外国人の賑わいを箱根に!明治に創業した日本初の西洋式ホテル【神奈川県箱根町】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

鎌倉時代から宿場町として賑わうようになり、今では日本屈指のリゾート地となった神奈川県の箱根町。箱根山の中腹、標高430メートルに位置する温泉地・宮ノ下に、箱根が外国人に愛されるようになるきっかけを作ったリゾートホテルがあります。それが、日本の美の象徴である「富士」の名を冠した「富士屋ホテル」です。

富士屋ホテルの創業は明治11年(1878年)と古く、それまで温泉旅館しかなかった宮ノ下に突如、建物もサービスも洋式のホテルが日本で初めて創業しました。

創業者の想いが、明治・大正・昭和・平成という時代を経て令和へ

創業者は、初代・山口仙之助(せんのすけ)。若い頃にアメリカで3年間過ごし、帰国後は外国人向けの宿泊施設の建設に並々ならぬ決意で取り組んだそうです。輸送の部分に最も苦労したそうで、険しい環境に道路を整備し、箱根の交通事情を改善しました。なんと水道は今でも自前で供給しています。

富士屋ホテルの最大の個性は、その建築美です。創業時は1棟のみだったそうですが、時代とともに棟を増やしていき、現在は、本館を含む宿泊棟だけで4棟、食堂棟とカスケードウィングをあわせると全部で6棟あります。

創業からわずか5年のときに発生した「宮ノ下大火」で全てが消失したそうですが、それでもめげずに建物を再建させていきました。そして、明治、大正、昭和、平成という激動の時代を駆け抜けた富士屋ホテルは、平成の大改修を経て、令和2年(2020年)に、全館リニューアルされた新生・富士屋ホテルとしてグランドオープンしました。

富士屋ホテルを象徴するメインダイニングルーム・ザ・フジヤ

遊び心満載の3代目の奇抜なアイデア

髭が特徴の3代目山口正造の写真

富士屋ホテルの歴史を振り返るうえで忘れてはいけないのが、3代目の山口正造(しょうぞう)です。海外宣伝効果を高めるためではあったそうですが、最低約5センチ以上の髭があることが入会条件となる「万国髭倶楽部」を創設し、10ヶ国43名が会員登録するまでにしたほど髭をこよなく愛した人だったようです。

正造の奇抜なアイデアは掘り起こせばいくらでも出てきそうなのですが、富士屋ホテルのメインダイニングルームには鬼の形相の奇妙な彫刻がところどころに配置されています。これは、正造の顔をモチーフにした彫刻で、「従業員がきちんと接客するよう、社長自らが見張る」という名目で正造が造らせたそうです。厳しい中にもユーモアが溢れていますね。

鬼の形相で社員を見守る3代目の顔をモチーフにした彫刻

また、正造が設計を手掛けた花御殿は、富士屋ホテル建築の集大成であり、富士屋ホテルの、そして箱根のシンボルとなっています。華麗な和風の意匠や複雑な屋根、赤い高欄付のバルコニーが特徴の独特なデザインには正造の意図が強く反映されました。「花御殿」という名にふさわしく、客室はそれぞれ花の名前で呼ばれ、豪華な内装やルームキーには部屋名にちなんだ花のモチーフが散りばめられています。

「母が愛したアップルパイの味」を、コロナ渦でもご自宅で

丁寧に手作りされるアップルパイの調理風景

富士屋ホテルには、世代を超えて愛されるスイーツがあります。クラシックなホテルには欠かせない「アップルパイ」です。代々受け継がれてきたレシピで作られており、パイの中にじっくりと煮詰めたリンゴとシナモンの香りが心地よい一品です。りんごをカットして皮むきをするところから全てが手作りされています。

多くの著名人がこのアップルパイを愛したそうですが、「母が好きで、昔からホテルに来たらこのアップルパイを食べていた」という思い出を語るお客様も多かったようです。そして、コロナ禍に入ってホテルに行けなくなり、アップルパイの味を恋しく思うお母様のために、通販を利用してご自宅で一緒に召し上がった方もおられたようです。

このアップルパイは、大正4年(1915年)にはメニューとして存在したことが確認されており、100年以上の歴史があることになります。アップルパイの歴史の長さの分だけ、それを愛するご家族の歴史も深くなるんですね。

大正4年(1915年)にアップルパイがメニューとして存在したことを示すメニューカード

そんな世代を超えて愛され続けるアップルパイを、ご自宅でもいかがでしょうか。そして、いつ訪れても自然の美しい彩りを堪能できる箱根・宮ノ下の新生・富士屋ホテルに、その建築美や先代から受け継がれてきた想いを体感しに来てください。

栗田宏昭

栗田宏昭

ローカリティ管理者

神奈川県平塚市

第1期ハツレポーター

全米住みたいまちNo.1に選ばれた「ポートランド」で「コミュニティ開発」を学び、「ローカル」の重要性を叩き込まれた。地元の神奈川県平塚市でローカル市民メディア「平塚市民プレス」の立ち上げ経験があり、第二の故郷であるポートランドのカルチャーをクラフトビールと一緒にサブスクパッケージ販売する「桜泥棒BEER」を準備中。

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