やっと見つけた「さんまの丸干し」 1匹190円


 全国どの地域でも「さんまの丸干し」はあるのだろうか?

わが町では、以前、大寒の頃になると、ほとんどの家庭でさんまを干していた。ところが、気がつけば今はそんな風景が見当たらない。そこで、美味しい冬の味覚「さんまの丸干し」を探し街を歩いてみた。


和歌山県那智勝浦町。生鮮マグロが有名だが、実は昔、さんまもよく獲れていた。

勝浦で獲れるさんまは北の方から南下し、余分な脂が落ち細身の姿をしている。

一年で一番寒いと言われる大寒の頃、家々の軒先にはさんまが干されていた。細身のさんまのため「ひらき」でなく「丸干し」だ。

カラカラに干した状態を「かんぴんたん」と言うそうだ。

私は「かんぴんたん」のさんまの丸干しの尻尾が大好きだ。固くて、適度な塩味、まるでスルメのよう。


私の記憶では、

さんまが魚市場に水揚げされるとサイレンがなった。そのサイレンを聞くと、女たちが大きなゴミ袋や発泡スチロールの容器を持って市場へいそいそと向かった。

「今日は5円だった」「昨日より安い」「10円だけど買う?」などと近所で会話が弾んでいた。母が「何匹買う?、30匹?、50匹?」と遠くの知り合いなどに電話をかけていたのを覚えている。

買うさんまの数は、50匹、100匹。今では考えられない数だ。

「毎日毎日さんまを食べると、さんまになっていく!」と笑って話したことがある。

そんな勝浦の「さんまの丸干し」を食べたくて歩いてみた。

海岸近くの魚屋さん2軒の店先で見つけた。

「もうこの辺りでは獲れんのよ」と店主が話してくれた。

ふっくらとしたさんま、1匹190円。今では高級魚となってしまった。

今夜は柔らかい丸干しを、よく味わって食べようと思う。

もとだてかづこ

和歌山県那智勝浦町/第2期ハツレポーター

生まれも育ちも和歌山県那智勝浦町。紀伊半島南部唯一の助産院を開いています。たま〜に分娩介助、日頃は赤ちゃんやママへの子育て支援を中心に活動しています。海と山に囲まれた那智勝浦町が大好きです!そんな大好きな町の魅力を発信していきたいです。