戦国武将人気ランキングで常に上位に入る伊達政宗。仙台を主拠点にしていた伊達家ですが、覇権が及んでいた福島県内にも伊達家にまつわるゆかりの女性たちがいます。今回はそんな彼女たちにスポットをあて、県内に伝わる古文書などから教科書には載っていないエピソードをご紹介します。
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超絶美人すぎて誘拐された「久保姫」(いわき市)
政宗の祖母「久保姫」(くぼひめ)は現在のいわき市を治めていた岩城氏の出身。姫はニコッと笑うとエクボができるので、あまりの可愛さに父・重隆は姫を「え“くぼ”ひめ」と呼んで溺愛するほどだったという。
それから数年が流れ、現れたのが「奥州一の美少女」との噂を聞きつけた伊達晴宗。なんとか妻にしようとラブレターを送り続けるものの相手にすらされない。そんな中、ついに晴宗は姫が白河結城家に嫁ぐことを知る。諦めきれなかった彼はついに実行に移した。
そう、なんと嫁入り行列の途中で姫を連れ去ったのである。
祝宴の準備を進めていた白河結城家も事態の急変を知り執念で猛追したものの、伊達にはかなわず息も切れ切れ。期待も空しく、あえなく姫は伊達へ連れ去られていったのだった。
生家・伊達家と争ったおんな城主「阿南姫」(須賀川市)
おんな城主といえば井伊直虎が知られるが、今回取り上げるのは前出の久保姫と晴宗の間に生まれた阿南姫(おなみひめ)だ。
弟・輝宗の跡を継いだ政宗は、親戚だろうと容赦なく他家の領土を侵攻し始めた。須賀川二階堂家に嫁いでいた阿南姫もその例外ではなく、甥・政宗軍を相手に決死の籠城戦が繰り広げられることに。
須賀川の晩秋の風物詩で、日本三大火祭の一つ「松明(たいまつ)あかし」は、この時に人々が城を守るために松明を持って集まったことに由来する。須賀川を守るために命を懸けた姫と犠牲になった城下の人々にささげる魂の火祭りだ。
12歳で政宗に嫁いだ正室「愛姫」(三春町)
愛姫と書いて「めごひめ」と読む。「めご」は東北地方の方言で「愛くるしい」を意味する「めんこい」に由来するといわれ、父・清顕が「めんこい」と呼びまくったから定着したという説も。
美人であったというのは他の伝承にもあり、導師の雲居禅師も「家庭をよく治め、慈愛深く聡明な奥方だった」という言葉を残している。また、伊達家の菩提寺にある尼僧姿の愛姫像も美しく、「愛姫=愛くるしい姫」の愛称どおりだったようだ。一時期はキリシタンでもあったという。
ちなみに1974年の発掘調査で、夫・政宗の血液型はB型、子・忠宗はA型であることが判明しているため、愛姫の血液型はA型かAB型と言われているらしい。
さて駆け足でご紹介しました伊達家ゆかりの姫たち。誘拐された久保姫、甥に攻められた阿南姫、夫に寄り添った愛姫・・・ご紹介したエピソードのその後、彼女たちはどうなったかどうか・・・気になりませんか?
ぜひ福島ゆかりの伊達家の姫に姫に会いに来てくださいね。
お待ちしています!