200万円以上の支援がクラウドファンディングで集まる「畑がない農家」が目指すものとは?【秋田県能代市】

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オレンジ色のツナギに柿を模したベレー帽、一際目を引く服装で「放置柿」に関する活動を展開するのは、「畑がない農家」こと柿木崇誌(かきのき・たかし)さんだ。この見た目で、取り組む内容も「柿」、本名も「柿」と、まるで漫画の中から飛び出したキャラクターのようだ。収穫されずに放置されている柿の実を有効活用する彼の活動には、クラウドファンディングで200万円以上の支援が集まっている。彼が目指すものは何か、話を聞いてみた。

管理されずに放置されている「放置柿」を有効利用

秋田県では、人口減少や高齢化の影響で、民家の庭に植えられた柿の木が管理されずに放置されている現状がある。秋になるとたわわに実った多くの柿の実が採取されず、クマをはじめとした野生動物を人里に招いてしまうなどの悪影響が発生している。こうした「放置柿」を収穫・加工し、有効利用しようというのが柿木さんの取り組みだ。現在は柿を利用したソースを使ったお好み焼きのキッチンカーを走らせ、ドライフルーツ、クラフトビールなどの商品も開発・販売している。未利用資源の活用や独り暮らしの高齢者の見守りなど、社会的な意義も大きい。

2023年にキッチンカー製作のために実施したクラウドファンディングでは、目標金額30万円に対し、約3.5倍となる104万4,000円もの支援を集めた。しかし、まだ採算が取れる状態ではなく、「売上が無いのが一番辛い」と柿木さんは話す。収穫・加工・販売を全て独力で行っているが、ビジネスとして確立させるためにはまだ道半ばだ。

「北限の柿」ブランド化で地域住民も取り組めるビジネスに

そこで、ビジネスの専門家などのアドバイスを元に、次なる一手として放置柿を「北限の柿」としてブランド化する取り組みを始めた。新たな加工品を開発し、加工場の整備や、人材の雇用などを行う計画で、ビジネスとしての厚みを持たせた。

ブランド化が成功すれば、柿木さんだけではなく地域住民も取り組めるものと考えており、支援してくれた人も含めて、「みんなで豊かになる」ことを目指す。こちらも現在クラウドファンディングで支援を募っており、既に114万4,500円もの寄付が集まっている。(2024年3月12日正午現在)

事業にかける思いについて柿木さんは「お金のない自分でも、クラウドファンディングで支援をいただいて事業を立ち上げられる。『やったらできた』ということを課題を抱える地域の方々や未来を担う子どもたちに見せていきたい」と話す。

実は筆者も過去に放置柿問題に取り組んだことがある。課題が多く挫折していてしまったため、柿木さんは自分の思いを実現してくれるヒーローだ。これからも応援していきたい。


【関連リンク】

秋田の放置柿を「北限の柿」にブランド化!健康的で美味しい柿の魅力を全国に届けたい – CAMPFIRE (キャンプファイヤー)https://camp-fire.jp/projects/view/657607?utm_campaign=cp_po_share_mypage_projects_show

川村忠寛

川村忠寛

秋田県八峰町

第7期ハツレポーター

1983年生まれ、秋田県八峰町出身・在住です。一時故郷を離れましたが、2011年に帰郷して町役場職員として公務に従事しています。2022年に非営利法人を立ち上げ、本業の傍ら、まちおこし・まちづくりにも取り組んでおり、その活動の一環としてハツレポーターに参加しています。

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