仏壇屋、オーディオ好きが高じて唯一無二のスピーカーを作る【福岡県八女市】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

皆さんは、八女茶で全国的に有名な福岡県八女市に、1878年創業の、経済産業省指定の伝統的工芸品「八女福島仏壇」を作り続ける仏壇店があるのをご存知でしょうか。その名も「城後仏壇店」。仏壇というものが生活から少しずつ遠ざかりつつある現代で、伝統的な技術や手法を継承しつつ、今の暮らしにあった仏壇を提案し続けています。

そんな城後仏壇店の5代目である城後好孝(じょうご・よしたか)さんは、無類のオーディオ好き。学生時代より音楽に触れ、中でも出力側の機材にのめりこんでいったのだそう。家業を継ぎ、自らも職人として仏壇作りに携わりながら、「この伝統を守っていくために技術を何かに活かせないだろうか」という想いがあった傍ら、「自分の嗜好を思う存分満たせるオーディオはないものか」という気持ちもあり、二つの気持ちが合わさりそれが高じて、2011年より本格的にスピーカー作りに挑戦し始めました。

考えるのではなく感じる「音質」

城後さんが今も研究を重ね続け、常に性能が磨き続けられている「JOGO Speaker(じょうごすぴーかー)」は、まずその特徴的なフォルムに目を奪われます。中心に位置する四角いボックスの両サイドにスピーカーが配置され、そこから出力された音が、その目の前に構える円柱によって空間全体に広げられていくという構造です。

昨今のスピーカー業界では、チャンネル数を増やしてサラウンド式にするのが主流ですが、城後さんは「考えすぎなんですよ」とおっしゃいます。「人間の耳は2つしかないでしょう。その2つの耳に、広がりのある音がちゃんと届けばいいんです」と熱を込めて語りながら、筆者に様々な音楽を聴かせてくれました。

城後さんがプロデュースし、同じ八女市内で活躍する家具職人が手作りする、天然素材でできた「JOGO Speaker」は、すべての機種がコンパクトながら、充分な広がりとオーラを感じられる音を出します。特に筆者が感動したのは、アコースティックな楽器によるライブ演奏のリアルさや、ボーカルの息遣いの生々しさ。また、飛行機が通り過ぎる環境音を流していただいた際は、どう見てもスピーカーは自分の目の前に1つしかないのに、まるで飛行機が本当に頭上を通り過ぎていくかのように立体的に聴こえて、とても驚きました。

「考えたり、専門的なことを見聞きしたりするより、うちのスピーカーは聴いてもらうのが早いです。自分の耳で、良いなって感じてください」と、城後さんは微笑みます。

オーディオや仏教の世界を、もっと気軽に、もっと身近に

ひとしきり取材させていただいた後、城後さんはふとつぶやきました。

「仏壇、というか、仏教もオーディオも似たようなもので。こだわって崇高に楽しもうとすればするほど、一般の人は手を伸ばしにくくなる。でも、どちらも本当はそうじゃないですよね。生活に寄り添って、日々を彩って、心を慰めてくれるものです。そうじゃなきゃ、文化として残っていけない」。

仏壇店の5代目として、これまでずっと仏教の思想に触れてきた城後さん。仏壇とスピーカーという、一見つながりのない2つのものですが、この言葉を通して見ると、城後さんがスピーカーを作ることも必然だったかのように思えてきます。

「JOGO Speaker」のうち、特に漆塗りを施したものは、城後さんの漆塗師としての腕前が発揮された、技術的にも音質的にも最高の逸品。再生する音源の素材感を楽しめつつ、角が取れたまろやかな音が広がるのが特徴と言います。にもかかわらず、いわゆる「上質」と言われている世間の多くのスピーカーのラインナップよりも、ずいぶんとお手頃な価格です。無駄なこだわり(言い換えれば欲)を削ぎ落とし、どんな人の心にも寄り添える、気軽でかつ価値のあるものを、という城後さんの思想が表れています。

八女市に古くから息づいている伝統工芸の粋と、城後さんのオーディオにかける仏のような愛情を、皆さんもこの「JOGO Speaker」でぜひ体感してみてください。

ヨコイリカ

ヨコイリカ

東京都文京区

事業部長

ハツレポーター

ふるさと:
香川(出身地)、京都(大学時代から12年間居住)、名古屋・銀座・文京区(仕事場)

全国全世界の「地元の魅力」と「歴史ロマン」と「美味しいもの」にまみれて生きたい。田舎っぺの底力を見せつけてやるー!

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