5月の記事をふり返る ー 編集長マンスリーレビュー

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これまで「編集長コラム」として掲載してきた月ごとのふり返りですが、今月から「編集長マンスリーレビュー」としてお届けします。

2026年4月、ローカリティ!では、報道倫理規定に「ローカリティ!掲載基準を満たさないオピニオン記事、コラム記事は掲載しない」と明記しました。

そのため、この記事も、編集長個人の感想や意見を述べるコラムではなく、掲載された記事をふり返りながら、どの記事にどのような価値があったのか、ローカリティ!が大切にする「驚き・発見・感動」や現場性、地域性がどのように表れていたのかを確認する場として位置づけていきます。

5月の記事を読みながら、「なぜ、私はこの記事をいいと思うのだろう」と、改めて考えながら読みました。 

人の熱量が、場を動かす

この記事を読んで、まず「ボードゲームをやりたい」と思いました。主催者が「渋々やっている」と言い、赤字であることも隠さない。それでも場が熱狂している。普通ならきれいに整えてしまいそうな本音まで、そのまま記事に出てくるところがローカリティ!らしいと思います。やりたくない、赤字だ、でもやる。そういう少し狂気にも近い熱量を拾ってくることに、この記事の面白さがあります。

この記事は、人の営みをしっかり取材しているところが良いと思います。少し長い記事ではあります。けれど、竹だらけで真っ暗だった里山が、なぜ子どもたちの通う場所になったのか。その変化を、活動の背景や関わる人たちの思いから丁寧に描いています。地域の記事に必要なのは、ただ「こんな場所があります」と紹介することではなく、そこに人がどう関わってきたのかを見ることなのだと感じます。

個展の記事は、地域メディアにとって大切なテーマです。大きなニュースにはなりにくいかもしれません。しかし、地域で表現を続ける人がいて、その作品に出会える場所がある。こうした小さな文化の動きを見逃さずに記事にすることも、ローカリティ!の役割です。

「なぜ、私はこの記事をいいと思うのだろう」この問いが、今回のレビュー全体の出発点です。街角にあるブロンズ像は、ただ置かれているだけなら見過ごしてしまうかもしれません。けれど、そこに誰かのまなざしが向けられ、物語として立ち上がると、街の見え方が変わります。

病気や社会課題に、暮らしの中から心を寄せる

この記事は、ローカリティ!が目指している記事の形に近いと思いました。1型糖尿病という社会的なテーマを、ラムネ1本という身近な入口から描いています。ひとりの父親の物語から、病気への理解という普遍性や社会性を描き出している。地域の小さな出来事を小さなままで終わらせず、読む人の暮らしや社会へのまなざしにつなげているところが良い記事でした。

四日市公害を、ただ歴史として説明するのではなく、「教室」という場から書いているところが良いと思いました。再現された小学校の教室にある異様さ。その空間を通して、公害が子どもたちの暮らしにどう入り込んでいたのかを感じさせる記事です。社会課題を、現場の描写から伝える。これはローカリティ!が大切にしたい書き方です。

花と自然が教えてくれる、土地の魅力

これは、まさに地域面らしいニュースだと思いました。「藤の花前線」が北上し、秋田までたどり着く。しかも、地元の人でも知らないような場所の魅力を掘り下げている。写真も美しく、こういう記事でローカリティ!を埋め尽くしたいと思うような記事です。

こちらも藤の北上を伝える記事です。花の見頃という季節のニュースでありながら、伊達政宗公や朝鮮出兵との関わりがあり、土地の歴史にも触れています。花が咲いたという事実の奥に、長く続いてきた時間があることを伝えられるのが、地域記事の面白さです。

ただ山に登って、珍しい植物を見つけたというだけなら、個人のブログで終わってしまうかもしれません。でもこの記事には、歴史のある山城と、そこでひっそり咲くユウレイタケに心を動かされた書き手の感覚があります。この心の揺らぎに価値を見出せるかどうか。それを世に問うのが、ローカリティ!というメディアなのだと思います。

タンポポを畑にしているというだけでも珍しいのに、それを撮り鉄の聖地として地域活性化につなげようとしているところが面白い記事です。タンポポ博士の話ともつながり、地域の中で小さな資源をどう見立て直すかという視点があります。花の記事でありながら、地域づくりの記事でもあります。

歴史の記憶を、いまの風景からたどる

この記事は、旅の余白にある出会いが魅力でした。目的の場所に行くだけではなく、その途中で人に出会い、話を聞き、思いがけない発見が生まれる。ローカリティ!の記事には、予定調和ではない面白さがあります。地域を歩くことの豊かさが伝わる記事でした。

このイベントをここまで詳しくレポートする媒体は少ないと思います。祭りや歴史イベントは、開催情報としては扱われます。しかし、現場で何が起きているのか、どんな熱気があるのか、なぜ人が集まるのかまで丁寧に見ると、地域の歴史がいま目の前で動き出すように感じられます。すばらしい記事でした。

食から見える、地域の個性

金魚印の冷麦は、四日市のソウルフードとしての強さがあります。食の記事でありながら、地域の歴史や文化を感じられる記事です。おいしいものを紹介するだけでなく、なぜその食がこの土地で愛されてきたのかまで届くと、ローカリティ!らしい記事になります。

1年前に撮った写真だけれども、掲載にあたって最新の情報をきちんと確認しているところが良いですね。裏メニューという少し怪しい響きも含めて、ローカルな店の個性が出ています。地域の記事は、まちの中にある小さな違和感や面白さを拾えるかどうかが大切です。 

地域資源を未来につなぐ挑戦

大倉ダムを取り上げたのが良かったと思います。鳴子ダムのように有名な場所だけではなく、大倉ダムのような地域の中にある魅力に目を向ける。しかも日本唯一のダブルアーチ式ダムという特徴と、初夏の鯉のぼりという季節感が重なっています。ローカリティ!らしい目の付けどころです。

現場性がきちんとある記事でした。開園日に現場へ行き、何が起きていたのかを取材している。こうした記事では、写真にも「何月何日撮影」といった情報が必要です。自分たちで撮った写真であっても、いつの写真なのかを伝えることで、記事の信頼性が高まります。

海外の街で見つけた、色と記憶

写真の色が印象的な記事でした。ホイアンの黄色い街並みを、ただ美しい風景としてではなく、フランスとアジアの記憶が重なる場所として見ています。旅の記事でも、その土地の色や空気の奥にある歴史をたどることで、ローカリティ!の記事になります。

観光地の中心だけではなく、旧市街と新市街を行き来しながら街を見る視点が良い記事でした。ただのおじさんがたたずんでいるだけの写真でも、その土地の空気が伝わってくる。阿部さんは、観光地でも何でもない場所に良く行ってるなと思いながら、そこにこそ旅の記事の面白さがあります。

鮮やかな線香の風景が、祈りや暮らしと結びついているところが印象的でした。美しい写真だけで終わらず、その色がどんな文化や生活の中にあるのかを見ている。海外の記事であっても、ローカリティ!が大切にする視点は変わりません。

「なぜ、私はこの記事をいいと思うのだろう」

6月半ば、私はアムステルダムの街を歩いていて、あちこちにアートを見かけました。きっと、いいものなのだと思います。街を彩るものとして置かれていて、写真に撮る人もいる。けれど私は、そこにあまり共感できませんでした。なぜだろうと考えたとき、そこには私が感じ取れる「ローカリティ」がなかったのかもしれないと思いました。

一方で、ローカリティ!に掲載された記事を読んでいると、心が揺さぶられる瞬間があります。

街角に置かれたブロンズ像の記事。山頂でひっそり咲くユウレイタケの記事。赤字なのに続けてしまうゲームイベントの記事。ラムネ1本から1型糖尿病への理解を広げようとする父親の記事。

大きなニュースではないかもしれません。誰もが知っている観光地ではないかもしれません。けれど、そこには人の営みがあり、土地や個人の記憶があり、書き手自身の驚き・発見・感動があります。5月のローカリティ!をふり返りながら、改めて考えました。

「なぜ、私はこの記事をいいと思うのだろう」という問いとともに、ローカリティ!はこれからも、書き手自身の驚き・発見・感動を出発点に、人や企業や地域の心の揺らぎを記事にしていきます。

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ローカリティ!編集部

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