大事なのは現場性そのもの。実際にその場所へ行き、自分で見て、食べて、撮影している。その強さが記事になっています。

パリの街を実際に歩きながら、その先に何があるのかまでつないで紹介しているのがいいですね。現地を歩いているからこそできる記事です。写真とともに場所をたどっていけるのも、このシリーズの魅力だと思います。

まず印象に残るのが「色」です。独立記念日を前に赤と白に染まる街の様子が、写真からよく伝わってきます。目の前の風景だけではなく、その背景にある歴史にもきちんと触れています。現地にいるから見つけられる風景を、その背景と一緒に伝えられているのがいいですね。

「なぜ?」を追いかけると、身近なものがニュースになる

普段何気なく目にしている標識や、誰もが知っている曲、歴史上の人物。そこに「なぜ?」を持つと、ニュースの入口になります。

そして、疑問を持っただけで終わらず、行政や関係者に聞き、資料を調べ、実際に現地へ行く。そのひと手間が、単なる雑学ではなくローカリティ!の記事にしてくれます。

「Nanboku」と「Namboku」が混在している。そんな身近な違和感に気づき、ちゃんと仙台市に聞き、さらに基本方針まで調べています。

これはすごくハツレポらしい「発見」だと思います。大きな事件ではなくても、自分が「あれ?」と思ったことを追いかけていけばニュースになる。そのお手本のような記事です。

Yahoo!でもかなり読まれた記事でした。以前撮った写真だけで記事にするのではなく、改めて現地へ足を運び、お墓にも行って取材しています。

もともとの文章力の高さも感じますが、それに現場性が加わったことで、しっかり読ませる記事になっています。すばらしい取材力と記事力を感じました。

これは僕も「知らなかった!」となりました。

閉店時に聞き慣れている曲を「蛍の光」だと思っていたら、実は違う。しかも調べていくと古関裕而につながっていく。身近な疑問から始まり、音楽の違いをたどって地域の人物へ行き着く展開も面白い。いい記事です。

地域を取材することは、社会を取材すること

8月には、行政DXや観光、出版など、地域の中で起きている変化を丁寧に追った記事もありました。

「ローカルメディア」というと、地域の面白い場所や出来事を紹介する媒体だと思われることがあります。でも、地域には行政も企業も産業も社会課題もあります。そこまで取材できるのがローカリティ!です。

丁寧に取材されていて、何より浪木さんへのインタビューが記事の軸として最後まで通っているのがいいと思います。

地域活性化や観光という大きなテーマを説明するだけではなく、実際にそこで動いている一人の人の話を中心に置く。そのインタビューがあるからこそ、記事全体が締まっています。

これは前編だけでも一本の記事として成立するくらい取材が充実していますし、後編もいい。DXという言葉だけを追うのではなく、震災や災害を経験した職員たちが、なぜ業務を変えようとしたのかまで丁寧に取材している。最後にたどり着く「頑張っていたのはDXではなくXだ」というまとめも非常にいいと思いました。

年間グランプリ候補に挙げたいくらいです。かなりジャーナリズム的な記事だと思います。

ローカリティ!は「地域の面白ネタを書いているメディア」と思われることもありますが、こういう記事が出てくることで、それだけではないという力を見せられたと思います。

福島県59市町村すべてを巡り、小高に出版社をつくる。地域に入っていく一人の人を追うことで、その土地との関係が見えてくる記事です。

この記事を読みながら改めて感じたのは、ローカルのプレイヤーは、思っている以上につながっているということでした。僕自身も取材相手の森さんと以前からつながりがありました。誰かと誰かが実は知り合いだった、ということが地域では本当によくあります。

だからこそ、ローカルをやっていること自体がイーストタイムズにとって、とても大事なことなんだと思います。

受け継ぐだけではない。地域文化は今もつくられている

伝統や文化を扱う記事というと、「昔から続いています」で終わってしまいがちです。でも、文化は今を生きる人たちによって更新されています。

酒造り、祭り、刺し子、花はす。現場へ行ってみると、それを受け継ぎ、変え、次へ渡そうとしている人がいます。そこまで見つけられると、文化の記事が「今のニュース」になります。

この記事は最初に描写から入っているのがいいですね。

さらに良くするとしたら、実際に体験している場面をもう少し前に持ってきてもいい。最初に必要最小限の説明をしたら、まず現場を見せる。そこから「そもそも刺し子とは」と背景へ広げていくと、もっと読みやすくなります。

現場を先に見せて、そこから視野を広げていく。この構成を意識すると、取材した内容がさらに生きてくると思います。

「酒だけとは、その土地の文化を液状化したもの」

この言葉はすごい。僕はこのカギカッコに感動しました。よくこのカギカッコを取りました。

いい取材とは、たくさん質問することだけではなく、その人だからこそ言える言葉をつかまえることでもあります。この言葉一つを取れただけでも、この記事は素晴らしいと思います。

現場性がたくさんあっていいですね。実際に体験しているだけではなく、まちづくりに関わる山内さんにもきちんと話を聞いています。

自分が体験して感じたことと、地域側の人への取材が両方ある。この調子でぜひ続けてほしいと思います。

祭りの現場へ行き、その場をしっかり見て書いてくれました。

塩竈神社の急な階段を神輿が下り、船で海を巡って、また戻ってくる。そういう祭りそのものへの描写に、田口さんならではの「まなざし」があります。

祭りの記事は、行事の説明だけではなく、書き手がそこで何を見たのかが大事です。そのまなざしが感じられる記事でした。

僕は本当は、すべての町のお祭りを記事にしたいと思っています。

これは単に「盆踊りが復活しました」という話ではありません。55年ぶりに復活した祭りで、今の商店主たちが踊りの輪の中心になり、新しい文化をつくっている。そこにはきちんと社会性があります。

普遍性や社会性は、遠くに探しに行かなくても、自分たちの隣にあります。どんな人の中にもドラマがあり、どんな地域にも社会につながる出来事がある。それを見つけることが大切なんだと思います。

人を取材することで、「生きる」の答えを探す

8月の記事の中で、とても印象に残ったのが人物記事です。

一人の人の人生を取材することは、その人だけの特殊な物語を書くことではありません。その人が何に悩み、何を選び、どう生きているのかを掘り下げていくと、そこに多くの人につながる問いが現れます。

取材する側も、もしかすると何かの答えを探しながら人に会っているのかもしれません。

非常にいい記事だと思います。きちんと一人の人間のストーリーになっている。最近の松井さんの記事には、自分なりの書き方ができてきたように感じます。

僕自身が記事を書いている時の感覚にも少し似ています。何かの答えを探そうとして人を取材している。その人が自分なりの答えを見つけ、生きている姿を取材することで、自分自身も何かを得ようとしているし、それを誰かに伝えようとしている。そんな記事になっています。

この記事も、きちんと本人に話を聞き、一人の人のストーリーとして書いています。

人は何かの答えを求めて生きているものだと思います。その答えを探すために取材する、というのも一つの取材のあり方です。

何かを紹介するためだけではなく、自分の中に生まれた問いを持って人に会い、その人の生き方から答えを探していく。そんな人物記事がもっと出てきてもいいと思います。

こういう記事は、ローカリティ!以外ではなかなかニュースとして出ないかもしれません。でも、これはちゃんとニュースなんです。

地域には、こういう話がたくさんあります。ただ、それがこれまで表に出てこなかった。この記事を読んだうえで「大川市には何もない」と言えるでしょうか。

誰かにとって大切な人物や作品、そこに積み重なった物語を見つけ、ニュースとして世の中に出す。それこそローカリティ!ができることだと思います。

一人の人物をきちんと記事の中心に置けているのがいいですね。書きたいことがたくさんあったのだと思います。だからこそ、次は構成を意識してみてほしい。

まず描写を置き、そこから背景、ストーリーへ進み、情報は最後に置く。見出しや小見出しも、たくさんある情報を整理して読者を導くためにあります。ハツレポとしては素晴らしいので、次はこの「構成の型」を意識すると、さらに読みやすくなると思います。

素晴らしい出来事を「ニュース」にするための構成

地域には、ニュースになっていない素晴らしい出来事がたくさんあります。それを報じること自体に意味があります。

一方で、取材できる情報が増えてくると、「全部伝えたい」という気持ちも強くなります。そこで重要になるのが構成です。

出来事を起きた順番に書く必要はありません。まず読者に一番見せたい場面を置き、そこから背景へカメラを引いていく。8月は、次のステップとしてそこを意識してほしい記事がいくつかありました。

まず、この出来事そのものが素晴らしい。でも、こういう出来事は一般的なニュースではなかなか報じられません。だからこそ、ローカリティ!が報じる意味があると思います。

記事も全体としてすごくいい。そのうえでもう一歩進むなら、構成です。

「こども四日市とは何か」という説明から始めるのではなく、まず子どもたちが実際に動いている場面を見せる。そこから「これは何だろう」と背景へ引き、さらに運営する人のストーリーへ入っていく。カメラを近いところからだんだん引いていくイメージです。そうすると、もっと読者が入りやすい記事になります。

鉄道やインフラの記事はよく読まれますが、こうした記事ほどファクトの確認も重要になります。

「世界初」のような表現は、取材相手がそう話していても、そのまま事実として断定するのではなく、「○○さんによると」と情報源を明確にする方法もあります。文章の形に過度にこだわる必要はありません。ファクトがしっかりしていれば、書き方は自由でいいと思います。

まず写真がいいですね。内容もすごくいい。そのうえで、もう一段記事を締めるなら、やはり構成です。起きたことを時系列に平たく並べていく必要はありません。

「この記事を1000字で書くならどうするか」「600字なら何を残すか」と考えてみると、何を先に見せ、何を後ろに置くのかが見えてきます。

ブログとしては時系列でも読めますが、ニュースとして届けるなら、読者が途中で迷子にならない設計が必要です。

身近な体験にも、普遍性と社会性がある

ニュース性や社会性というと、大きな社会問題を扱わなければならないように感じるかもしれません。でも、普遍性や社会性は身近なところにもあります。

自分が食べたもの、参加したイベント、家族と過ごした時間。そこから一歩掘り下げて、その背景にある人や社会まで見つけられると、個人的な体験がニュースになります。

ZINEという、僕自身もあまり知らなかった世界を知ることができて面白かったです。個人が自分でつくり、発信する文化は、名前や形を変えながら昔からあったものでもあります。そこまで歴史をたどっているのも面白い。

一方で、記事をさらに良くするなら構成を考えてみてほしいです。出展者それぞれの紹介が並列に見えるので、例えば一人の描写を冒頭に置き、そこからZINEとは何かという背景へ引き、最後にほかの出展者へ広げる方法もあります。

「描写→背景→ストーリー」と、ズームで見せ、そこからカメラを引いていくように、背景やストーリーへ広げていく。そうすることで、同じ取材内容でもぐっと読みやすく、伝わる記事になります。 

毎回感じていますが、文章がずいぶん良くなりました。

地域の老舗百貨店で開かれた写真展を、七夕というタイミングでしっかり拾っています。こうして書き続けることで文章そのものが変わっていく。その積み重ねを感じます。

6万4000PVと、とてもよく読まれました。

この記事がいいのは、単に「110円の粒あんバーが面白い」で終わっていないことです。その商品が生まれた背景にストーリーがあり、そこに普遍性や社会性まで入っている。

身近で面白いものを入口にしながら、その奥まで伝えているから、多くの人に届いたのだと思います。

とてもいいイベントで、それをきちんと現場で取材して記事にできています。久しぶりの投稿でしたが、依頼したらしっかり取材記事を書いてくれました。こういう機会をきっかけに、しばらく書いていなかった人にもまた参加してもらえるといいですね。

自分の「驚き・発見・感動」を、どう伝わる形にするか 

8月の記事を通して改めて感じたのは、ローカリティ!で大切にしてきたことが、かなり記事として形になってきたということです。

大きなニュースを探さなくてもいい。

自分が「なぜ?」と思った地下鉄の表記からニュースは始まるし、閉店時に聞いた曲への違和感から地域の人物へたどり着くこともある。町のお祭りにも、製餡所の110円のアイスにも、一人の画家の人生にも、社会につながるものがあります。

一方で、取材力や記事の内容が上がってきたからこそ、次に意識してほしいのが「どう伝えるか」です。

出来事を時系列に並べるだけではなく、まず現場の描写を見せる。そこから背景へカメラを引き、人物のストーリーや社会とのつながりへ広げていく。取材したものを全部書くのではなく、「何を最初に見せれば、この価値が一番伝わるのか」を考えて設計する。

そしてもう一つ、僕がずっと大切にしているのが、自分自身の「驚き・発見・感動」こそ価値であるということです。

ただし、その主観をそのまま「私はこう思った」で終わらせるのではなく、取材して言葉を取り、ファクトを積み重ねて、読者にも伝わる形にする。

実は、10月に出版する本に書いたことも、ローカリティ!で日々やっていることを発展させたものです。自分の驚き・発見・感動から価値を見つけ、それをファクトで伝える。僕自身、ローカリティ!の教科書にもなるような内容だと思っています。

8月の皆さんの記事そのものが、その考え方を少しずつ体現し始めているように感じました。

情報

クラウドファンディング「IGNITION JAPAN」 人が自ら考え、動き、挑戦したくなる社会をつくる
URL:https://camp-fire.jp/projects/962218/view?srsltid=AfmBOorM3jAWc1YK9LW1mXZrveqQ1l83sN-OaHn2cp35Q0eLDwjV405h

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ローカリティ!編集部

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