炭焼き職人、明子さんの悩みとは

2017年、堀部明子(ほりべ あきこ)さんは愛知県知多市から田辺市秋津川へ移住した。

現在、夫、剛史(たけし)さんと共に炭焼き職人をしている。「ここに来るまで備長炭は全く知らなかった」と話す明子さん。男性が多い炭焼き職人、その中で働く明子さんにとって大変なことはないのか聞いてみた。

和歌山県田辺市秋津川地区。山々に囲まれ、のどかな田園風景が広がっている。道路のすぐ側には梅の木が何本も栽培され、梅の栽培が盛んのようだ。

秋津川地区は「紀州備長炭発祥の地」とも言われている。江戸時代、この地で炭問屋をしていた備中屋長左衛門の田辺木炭が江戸で流行った。そこから「紀州備長炭」と名づけられ、現代でも高価な炭として流通している。

そんな炭焼き職人の一人、明子さん。夫と共に「自分のペースで一人でできる仕事が気に入った」と炭焼きの世界に入ったと話す。

当初は、炭焼きは夫、明子さんはパートに出て仕事をするつもりだったと言う。しかし、先輩の職人から「炭焼きは、夫婦仕事だ」と言われ、夫婦で炭焼き職人となった。実際は、夫と共に職人をしているのは明子さんだけのようだ。

そんな男性中心の世界にいる明子さんに、あえて大変なことはないか尋ねてみた。

「月に2回、夜通し寝ずに見守る釜」「1400度の釜出し」、華奢な体の明子さんには重労働だろう。幼い子どもを育てながらなおさらだ。

しかし、私の心に刺さったのは、「自営業であること、怪我をすると働けず収入がなくなる」。静かな口調で話されたこの言葉こそ核心をついている。

確かに、働けば働いた分収入はある。しかし、反対も言える。自分のペースでできる仕事だからこそ、楽しい時も辛い時もある。

炭焼きが「夫婦仕事」と言われる意味はここにあるのかもしれない。

インタビュー中、明子さんの隣でニコニコ笑っているお子さん。

この笑顔が明子さんの力の元だろう。

同じ母親として、自営業として、明子さんを応援していきたい!

もとだて かづこ さんの投稿)

和歌山ローカル情報発信Lab.

「和歌山ローカル情報発信Lab.」は、和歌山県が2019年度から始めた「移住者情報発信力強化プロジェクト」事業。合同会社イーストタイムズのメンバーが講師となって、指導・フォローアップ。運営事務局も務める。県内にU・I ターンした移住者が、情報発信のスキルを身につけながら、住民しか知らない「わかやま暮らし」の魅力の可視化と発信を行って県内外の和歌山ファンを創出し、関係人口増や移住定住につなげる取り組み。